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ようこそ!箱庭へ  作者: 内海 真二
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黒神かもめの場合

 3人がそれぞれ白い存在と邂逅しているとき、()()()の世界の少女は不安に駆られていた。

 「あの方達に残された招待状を使いましたが、大丈夫でしょうか…」

 そう呟くと、半年前まで一緒にいた人々の事を思い出す。

 少女の名前は黒神かもめ。箱庭で生まれ、大規模クラン、「大鷲の大樹」で育った。

 この箱庭の中でも指折りだったこのクランは、半年前とある新興勢力によって解体させられてしまった。

 箱庭におけるクランとは、国家に相当する。領地、人、貿易、その他国家の運営と呼べるものを全て行っている。

 つまり、クランの解体とは国家の解体に相当し、不要なものを残しその悉くを奪われてしまった。

 「もし、残されたもの達が立ち行かなくなったら、年長者のあなたが皆を導いてあげて。任せたわよ。」

 かもめの育ての親はそう言うと3枚の「箱庭招待状」と書かれた封筒を残し姿を消した。

 彼女だけでなく物心つく前から一緒のに過ごした人達まで連れ去られてしまった。残されたものは、力を持たない子供達と余剰物質だけ。

 

 そんな事もあり、残された者たちは自分達の生活のため余剰物質をあるだけ全部売り、全て必需品に変えた。

 しかし、子供達だけでは力も足らず生活の知恵を持つのもかもめと残り数人だけであった。

 作物を作るにして領地も追い出され、新たに移転した土地も荒地であったためにうまく育たなかった。

 さらには

 「かもめねーちゃん、これどうやってつかうのー?」

 「かもめさーん、これどこにおいとくの?」等、クランであった時には使わなかったものを使用するため使い方を知らない者も多くいた。

 少数だけでは、100人規模を賄うだけで精一杯で他の事に手が回らず、ついには過労で倒れるものも出てきてしまった。

 そんな時、かもめが思い出したのは残された3枚の招待状。

 この招待状は箱庭の世界の外から、力を持つものを箱庭に招待すると言うアイテムである。

 別れ際に渡されたこのアイテム、実は解体直後に使おうとしていた。しかし

 (こちらの世界への招待であると言うことは、呼ばれる人にも拒否権があると言うこと、確実に来てくれる保証はありません。それに、この状況を知らずに呼ばれた人は何を思うか分かりません。)と思い直した。

 だが、ここに来てクランの経営が立ち行かなくなってきたためにもう一度使う決心がついた。

 

 決心がついたら早いもので、あとは招待状に魔力を流すだけである。

 招待状に刻まれた術式が勝手に発動し三つの扉が顕現する。

 そうしてかもめは扉の前で待つ。まだ見ぬ異世界人に想いを馳せて。

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