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やっぱり異世界転移でしたっていうか色々だまされてない?僕

のんびりと書いていきます。

読んでくれている読者が一人でも確認できたら本格的に頑張ります〜

「ええと、ここはどこだ?」


女神様と最後の話をして意識が飛んで……。あ、つまりここはもう異世界なのか?


ぼんやりとする頭を必死に働かせて目の前に広がる空を見上げる。


僕が横になっているから空しか見えないが女神様のいた部屋にあったオーラ的なものがないことから何となく現実なんだと思い知らされる。


「というか、なんで外にいるんだ?」


グッと体に力を入れて起き上がる。


今までの転生は全て幼児を入れる用の籠の中や母親の腕の中で目覚めていたが、外で意識が戻るのは初めてだ。


しかし、ここで違和感に気づく。


「体が動かせる?」


より詳しく言うならば思ったように、生前のように動かせるのだ。これもまた今までの転生ではなかったことだが。


ぺたぺたと自分の体を触り触覚を働かせながら立ち上がる。


「……これ、体変わってなくね?」


明らかに立ち上がった時の視界に移る景色が幼児のそれではない。というかそもそもいきなり立ち上がれた時点で幼児ではない。


これは一体どういうことだと頭の上にポンポンと?を浮かばせているとそれを払いのけるかのように一枚の紙が頭の上に落ちてきた。


「なんだこれ?」


『ごめんね〜、言い忘れてたけど異世界に送る時のルールで体を新しくすることは出来ないの。だから実際は異世界転移ってとこかな? とりあえず横の道を西に進めば街があるからオススメよ。女神様より』


「……なんだこれ?」


どうやらここに書いてある通り、異世界転生ではなく、異世界転移だったらしい。


さらに手紙の一節を読んで横を見てみると確かに細いが道がある。

なんというか、少し感動的な別れをしてしまったというのに体感的に数時間後にこうして連絡が来ると虚しさがあるな……。


「とりあえず女神様の言う通り、西に向かってみますかねー」


今までの人生だったら気がつくと同時に何かを学ぼうと努力してきたが、今回は女神様にも言ったようにのんびりと人生を楽しんでみようと決めている。


こうして手持ちも何も無い僕はゆっくりと西に向けて歩き始めた。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





しばらく道なりに歩いていくとだんだんと道幅が細くなっていくと同時に奥の方に建造物が見えてきた。


「あれが女神様の言っていた街かな?」


それにしては全体的にボロいというか暗い雰囲気な気もするが。

周りを見ても商人や旅人の様子はない。


おかしいな、女神様も異世界転移って言っていたし中世ヨーロッパ的な世界観を予想していたんだけれど。


気にしても仕方がないかとひたすら街の入口らしい門の方向へ足を向ける。

門の前に立っていた人は何か渋いような硬い表情をしながら僕の体を上から下までジロジロと見ている。


そうか、こんな服装だから怪しまれるのも仕方がないな。


転移してきたばかりの僕の服装は地球で死んだ時のラフな私服のままだった。

ここはひとつ元気に挨拶でもして好印象を与えておくか。


「こんにちは。私は旅をしているものなのですが、ここはなんという街ですか?」


「野郎共ォォオォ! 冒険者がきやがったぞ出てこい!」


怒号による返答。あまりの驚きに声すら出ない。

門番の叫びが響いた先からぞろぞろとガラの悪い男が出てくる。


「あのぅ、ここは一体どこで?」


状況が掴めない。とりあえずダメもとで質問をなげかけてみる。


「ふざけてんじゃねえ! ギルドからの差し金と話すことなんてねえよ。あるとすれば俺たちからの一方的な略奪だけだ。坊主、痛い目見たくなきゃ有り金全部置いてきな、そしたら逃がしてやるか考えてやる」


ニヤニヤと笑う男たち。

これはもしかしてあれか? ボロボロの建物にガラの悪い男たち、しかもそいつらの手に握られているのは斧やら剣やらの武器。そして、先程門番が叫んでいた言葉から推測するに。


「もしかして、あなたたちは盗賊的ななにかだったり〜しちゃいますか?」


なるべく相手を刺激させないために申し訳なさそうに尋ねるとピタッと男たちの笑みが消えた。そして、ふるふると震え出す。


「っざけんじゃねぇ! 俺たち『マガラ』を馬鹿にしてんじゃねえ! 殺せぇぇ!!」


えぇ!? まさかの逆効果ですか? どうやら申し訳なさそうにしていたのが逆鱗に触れてしまったのか先頭にいた5人が武器を振りかぶりながら襲いかかってきた。


「ちょ! 僕こんな急展開知らないんですけど!?」


あの、女神嘘つきやがったな!? 何が西に行くのがオススメだ。何かいいことがあるのかと思いきや到着したのは盗賊のアジトってやってられなさすぎる!


