03
ブリュードの捕縛はルグランド王国だけでなくフロイヤ帝国でも大きな出来事だったようで、ブリュードが捕縛された翌日にはフロイヤ帝国の第一皇子であるキルエス様や第一皇女のリーゼルカ様がブリュードの処罰を協議するためにルグランド王国にやって来たのです。
そして私の実家であるティルスタール侯爵領へもやってきてくださったのです。
私は実家の侯爵屋敷でキルエス様とリーゼルカ様をお出迎えしました。
屋敷の前にキルエス様とリーゼルカ様を乗せた馬車がやってきました。
私はエントランスでキルエス様とリーゼルカ様をお迎えしました。
キルエス様はかろやかな金色の髪を青い瞳をお持ちで、容姿も整っており思わず見とれてしまうほどかっこいいと思ってしまいました。
キルエス様は確か私と同い年だったはずです。
リーゼルカ様も長い金色の髪をたなびかせていました。
青い瞳もお持ちで、リーゼルカ様も美しい容姿をお持ちでした。
私はそれからキルエス様に見とれてしまいました。
するとそのキルエス様がご挨拶をしてくれました。
「フロイヤ帝国の第一皇太子であるキルエス・フロイヤでございます。メリッサ様この度は出迎えをして頂きありがとうございます。」
そしてリーゼルカ様も私に挨拶をしてくれました。
「フロイヤ帝国の第一皇太女であるリーゼルカ・フロイヤでございます。メリッサ様、どうかよろしくお願い致します。」
私は二人に挨拶をしました。
「もったいないお言葉です。キルエス様とリーゼルカ様は遠路はるばるご足労頂きありがとうございます。」
そして私はキルエス様とリーゼルカ様を侯爵屋敷の貴賓室へとお通ししました。
キルエス様とリーゼルカ様が着席されて私も着席するとキルエス様が私に話しかけました。
「メリッサ様!!まずはお礼を申し上げます。この御恩は一生忘れません、本当にありがとうございました。」
私はキルエス様に尋ねました。
「お礼というのは大げさではありませんか?たぶんブリュードの事だとは思うんですけど私は何もしてませんよ。」
キルエス様が私に言いました。
「そんなことはありません。帝国内ではみながメシアが現れたと喜んでおりました。もちろんメシアとはメリッサ様の事です。」
私がフロイヤ帝国の人達に救世主と呼ばれている??
あまりの唐突な話についていけませんでした。
「私がメシア??どういう事ですか??」
キルエス様が私に言いました。
「フロイヤ帝国内で悪行の限りを尽くしていたブリュードに毅然と立ち向かい奴の要求をはねのけて、さらには奴の捕縛に大きく貢献されたのです。メシアと呼ばれるのも当然かと思われます。」
私は今回の事でフロイヤ帝国内で救世主と呼ばれている事に大変驚きました。
キルエス様はさらに話を続けます。
「私自身も姉上の無念をメリッサ様に晴らして頂き、大変うれしく思っております。」
リーゼルカ様も私に言いました。
「メリッサ様、今回は本当にありがとうございました。」
私が二人に言いました。
「リーゼルカ様?キルエス様??良かったらメリッサと呼んでくださって構いませんよ。堅苦しくお話するのは得意ではないので。」
キルエス様が私に言いました。
「よろしいのですか?それでは礼を失する事になります。」
私がキルエス様に言いました。
「全然構いませんよ、むしろそっちの方が気が楽なので。」
リーゼルカ様が私に言いました。
「分かりましたではメリッサと呼ばせてもらいますね。私の事もリーゼルカで構いませんよ。」
キルエス様が私に言いました。
「私の事もキルエスで構わないよ。」
私がキルエス様に言いました。
「ありがとうございます。」
私はキルエスに尋ねました。
「そういえばさっきブリュードが帝国内で悪行の限りを尽くしていたと言われてましたけど?あれはどういう事なんですか?もしかしてリーゼルカ以外にも誰かに嫌がらせをしてたんですか?」
キルエスが私に言いました。
「まさにその通りでブリュードのやつ、帝国でいろいろとやらかしているんです。」
私がキルエスに聞き返しました。
「そうなのですか?」
キルエスが私に言いました。
「ブリュードはリフルード学園の高等部に留学生としてやってきたんです。私もブリュードと同じ1年生クラスに在籍していたんですが、ブリュードは本当に酷いものでした。」
私がキルエスに尋ねました。
「酷いというのは?」
キルエスが私に言いました。
「ブリュードはリフルード学園に入ってからずっと女子を泣かしてばかりいたんです。」
女子を泣かしてばかりいた?
