第29話:試験を終えて……
「皆さん、お疲れ様でした。まずは、全員無事に帰還できたことをお祝いします」
“死者の石窟”での試験が終わった後、俺たち生徒は教室に戻っていた。
みな、疲れ切った表情でいるものの、大怪我をしてそうな生徒はいなくてホッとする。
断罪フラグは立たなそうだからな。
その中で、アルコル師匠だけはピンピンしている。
そっと俺の様子を伺い、視線が合うと目を背けられた。
いや……もうバレてますから。
「トップはディアボロ・マロンチームです。脱出時間、モンスターの討伐ポイント、いずれも最高点でした。おめでとうございます、マロンさん……そして、ディアボロさん」
「「ありがとうございます」」
「これは褒賞の“エイレーネメダル”です。この試験で得た知見と経験を忘れないようにしてください」
俺とマロンは、アプリカード先生から小さな銀貨みたいなメダルをもらう。
表面には“エイレーネ聖騎士学園”の紋章である、盾に納められた剣が刻まれていた。
今後行われる選抜メンバーは、このメダルの枚数で決まるのだ。
ゲームのアイテムがこの手に持てるなんて、なかなかの充実感だ。
ありがたく頂戴した。
みんな(フォルト君以外)に拍手で讃えてもらいながら席に戻る。
席に戻ると、シエルもまた褒めてくれた。
「いいなぁ、私もそのメダル欲しかったわ」
「寮に帰ったらよく見えるところに飾っておこう」
「本音を言うと、ディアボロの独り占め権だけど」
「う、うむ……」
そうだった。
試験は無事に終わったけど、この後本番が待っていたんだ。
別にあの意味じゃなくてだな……。
「トップの成績だからといってハメを外し過ぎないように、ディアボロさん」
「あ、はい」
アプリカード先生は表情硬く、俺に意味深の言葉を投げる。
地獄耳過ぎませんか? というと、怒られそうなので黙っておく。
結果発表もそこそこに、授業は終了した。
外に出ると、すっかり日が暮れている。
何だかんだ長い一日だったな。
ダンジョンは入り組んでいたし、フォルト君には襲われるし。
今日はゆっくり風呂に入って早めに寝るか。
そう思っていたのに、寮の部屋に入った瞬間、マロンが俺の腕を強く握った。
そのまま寝室へ連行される。
……まさか、この流れは!
「では、シエル様。ディアボロ様はお借りしますね。また明日お会いしましょう」
「ぐぎぎ……モンスターとの遭遇がもっと多ければ……」
シエルは歯ぎしりしながら部屋から出ていった。
つまり、二人っきりになる。
猟犬のような目をしたマロンと。
「ディアボロ様、準備はよろしいですか? 夜は長いですよ。お食事前に一回戦といきましょう」
「あっ! んっ……待って……せめて、風呂を先に……ぁああ~!」
噛みつかれ(どことは言わないが)、吸われ(何がとは言わないが)、俺のアレ(具体的には言わないが)は悲鳴を上げる。
マロンじゃないが、夜は長い。
無事に朝を迎えられるのか、俺は朦朧とする意識の中で、いつまでも快楽に身をゆだねていた。
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