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量産型勇者の英雄譚  作者: ちくわ
七章 精霊の契約
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七章五十九話 『二つの希望』

「まずいな……」


 刀身についた血を払うように剣を振るい、アテナは眉間にシワを寄せながらそう言った。

 隣で疲れたように片膝をつくシャルルは額に流れる汗を拭い、


「まずいって、なにがまずいの?」


「気付かないか? 先ほどから魔獣の数が明らかに増えている」


「そういえば……確かに……。まさか、ルーク達になにかあったって事?」


「恐らく魔元帥と接触したんだろうな。決着を急ぎ、魔元帥は魔獣の数を増やしたーーといったところだろうか」


 いくら殺しても魔獣の数が減る事はない。

 一匹殺せば二匹増え、二匹殺せば三匹増え、そうやって魔獣は延々にその数を増やし続けている。終わりが見えないなんてもんじゃなく、このままではいつか体力が切れて死ぬのは目に見えていた。


 アテナは目の前に迫る魔獣を切り伏せ、


「このままではらちがあかないな。なんとかしてあの亀裂を破壊しなくては」


「破壊って言っても、アテナの魔法でなんとかなるの?」


「……無理だろうな。私は魔法が使えるが、あくまでも使えるだけだ。特段優れている訳ではない」


「それじゃあどうするのよ」


「今破壊出来るのは、ルークとケルト、あとは……」


 そこで言葉を一旦区切り、アテナは商店街の方へと視線を移した。

 アテナの目に入ったのは翼だ。

 大空を切り裂き、神々しいまでに燃え盛る二つの翼。あれがなんなのかは分からないが、あの翼の下に誰がいるのかは分かった。


 シャルルも同じように翼を見つめ、気味が悪そうに呟く。


「あれって、アキンがいる方向よね? あのおっきな翼、もしかしてアキンが出してるの?」


「……多分、な。しかし……あれは魔法ではないと思う。あんなバカみたいな力の塊見た事がない」


「魔法じゃないって……」


「私の知り合いに凄腕の魔法使いがいる。だが、恐らくあそこまでのものは出せない筈だ」


 頭に浮かんだのはメレスだ。

 仮に彼女が本気を出したとして、あの規模の翼を作る事は出来るだろう。しかし、作るだけだ。中身はすっからかんになるだろうし、数秒経過すれば空中分解してしまうに違いない。


 百メートル以上の翼を維持し、なおかつ羽の一枚一枚に途方もない力を込める。そんな芸当、世界を旅してきたアテナですら見た事も聞いた事もなかった。

 あれは、まったく別次元の力。

 人間が扱える力の範疇を大幅に飛び越えていた。


「あれがなんなのかは一旦置いておこう。アキンになにか起きたのは間違いない、それが幸なのか不幸なのかは分からないがな」


「だったら、早くここを片付けて助けに行かないと」


「そうしたいのは山々なんだが……向こうはそれを許してはくれそうにないな」


「ったく、面倒くさすぎ。本当に無限にわき出て来るじゃない」


「この計画を実行する上でかなりの時間を費やして来たのだろうな。たとえバレても圧倒的な力で有無を言わせず押し通すーーまったく、魔元帥といのはつくづく面倒な存在だな」


 戦闘が始まってからどれだけの時間が過ぎただろうか。一向に変わる気配のない光景、相手の戦力。体力だけではなく、やる気は根気といった精神面での消耗の方が激しい気がしていた。

 とはいえ、


「やるしかない。魔元帥は必ずルーク達がどうにかする、私達はそれまでなんとしてでもここを死守するぞ」


「あったり前じゃない。この程度の絶望、私達にとっちゃ日常茶飯事だったのよ」


 疲労がない訳ではない。足を引きずるようにして立ち上がるシャルルの表情は険しく、すでに体力の限界を迎えているのだろう。当然だ、ここにいるのはただの一般人。なにか特殊な訓練をつんで来たアテナとは違う。