あのブリュードがプレイボーイぶりを発揮していたのかしら?
あんな男が帝国の女子から好かれるとはとても想像できないけどな。
するとキルエスは私の誤解しているのに気がついてすぐに言い直しました。
「すまないメリッサ、言い方が悪かったね。女子を泣かしていたというのは、いろいろな女生徒と付き合っていたという意味じゃないんだ。文字通り泣かしてたんです。ブリュードはクラスの女子に対してひどいイジメをしていたんです。」
私は驚いてキルエスに尋ねました。
「イジメ??」
キルエスが私に言いました。
「はい、ブリュードのやつやりたい放題していました。女子に対するひどい暴言などほぼ毎日のように言っていました。ブリュードは朝来るとこう大声で怒鳴りつけていました。おい!!生まれてきた価値すらないゴミ女ども!!今日もこのブリュード様がしっかりイジメてやるからな、大声で泣き叫べよと!!!しかもブリュードの奴は別のクラスや学年の女子にまで見境なく嫌がらせをしてました。ブリュードと廊下をすれ違った女子ほぼ全員が嫌がらせをされていたようです。中には暴力を振るわれた女子もいたらしいです。」
ひ、酷すぎる。あいつ留学先の学校でそんなひどい事をしてたのか。
呆れて言葉も出てきませんでした。
「私もブリュードには事あるごとに女子への嫌がらせをすぐにやめろ。嫌がらせをした子達に謝れと言っていたんですが、ブリュードの奴は全然ききませんでした。その流れであいつと殴り合いになることもしばしばありました。」
キルエスが私に言いました。
「そんな状況だったのでリフルード学園の女子達のほとんどが不登校になってしまったんです。実質的に学園が崩壊してしまっている状況でした。それでブリュードを学園から追い出そうという話になったのですが、いかんせんルグランド王国の王太子だったのでそのまま追放というわけにもいかなかったのです。ルグランド王国との関係を悪化させたくないと考えた父上はルグランド王国の国王様と話し合って2年の留学期間が終わるまで宿屋で軟禁する事になったんです。まあ結果的には王国との関係はすごく冷え込んでしまいましたが。」
私はブリュードが言っていた事を思い出しながらキルエスに言いました。
「そういえばブリュードが言ってた監禁されてたって言ってましたね。」
あれはそういう事だったんですね。完璧にブリュードの自業自得じゃないですか全く。
本当にふざけた男ですねあの男は。
リフルード学園の女子達が本当にかわいそう。
するとキルエス様が私に言いました。
「それでブリュードの処罰についてですが?」
そうでしたね。キルエスもリーゼルカもそれを協議するために来たんですもんね。
キルエスが私に言いました。
「我々としては奴の死罪を求めるつもりです、メリッサの考えを聞かせてくれないか?」
私の考えはほぼ決まっていました。
私はそれをキルエスに伝えました。
「そうですね、ブリュードには死罪が当然の処罰だと思います。とてもじゃないですけど女としても人間としてもブリュードのした事を許す事はできないです。元王子としてちゃんと責任を取らせるべきかと。」
キルエスが私に言いました。
「分かりました。ではその方向で処罰を進めようと思います。」
そして私はキルエスやリーゼルカと共に王宮へと向かったのでした。
王宮に行って国王様に謁見したうえで協議した結果を伝えました。
そして私たちはその足でブリュードが捕らえられている地下牢へと向かいました。