一番最初に僕の元に到着した細身の男が持っていた剣を振り下ろす。


「っぶない!」


寸前のところで後ろに下がって回避。振り下ろされた剣は勢いそのままに地面に突き刺さった。というか、あの剣やっぱり本物かよ!


間違いなくあんなもので斬られたら死んでしまう。さて、どうするか。とりあえずここから無事に生きて逃げることが出来ればあの女神へ復讐するとして、今考えるべきはここからの脱出方法だ。


100度の転生を経て実際の年齢は何千歳という僕だが地球という安全な土地で過ごしてきたためこんな殺し合いに巻き込まれたことはない。


でも、100度の人生を今まで生きてきた僕だからこそできることもある!


「はぁ!」


次に攻撃してきた男の武器を側面から蹴り飛ばし呆然としているところに間髪入れずに腹パンを入れる。

かつての人生でボクサーとして活動していたこともある僕の拳は当然そこそこの重みはある。冷静になればこいつらの動きは素人同然だと分かる。流石に数十人を相手にするのは骨が折れるが慎重に行けば何とかなるかもしれない。


だらんと力が抜け地面に倒れた男を見て奴らの表情が変わる。


しまったな、全然戦えないふりをしながらもう少し策を練るべきだったか。

ジリジリと間合いをとりながら近づいてくる男たち。


息を深く吐き出し気合いを入れた瞬間と同時に飛びかかってきた。


いくら素人の攻撃だからといっても武器を持っていれば当然なかなかの威力になる。一発でも貰えばすぐに囲まれてやられてしまうだろう。


バックステップを使いながら距離を取り、足が早く攻撃を繰り出してきた奴から順に武器をはじいて拳を入れる。


「おい、止まれぇ!」


僕がばたばたと体格が僕の二倍はありそうな男たちを倒していき、立っているのがちょうど十人になった所でリーダー格の男が声を荒らげた。


「順番にかかるんじゃねえ! 一斉にかかりやがれ、数で押せばそんな小僧一人ぐらい黙らせられるだろうが!」


僕さっきから特に何も喋ってなかったんですけど!? とにかく、そこに気づかれると困る。

距離を取って強制的に一対一、もしくは一対二の形にして倒してきたが流石に残りの人数を同時に相手するのは厳しい。


「でも、やらないとやられちゃいますよね!」

「かかれぇぇえぇええ!!」


四方から迫り来る男たち。先と同じように武器を弾いて拳を入れる。作戦が思いつかなかったため、そのやり方で戦っていたが三人目の腹部に拳をめり込ませたところで手数に押され始める。


「ちょ、流石に卑怯じゃないですかね!」

「死ねぇぇぇぇ!!」


僕の抗議も虚しく脳天目掛けて斧が振り下ろされる。命の終わりなのか斧がスローモーションに見え人生で起こった様々な出来事が頭をよぎる。


………………………………………………。


「まだ何も思い出ないわぁ!」


何も無い! しいていえばあの女神に騙されたという思い出だが、こんな状態で異世界生活終わらせてたまるか!


と、思うものの斧は無慈悲にも振り下ろされて僕の頭蓋とぶつかる……寸前のところで何かに当たって止まった。


「は?」

「え?」


固まる男たち。固まる僕。


ん? どゆこと? 僕を殺すのを躊躇ったのかと思ったが血管の浮きでている斧を持った腕からしてそんなことはなさそうに見える。


とりあえず……


「はっ!」

「ゴフッ」


よく分からないが助かったので拳をねじ込んでおく。


未だに固まっている男たちの隙を見逃すほど僕は優しくはない。素早く身を動かし残りを倒しに行こうと重心を傾けたところで僕の動きは止まった。


視界の端から何かが飛んできたかと思うと一番奥にいた男の肩に突き刺さる。

矢だ。だが、その矢は妙な光を浴びている。


「君! 大丈夫!?」


矢が飛んできた方向から複数の足音が近づいてくる。


僕の目の前に現れたのは絵に書いたような軽装の女の子だった。


「大丈夫ですけど、さっきのもあなたが?」

「さっきの?」


あれ? 何故かくらわなかった斧の攻撃を防いでくれていたのかと勝手に思ったのだが、反応からして違うようだ。


「せっかく出会ったからにはお話したいところだけど、とりあえず後にしようか」


女の子はニカッと笑い、手に持ったナイフを逆手に構える。


どうやら一緒に戦ってくれるらしい。もし彼女たちが敵だったら終わっていたかもしれないが、多分味方してくれるのだろう。なんかいい人そうだし。


思わぬ味方ができた僕は彼女の横に並び再び盗賊と向き合った。

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