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行動開始


僕は生まれつき能力を持っていた。


人の願いを叶える。ほんの些細な願いでも叶えれる。


だが叶えるためには条件がある。


第一に願いを叶えたい人が青春を破棄していること。


この条件の線引きがあいまいだ。青春を破棄とはどういう意味だろう。


その辺は僕も分かってはいない。


そしてもう一つが願いを叶えたい本人の命を差し出す。


人の命より大切な願いなんてあるのだろうか。そんな尊いものあるはずないと信じている。


なら命で命を復活するのはどうか?


対価が取れるのでは?と思うかもしれない。


でも僕はしない。出来るかもしれないが死人を生き返したり、もうすぐ亡くなるはずの人間を蘇生させたりすることは危険だ。


人の生死は自然の摂理から離れ、大きなパラドックスが起きてしまうかもしれないから。


これは如月からの受けよりだが親殺しのパラドックスに近いことになる。


そんなことが起きるとこの世界がどうなるか分からない。


災厄皆が一人の願いで世界が滅んでしまうかもしれない。


僕は天秤にかけてはいけないものを天秤にかけてこの判断を下した。


一人の命と世界を天秤にかけ、大きなパラドックスが起きるような願いは叶えない。


なら僕が小さな願いなら叶えるか。答えはNoだ。


そんな些細な願い自分で”死ぬ気”で頑張れば本当に死なずに済む。


そんな些細な願いの時も僕は能力を使わない。


能力を使わず僕に出来るお手伝いをすることにしている。


結局僕はどんな願いでも能力は使わない。そう心に決めている。




「なるほどね」


いつも慌ただしい教室が静まり返っている放課後、如月は少し考えながら困惑を浮かべている。


「最初から整理しよう」


如月の頬を夕日の遮光が照らしている。化粧をつけてはいないだろうその白色の肌を一層美しく際立たせ


る。本人は周りから浮いてしまうから好きではないと言っていたが僕は女の子は美しい方がいいと思う。


ただ僕がそう思っただけで彼女の意思は変わらない。


これはただの思考でしかない。


「要するに青年にはこの世から消えたい。どうしても逃げたいんだ」


如月はこちらを向き同意を得ようと目線を向けてくる。


「そうだ、青年は楽に死にたい。でも問題は”何故青年が楽に死にたいのか”なんだ」


「何故?思い道理にならなくて自虐的になってるだけじゃないの?」


「そうかもしれない。でも……」


「でも?」


「如月は『あと三日の余命です』と医者に宣告されたらどうする?人生最後の三日間、そしてもがき苦しんで死んでいく」


どんな手を尽くしても助からず苦しく死んでいく。


人生に意味を見いだせないまま。


「私は日常を過ごす。今の日常以上の幸せなんてないもの」


はっきりと言い切った。世界で今私が一番幸せだと言わんばかりに。


「でも周りから異端な存在として見られたり、欲しくもない同情を貰う。

それでも今の日常を過ごしていきたいと本当に思うの?」


「何故周りを気にするの?私はいつも正直でありたい。自分がしたいこと、自分が望むことを周りのせいにしてやらないのはただの身勝手だよ」


当たり前だけど、当たり前だけど流されてしまう。


そうできたらどれだけいいか憧れた。でも……。


「でも死んでしまうのは悲しいな。もうこの日常がないのは」


「そう、でも死に方次第で悲しさは和らぐだろうか?例えば三日しか生きれない命で、苦しみから解放されるために一日目に安楽死を選び死ぬ。三日間生き続け苦しみながらも最後を迎える」


「つまり、最後は死んでしまうことに変わりはないけれど”どんな最後が個々にとっての幸せか”が分かればいい、そういうことでしょ?」


補足の半分も言わぬまま結論を言われ少し残念だったが、要領がよく話しやすい。これも如月の長所かもしれない。


「じゃあ最後を迎え、少年の心を動かした出来事を語ってね」


ただの僕の妄想かもしれない仮説を語ろう。


ありもしないかもしれない。ただのフィクションです、と書かれるかもしれない。


それでも、いやそれだからこそ語るべきなのだ。

ミステリーとは???

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