第23話:女子会 by 教員ズ(三人称視点)
「アプリカード、ディアボロはどうだ? ちゃんとやっているのか? あいつのせいで試験の予定が繰り上がったそうじゃないか」
ディアボロがシエルの責めを受けているとき。
学園寮の近くにあるテラスで、数人の教員が茶を嗜んでいた。
「まぁ、授業への態度は真面目です。実力も申し分なし。入学試験の結果は、まぐれではなく真実であったことが実証されつつあります。色ボケ具合は見過ごせませんがね」
アプリカードは紅茶を啜りながら、レオパルの問いに答える。
「初日から盛るとは良い度胸をしているじゃないか。他の生徒は緊張でそれどころじゃないぞ。ディアボロは強心臓の持ち主だな」
「私はただのマセガキだと思いますけどね」
彼女らの話を聞き、また別の教員がぼそぼそと話し出した。
「元来……英雄だったり……名を馳せる戦士は……好色である傾向が……あります……」
サチリーは大量のチョコレートクッキーを頬張りながら持論を展開する。
常に頭を働かせている彼女にとって、糖分を摂りすぎることはなかった。
「いいえ、ディアボロさんは英雄などではなく、単なる色ボケマセガキ好色野郎ですよ」
「まぁ、そんなに躍起になるな。今は新しい環境が楽しいんだよ。そのうち落ち着くさ」
アプリカード、レオパル、そしてサチリー……。
彼女らは交友と情報交換を兼ねて、定期的に茶会を催していた。
話題はもっぱら学園の生徒について。
特に、ディアボロは彼女らの話題の中心だった。
それほど衝撃的な一年生だったのだ。
「あっ……! ダメダメダメ……! やっ……ん! もぅダメ……あああ~!」
風に乗って、ディアボロの嬌声がわずかに聞こえる。
レオパルは笑いを噛み殺していたが、アプリカードは顔をしかめる。
サチリーは大して興味がないようで、本を読みながら黙々とクッキーを齧っていた。
「暴虐令息じゃなくなっても、色ボケ令息になったらしょうがないでしょう。キングストン家の跡取り息子という自覚があるんでしょうか」
「言い換えれば、それほど他人から信頼されているということだと思うが」
「“エイレーネ聖騎士学園”は素晴らしい学校ですが、婚約者同士は学生の時から仲良く……という校風だけには賛同できません」
「まったく、風紀に厳しいのは相変わらずだな。しかし……」
不意に、レオパルは言葉を止めた。
静かに笑っていた彼女が真剣な表情になったのを見て、アプリカードとサチリーも手を止めて注目した。
「あんな怪物が入学した以上、私たちも現を抜かしてはいられないな。より一層、精進に励まなければ」
「同感です」
「お二人の……意見に……賛成……します……」
――ディアボロ・キングストン。
入学試験の会議では好き勝手評価を下したが、教員たちはその強さに焦燥感と危機感を覚えていた。
下手したら、すでに我々より強いかもしれない。
闇属性で回復魔法を使ったこともそうだが、基礎の力がずば抜けている。
その事実は、“エイレーネ聖騎士学園”の教員全てに火をつけた。
「アプリカード。明日の授業後、修行に付き合ってくれないか? 一から鍛え直したい」
「ええ、もちろんです。私も修行させてください。このままじゃ、あっという間に追いつかれてしまいます」
「私も……闇属性について……もう一度文献を……洗い直します……。ディアボロ君のおかげで……自分の勉強不足に……気づかされました……」
三人は茶もそこそこに、胸の中で誓いを立てて帰路に就く。
ディアボロという才能あふれる素晴らしい生徒が入学した。
彼の全力に応えられるよう、自分たちもさらに成長すると。
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