第14話:みんなも修行してるから俺も頑張らなきゃ
「二人とも、こんなんではいつまで経ってもディアボロに追いつけんぞ。ディアボロみたいになりたいんじゃろ」
「たしかに……アルコル様のおっしゃる通りでした。ディアボロに追いつくには、これくらいで根を上げてはダメでしたね」
「そうです! この程度で諦めてはいけなかったんです! ディアボロ様に私はなる!」
シエルに謝ってから、すでに二週間が過ぎた。
マロンとシエルも、俺の修行に同伴するようになった。
どうやら、俺が二人の目標になったらしい。
彼女らは毎日修行を積んでいる。
嬉しいやら何やらだ。
「ほれ、マロン。もう一度《地獄炎滅》の特訓じゃ」
「はい! アルコル様! ……《地獄炎滅》!」
マロンが魔法を唱えると、庭の片隅で赤黒い炎の柱が出現した。
空高くそびえるほどのどデカイやつ。
15mくらい離れているのに、顔がジリジリと焼けるように熱い。
まさしく地獄の業火。
原作通りだと、ディアボロはあの炎に焼かれるというわけだ。
「あびゃぁー! 燃えるの見るの楽しい楽しい楽しいぃー! 何か焼き殺したいぃー! ディアボロ様ぁー!」
ちなみに、マロンは魔法を使うと性格が変わる。
バーサーカーみたく。
自慢の炎で敵を焼き殺すのが大好きなのだ。
繰り返すが、原作だと嬉々として俺を殺す。
断罪フラグを思い出し背筋が凍る。
マロンもまた、“エイレーネ聖騎士学園”への入学を目指している。
ずっと俺の傍にいたい、と言ってくれた。
一応貴族には付き人枠があるのだが、実力で認められたいとのこと。
素晴らしい心がけで頭が下がる。
「シエル。お主は《重力殺》の特訓じゃ」
「承知しました、アルコル様」
さらに少し離れたところでは、シエルが修行をしている。
彼女は超絶珍しい無属性魔法の使い手。
属性の付与はできないものの、特別な効果の魔法が扱える。
特に重力魔法が得意だった。
「《重力殺》」
庭の片隅にあるドデカイ岩に、ミシミシとひびが入る。
重力の圧力で敵を破壊する魔法だ。
岩は十秒ほど耐えていたが、やがて木っ端微塵に弾け飛んでしまった。
「これが私の愛の重さ……」
ちなみに、シエルは魔法を使っても性格は変わらない。
性格は変わらないが、なぜか決まって謎のセリフを言う。
巨岩が壊れるほどの愛を受けられる人は幸せだ。
愛の対象はご両親かな。
二人とも“超成長の洞窟”に籠もりつつの修行なんだよな。
素のステータスが高い上に、過剰なまでの努力。
彼女らがどんな風に化けるのか今から楽しみだ。
俺のステータスはというと、大体こんな感じだ。
【ディアボロ・キングストン】
性別:男
年齢:14歳
Lv:60
体力値:4000
魔力値:10000
魔力属性:闇(解放度:★10)
称号:超真面目な令息、給料上げてくれる方、ディアボロ、スパンキングボーイ、有望株、すごい努力家、重い想い人、堕執事、今夜も想う婚約者
……なんか色々とすごいことになっていた。
レベル60……て、どうなんだ?
入学前に強くなりすぎだろうが。
体力値も魔力値もヤバいことになっている。
称号も色々と気になるな。
有望株はアルコル師匠だろう。
評価してくれているってことかな。
となると、今夜も想う婚約者はシエルか。
……まさか、愛の対象は……!
「うふふ……粉々になっちゃった……」
シエルは岩の破片を見ながら意味深に笑っている。
また別の断罪フラグが立ちそうで怖いのだが。
そして気になるのは堕執事という称号。
……どういう意味だ?
ラウームが関わっているのは間違いないだろうが……。
「お~い、何やっとるんじゃ、ディアボロ。サボっていると二人に追いつかれるぞ~」
「サ、サボってないですって! 今行きますから!」
アルコル師匠の声が聞こえる。
尻を叩かれる前に、慌てて彼女らの元へ向かう。
「ディアボロ様っ。また一つ新しい魔法を習得できましたっ。見ててくださいましたかっ?」
「ああ、もちろん見てたよ。素晴らしい成長じゃないか」
「ありがとうございますっ。ディアボロ様が目標だと身が引き締まるんですっ」
マロンがきゃっきゃっと嬉しそうに報告してくれる。
彼女の成長ぶりを称えていたら、氷河のように冷たい声が聞こえてきた。
「……ディアボロは私より、マロンさんと話している方が楽しそうですね」
「え! ち、違うって! 誤解だよ!」
「……私とお話しするのは嫌いということでしょうか……ディアボロ様……」
「そうじゃなくて! そ、そんなことより、二人とも怪我とかしたらすぐに言ってくれよ」
「「……?」」
シエルもマロンもポカンとしている。
ので、力強く告げた。
「俺が死んでも治すからさ(断罪フラグを潰すために)!」
「「ディアボロ(様)……」」
二人とも顔を赤らめるのだが、体調不良じゃないよな?
やっぱり俺は心配だ。
何はともあれ、彼女たちは毎日必死に努力を重ねている。
俺ももっと修行しなきゃならんな。
今以上に努力することを決心し、修行を再開する。
父上も剣術の稽古を見てくれたりして、“エイレーネ聖騎士学園”入学までの1年はあっという間に過ぎていった。
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