 しかし、そんな一般人が必死に立ち上がろうとしている。騎士団であるアテナが、団長であるアテナが、ここで引き下がる訳にはいかない。

 フラフラと世界をさ迷い、今まで仕事を放棄してきた責任があるのだから。


「あまり無理はするな」


「するわよ。やせ我慢とかじゃなくて、多分ここで頑張らないと一生後悔するから」


「……変わったな、初めて君を見た時とは大違いだよ」


「変えられたのよ。どっかの誰かさん達にね」


「フッ、そうか……ならば私も頑張らねばな」


 軽く口角を上げたシャルルに、アテナは鼻を鳴らして微笑んだ。

 自分の知らない強さを、あの青年は持っている。それを他人に分け与え、誰かの希望となる事が出来る。


 アテナはこう思っていた。

 彼の行く末がどうなるのか、見守ってみたいと。


「さて、ここからが本番だ。消耗戦になればこちらに勝ち目はない。一秒でも早くあの亀裂を破壊するぞ」


「さっき出来ないって言ってなかった?」


「やるさ。君の知っている勇者ならそう言うだろう?」


「そうね。多分、意地でもぶっ壊してやる! って言うと思う」


 ベキベキ!!となにかが裂ける音がした。

 音源は亀裂。空中に刻まれた亀裂が僅かに広がり、そこから新たな魔獣が姿を現した。

 緑の鱗に全身を包まれたドラゴンだった。

 しかも一匹ではない。二匹、三匹と数を増して行く。

 どうやら向こうも本気のようだ。


「まだ、やれるか?」


「当然。余裕よ余裕」


「ドラゴンは私が殺る。君は小型の魔獣を頼む」


 戦力的に考えれば勿論向こうが上。そんなのは考えるまでもなく、目の前の光景を見れば誰だって分かる。

 だが、諦めない。

 なぜなら、こちらには希望があるから。


 純粋な光ではなく、鈍く濁った光かもしれないが、確かに照らしてくれる光がある。


 ーー勇者という、希望の光が。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ガジールさん!」


「情けねぇ声出してんじゃねぇ! 俺は大丈夫だから目の前の敵に集中しろ!」


 ガジールの怒声に、こちらへ駆け寄ろうとしていた男の足が止まる。不安と緊張、そして恐怖が混じった表情の男に、ガジールは心配をかけまいと精一杯微笑んで見せた。


(こりゃ、まじぃなオイ……)


 強がり以外のなにものでもなかった。

 完全に一戦から退いたガジールの体では、体力的にこの戦いは厳しい。それでなくても良い歳なのだ、老人の体はもう無理だと悲鳴を上げていた。


 恐らく、戦力が一番劣っているのはここのメンバーだ。そもそも魔法を使える人間が数人しかおらず、使えるといっても小さな炎を出したり、かすり傷を治せる程度。亀裂を破壊するという一番手っ取り早い方法を使えないのだ。


(流石に厳しいか。俺は、ここで死ぬかもしれねぇなオイ)


 今まで何度か死ぬかもしれないと思った事がある。

 恐怖に体を縛られ、一歩も動けない事だってあった。これから自分は死ぬ、そう本能が警報を鳴らした事も。


 しかし、今回はそのどれもと異なる。

 静かに、死ぬかもしれないーーそんな予感がしていた。

 恐怖も不安もなく、ふと、そう思ったのだ。


(思えばクソみたいな人生だったなぁ。何人も殺した、何度も盗んだ……今まで生きてこれた事自体が奇跡だった)


 神様という存在がいるのなら、ガジールは真っ先に罰がくだり、問答無用で地獄に叩き落とされていただろう。それでも、今こうして生きている。みっともなく足掻いて、命を継続させている。


(これが、俺の生きてきた意味ってか? 最後の最後で、誰かを守るために死ねってか?)


 それも悪くないと、そう思っていた。

 こんなろくでもない人間でも、最後を美しく飾る事が出来たのなら。未来へと新しい命を繋ぐ事が出来たのなら。それはきっと、ガジールは本当に望んでいた事なのかもしれない。


(お前らだけは、必ず守ってやる。誰一人死なせやしねぇ。それが俺の、俺に出来る最後の親としての務めだ)


 生きていて良かった。助けてくれてありがとう。

 そんなありふれた言葉でも、ガジールは満足だった。

 自体の生きてきた証を、軌跡を、こうした残せる事が出来れば、もうなに一つ思い残す事はなかった。


 だから、


(最後までもってくれよ。なんのために今まで鍛えて来たんだ、なんのために修羅場を抜けて来たんだ……この時のためだろ、この一瞬のためだろうがオイ!!)


