第38話:親善試合を終えて
「おめでとう、ディアボロ・キングストン。貴殿がトップだ」
「おめでとうございます、ディアボロさん。我が校に恥じぬ成績ですね」
「あ、ありがとうございます」
二人の先生から小さなトロフィーを貰う。
一人はアプリカード先生、もう一人はオリーブ――“オートイコール校”の先生だ。
俺は今、親善試合が終わり表彰式を迎えている。
あの後シエルとマロンと勝負をしたが、俺が勝ち、また1位になることが決まった。
バッドやデイジーは“オートイコール校”の生徒と同士討ちだったようで、フォルト君は崖から落ちたとかで知らないうちに脱落していた。
オリーブ先生が微笑みを浮かべながら褒めてくれる。
「人は変わろうと思えば変われるものだな。まさか、あの暴虐令息がこれほどまでに変わるとは。ソフィーの病気を治してくれたことも礼を言わせてもらう」
「彼は昼より夜の方が好きみたいですけどね」
「あはは……すみません……」
ソフィーの病気は無事に治った。
もう自由に動いて大丈夫だと、医術師たちのお墨付きも貰えた。
彼女が健康的に過ごしていくことを祈ろう。
チラッとソフィーを見たら、視線を外された。
代わりに、俺を覗き込むアプリカード先生と視線があった。
「やはり、ディアボロさんは美女が気になるようですね」
「いいえ違います! 違います! 本当に違いますんですみません!」
謝罪を重ね、シエルたちの列に戻る。
今度は婚約者とメイドのプレッシャーが待っていた。
「ディアボロは可愛い子好きだもんね。王女様のときもそうだったし」
「そろそろ、私たちのことを思い出してもらわないといけませんね」
「すみません、許してください! ちゃんと覚えています! 超奉仕するんでぇ!(小声)」
「「それならまぁ……」」
頬を赤らめる二人と、凍てついた視線を向けてくるアプリカード先生。
……今夜越せるかな。
生きて学園に帰れるか不安になってきた。
表彰式はすぐに終わり、帰る時間となった。
“オートイコール校”の生徒と別れを告げる。
みな、自分が戦った相手と握手を交わしていた。
俺もまた、ジャメルと握手する。
「ディアボロ、今回は俺の完敗だ。だが、次会ったときは俺が勝つからな。もっと修行して強くなってやる」
「ああ、また戦えるのを楽しみにしているよ」
ジャメルと戦ったのは一瞬だったが、それでも印象深い時間だった。
ソフィーにもきちんと別れを告げたかったが、彼女は俺と距離を取っていた。
やっぱり、すぐには仲良くできないか。
諦めて船に乗ろうとしたときだ。
「ディアボロ……」
「ん?」
ソフィーが俺を呼び止めた。
振り返るも、彼女は何も言わない。
何だろうと思っていたら、彼女は俺にしか聞こえないような大きさでそっと呟いた。
「……ありがとう」
「ああ……元気でな」
ソフィーは硬く俺の手を握る。
温かく力強い、頼りがいのある手だった。
手の平に温かな余韻を残したまま、俺は船に乗り込む。
□□□
「くっ……ああっ! ま、待って、それはまず……ぅぅぅあ!」
狭い室内に俺の嬌声が響く。
ここは帰りの船の一室。
さっそく、俺はシエルとマロンの責めを受けていた。
「これくらいで音を上げるなんて情けないわよ、ディアボロ」
「もっと耐えてください。それでも公爵家の次期当主ですか?」
「だ、だって、そんっ……なこと言ったって……あああ~!」
部屋の外からアプリカード先生の咳払いが聞こえたような気がするが、二人はお構いなしに攻めまくる。
シエルとマロンは同率の順位だった。
なので、独り占めはなくなったと安心していたら、二人一緒になっちゃった。
“エイレーネ聖騎士学園”まではおよそ一週間。
……どうしよ。
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