第22話:助けてくれたのは……(Side:デイジー①)
私の家は一応貴族だけど、あまり裕福ではない。
男爵家なんて下級の貴族は、ほとんど平民と変わりないのだ。
“エイレーネ聖騎士学園”の学費は高い。
でも、お父さんとお母さんは頑張って通わせてくれた。
だから、少しでもこの学園で良い成績を残したい。
立派な成績を納め、将来は国の役に立つ人間になる。
そう思っていたのに……さっそくミスをしてしまった。
友達も作れず、せっかく組んだペアの男の子とも仲良くなれない。
元々気弱な性格が原因なんだと思うけど、どうしても改善できなかった。
最初の試験は時間内のポイント争奪戦。
弱いモンスターを頑張って倒していたけど、全然ポイントが入らなかった。
やっぱり周りは優秀な人が多いみたいで、どんどん差は広がる。
フォルト君にも怒られてばかり。
焦りや暗い気持ちで心がいっぱいだったせいか、トロールがすぐ後ろに迫っていることに気づかなかった。
殴り飛ばされ、足を捻ってしまった。
立てない。
じりじりと近寄ってくるトロール。
もうダメだ……と思ったとき、ディアボロ君とシエルさんが現れた。
その瞬間、フォルト君は私を見捨てて逃げてしまった。
彼の行動は鋭いナイフのように、私の心に深く突き刺さる。
やはり、私は足手まといだったんだと。
トロールが振りかぶったとき、私は死を覚悟した。
こんなに役立たずな人間は死んだ方がいいんじゃないかな……とも思った。
でも、すぐにディアボロ君が助けてくれた。
たった一撃で倒して。
一年生であんな魔法が使えるなんて、ディアボロ君はすごい人だ。
実は、正直とても怖かった。
暴虐令息という噂が広がっていたから。
だけど、噂なんて所詮は噂だとわかった。
彼は強いだけじゃなくて、優しい心も持っているのだ。
「いいから! 治したいんだ! 絶対に治す! ……《闇の癒し》!」
ディアボロ君は叫ぶように言うと、私の怪我を治してくれた。
温かい手で包まれているような心地よさ……。
闇属性で回復魔法が使えるという信じられない噂が広がっていたけど、真実だったんだね。
こっちの噂は本当だった。
なんだか、私の目標が定まった感じ。
この学園に入って本当によかったと思う。
目指す人が見つけられたんだ。
――私はディアボロ君に心も体も救われた。
この恩は絶対に返さないと……。
まずは、私もディアボロ君みたいに強くなりたいな。
他人を助けられるくらい、強い人に……。
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