 短刀を握り締め、とっくに限界を過ぎた体に鞭を打つ。年齢という逆らえない鎖を引きちぎり、老人は再び盗賊へと戻る。

 誰かを守りたいという、盗賊らしくない願いのために。


 ガジールは駆け出した。

 現れた数匹のドラゴンに向けて。


「こっちはまだまだ現役だぞオイ!」


 こちらを噛み砕こうと迫る顎を跳躍して回避し頭の上に着地。暴れるドラゴンから振り落とされないようにしがみつくと、握っていた短刀をドラゴンの赤い瞳に突き立てた。一度ではなく何度も振り下ろし、の視界を完全に奪い去る。


 ドラゴンの苦痛に満ちた雄叫びを無視し、今度はもう片方の目に短刀を突き刺した。

 刃こぼれした短刀ではドラゴンの鱗を貫く事は出来ない。今出来る最善の行動を的確に、迅速にこなす。

 それは全て、盗賊とした生きて学んだ事だった。


「次だ! どっからでもかかって来いやオイ!」


 ドラゴンの両目を潰すと、ガジールは額から飛び下りた。着地の瞬間に膝を曲げて衝撃を殺し、そのまま前転して起き上がり、さらに加速して次の獲物へと飛び掛かる。

 ガジールは笑っていた。


 昔を思い出し、楽しくて笑っていた。

 だが、あの時とは違う。誰を殺しても、なにを盗んでも満たされなかったあの頃とは。

 誰を守っているーーそう感じるだけで、自分の中にあった空っぽが満たされていくようだった。


「うらァァ!!」


 叫び、次々とドラゴンの両目を潰して行く。

 寿命が大幅に削られるような感覚、死を目の前にしながら、それに抗う感覚。そのどれもが懐かしいものだった。


 ガジールは幸せだった。


 最後に欲しいものが手に入った。

 誰かを救えた。

 そして救った命はこの先も続き、再び新たな命へと繋がれて行く。


 なにかが欲しかった訳ではない。

 なにかを、残したかったのだ。


「ガジールさん! 危ない!」


「ーーっ!?」


 声が聞こえた時には遅かった。

 走るガジールの真横から迫るのはドラゴンの尻尾。ゆっくりと、なにもかもがスローになった。その反面、体は動いてくれない。

 出来る事といえば、体を丸めて頭を守る事だけだった。


「が、ぐーー!!」


 尻尾が直撃した瞬間、右腕から嫌な音がした。骨が砕け、砕けた骨がさらに砕けるような音。耳鳴りがうるさいくらいに響き、気付いた時には体が宙を舞っていた。

 ゆっくりと、ただゆっくりと落ちる。


(くそ……)


 上空から見下ろして初めて分かったが、そこに広がるのは絶望だった。

 地面に体を叩きつけられた時には、もう意識が半分飛んでいた。ぐったりと倒れ、右腕から響く痛みがもう半分の意識を満たして行く。


(まだ、だ……)


 体は動かない。立ち上がっているつもりなのに、体の部位はなに一つ反応を見せない。手からこぼれ落ちた短刀を拾う事さえ出来ない。

 その感覚を、ガジールは知っていた。


 どうしようもないもの。

 命に必ず訪れるーー死だった。


「……あ……が」


 抗っても、無意味だという事は分かっている。

 だが少し、あともう少しだけ動いてくれと願う。まだなにも終わっていない。まだなにも残せていない。

 自分が死ぬのは構わない。

 それでも、自分が残したいものだけはーー。


「クソ……クソクソ……」


 地面が揺れる。地を伝ってガジールの体を揺らし、目の前に迫るドラゴンの足音だけが鼓膜を叩く。

 潰されるのだろうか。食いちぎられるのだろうか。

 冷静に、自分がどうやって死ぬのかを考えていた。


「……悪い。あとは頼んだぞ、アンドラ」


 ようやく絞り出せたのは、謝罪の言葉だった。

 自分の残した希望に、あとを託す事だけだった。


 だがーー、


「……あ?」


 死が訪れる事はなかった。

 目の前で起きた光景に、ガジールは思わず間抜けな声を上げる。

 足を振り下ろそうとしたドラゴンが勝手に吹っ飛んで行ったのだ。まるで、透明な壁にでも阻まれたように。


 ガジールだけではない。

 その場にいた全員が息を飲んだ。

 そんな中、男の声が響いた。

 適当な声だった。こんな状況だというのに、あっけらかんとした。


「あのぉ、すんません。ちょっと聞いても良いっすかね? 俺ルークって男を探してるんですけど」


「え、あ……俺か?」


 倒れるガジールの横に立つ男は、戦場にいながならむしゃむしゃとパンをむさぼっていた。声だけではなく、男の放つ雰囲気そのものが適当だった。なんというか、適当という言葉を人間の形にしたような。


