第17話:みんな仲良く……?
試験の結果、俺たちは三人とも無事合格した。
ナンバー1はなぜか俺。
そして、ナンバー2は、意外にもシエルたちではない。
コルアルという名の少女だった。
原作でも聞いたことがない名前だ。
要注意人物だな。
ついでに言うと、フォルト君も合格していた。
……マジか。
結構、力の差を見せつけたつもりだったんだけどな。
やっぱり主人公補正?
くぅっ、羨ましいぜ。
断罪の元凶になる人物が入学するのは不安だが、まぁしょうがない。
心機一転、俺は学園寮の自室に荷物を運び入れていた。
授業は明日からなので、今日中に部屋を作るのだ。
「……よっこいしょっ。ふぅ、ようやく終わったか」
「お疲れ様でした、ディアボロ様」
手伝ってくれているのはラウーム。
キングストン家から応援に来てくれた。
「ありがとう、助かったよ。おかげで予定より早く終わった」
「あの、ディアボロ様……一つよろしいでしょうか」
「どうした?」
ラウームはもじもじしながら言う。
なんか前にも見たような光景だな。
「実は……運搬の最中、腕を痛めてしまったのですが……」
「なにぃ!? 腕を痛めただとぉ! こうしちゃいられん! 《闇の癒し》!」
「んっ……! ぁあ~っ!」
断罪フラグが立ちそうだったので、即回復魔法で癒す。
迸るおじさんの恍惚顔。
ふむ……やっぱり複雑な気持ちにはなるな。
例の黒い光が収まっても、ラウームの身体はしばらくビクッビクッ! と小刻みに震えていた。
「だ、大丈夫か?」
「え、ええ……おかげさまで……全快……いたしました……」
ラウームは恍惚としたままお礼を言う。
息が荒くて心配なんだけどな。
そして、この部屋には俺たち以外の人間もいた。
それは……。
「マロンさん、反対側持ってくれる?」
「はい、お安い御用です」
「これを運んだら、あなたのタンスを運びましょう」
「シエル様がいらっしゃって良かったです」
シエルとマロンもまた、各々の荷物を搬入している。
俺の部屋に。
いやぁ、本当に仲睦まじくて良いな。
運び込んでいるドレッサーや小さなタンスも、何となく似たようなデザインを感じる。
仲良しだとセンスも似るのだろう。
……じゃなくて!
「あの、二人とも!」
「「?」」
大慌てで叫ぶが、シエルもマロンもポカンと佇んでいる。
「……なんで俺の部屋に荷物運んでるの?」
「なんでって、そりゃあ……」
「ええ……」
二人は顔を見合わせる。
な、なんだ?
「「一緒に住むって申請したからよ(です)」」
「……なに?」
一緒に住む……だと……?
「婚約者同士は同棲が認められているの。まぁ当然だけど」
「付き人も同様です」
「なん……だと……?」
た、たしかに、原作でもそういう設定はあった。
ヒロインと仲良くなったフォルトは、寮でも親密さを深める。
R18に引っ掛かりそうなミニゲームもちょろっとあった。
「し、しかしだな、シエルは良いとしてマロンはどうなんだ。だって、そんなのラウームが……」
「ちなみに、父も賛成しています」
なん……だと……?
俺はラウームを見る。
「マロンがディアボロ様と親密になれば、私もいずれ同せ……」
ラウームは虚空に向かってうわ言を喋るばかり。
どうやら、マロンの言う通りらしい。
こうなったら苦肉の策だ!
「だ、だけど、シエルはいいのか? 婚約者が自分以外の女と同棲しているなんて……」
「最初は嫌だったけど、私は気づいたの。マロンさんもディアボロを好きという気持ちは同じ。だから、私たちは同志になったわ」
マジか。
色々と急展開過ぎるだろ。
同じ部屋で美少女二人と同棲の毎日なんて……ピュアな俺からしたら卒倒しかねない。
……ん?
ちょっと待て、ディアボロ。
一緒に暮らすということは、常に二人の体調や怪我を気遣えるってことだ。
つまり、断罪フラグを即座に排除できる。
ふむ、逆にいいな。
……いや、良くないだろ。
常識的に考えて。
「な、なぁ、やっぱり同棲はまだ早いんじゃないかな。だって、俺たちはまだ15さ……」
「普通よ。おかしくもなんともないわ。なぜなら、婚約者同士なんですもの」
「付き人が主の部屋にいるのは一般的でございます」
一瞬で論破された。
いつの間にか、ラウームは姿を消している。
つまり、部屋の中に三人きり。
……おや? 雰囲気の様子が……?
「さて、始めましょうか。ディアボロ、今夜は寝られないと思っていて」
「二対一ですが、ディアボロ様が相手ならちょうどいいハンデですね」
ベッドに押し倒された。
右からはシエルが、左からはマロンの手が伸びる。
あれあれあれ?
不思議と抵抗できないぞぉ?
あ、あ、あ、服が…………あ~れ~!
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