「いやぁ、ちょっと用があって探してるんですけど、色々すれ違ってここまで来ちゃったんすよ。んで、なんか騒がしいからもしかしたらーって思ったんすけど」


「ルークって、あの目付きが悪い奴か?」


「あれ、もしかして知ってます? 多分頭の白い精霊が一緒だと思います。あ、あと桃色の髪の女の子」


「お、おう。多分俺の知ってるルークだと思う」


 完全に男の雰囲気に飲まれ、先ほどまで意識していた死という単語がどこかに飛んで行ってしまった。

 男は倒れるガジールを見つめ、残りのパンを放りこむと、


「んじゃ、俺と取り引きしません?」


「取り引き?」


「この場をどうにかするんで、そのルークの居場所を教えるってのはどうすか?」


「別に構わねぇけど……いやちょっとまて! どうにかするってなにする気だ」


「そんなの決まってるでしょ。魔獣を蹴散らして門を破壊する。ちと骨が折れそうっすけどね」


 腕まくりをし、男はそこら中に溢れる魔獣の数を数え始めた。しかし十本の指を使っても足りない事に気付いたらしく、自分の指と魔獣を交互に見つめ、それから面倒くさそうに息を吐いた。


「んまとりあえずどうにかするんで、おじさんはそのまま休んでてください。他の戦える人は手を貸してくださいね? 流石に武闘葉派じゃない俺にはきちぃっす」


「ちょ、ちょっとまて! お前なに者だ!」


「それは秘密。名前はナタレムって言うんすけど、それ以外は教えられないっす」


 ひらひらと適当に手を振り、ナタレムと名乗った男はなにもない道を進むように魔獣の群れへと歩き出した。


「ちゃんと見ててくださいよー」


 誰に言っているのかは分からないが、男は空を見上げてそう呟いた。

 その直後だった、ナタレムの周囲が歪んだのは。

 そしてーー次々と魔獣達が吹っ飛んで行った。


 先ほどと同じように、見えない壁にでもぶつかったようなーー否、確かにそこに壁があった。ガラスように透明で、薄い壁があった。


 ナタレムはポリポリと頬をかき、再び空を見上げて呟いた。


「そんじゃ、やりますか。ここで良いとこ見せれば交渉も上手くいきそうだし」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 その感覚は、初めて魔元帥と戦った時に似ていた。

 どう足掻いても勝ち目なんて見えなくて、ただ無力さを嘆くしかない。立ち向かう事は無意味で、ぶつかる度に力の差を痛感させられた。


 ーーアキンは、諦めかけていた。


「ーーーー」


 そう、かけていた。

 だが、完全に諦めた訳ではなかった。

 もう一歩も動けず、先ほどの翼はおろか魔法すら使う事も出来ない状況に置かれながらも、まだ諦めたようとはしなかった。


 なぜか?


 簡単だ。

 あの時と同じだったから。

 絶望の底を照らす、小さな希望の光を見たからだ。


「良く頑張ったね。小さいのに偉い偉い。お姉さんここに来て正解だったよ」


 それは一瞬の出来事だった。

 もう無理だと諦めたかけたその時、その女性は現れた。

 アキンを守ろうとする男の前に突然現れたかと思えば、周囲で暴れる魔獣を丸ごと炎で焼き付くしたのだ。


 魔法だった。

 女性の放った魔法が、絶望をたった一撃で凪ぎ払ったのだ。

 花の髪飾りに触れ、女性は優しい笑顔でアキンを見る。


「こんなボロボロになるまで頑張って、まったくあの子はなにしてんだか。ちゃんと小さい女の子は守らないとダメなんだぞ」


「え、あの……えと」


「あ、ごめんごめん。傷を治すのはあとでも良い? 先にあれどうにかしないとだから」


 腕を組みながら誰かに向けて文句を言ったかと思えば、動揺するアキンを見て女性は直ぐに表情を和らげる。

 しかし怒りは収まらないようで、


「もう、本当はこういうのダメなんだからね。私の愛する夫がどうしてもって言うから助けてあげるだけで、うちの教育方針じゃないの。というか聞いてよ! また迷子になっちゃったんだよ!」


 アキンは珍しく呆れた顔をしていた。

 なにを言っているのか、なにに怒っているのかまったく分からないし、女性は今の状況を把握出来ていないのではないだろうかーーそんな事さえ考えてしまう。

 体を引きずりながら、アキンはなんとか話題を戻そうと、


「あ、あの! こんなところにいたら危ないですよ!」


「ーー! 偉い! ちゃんと他人の心配が出来るなんて偉いよちびっこ! そんな小さいのに……お姉さんがなでなでしてあげちゃう!」


「そ、そういう事じゃないんです!」


 撫でるというよりは頭を擦ると表現した方が正しいだろうか。摩擦で燃えそうなくらいにアキンの頭を擦り、女性は満足したように鼻を鳴らすと、


「さて、お喋りはこの辺にしとこうか。早くしないと大変な事になっちゃいそうだしね」


「ダメですよ! 危ないから逃げてください!」


「へーきへーき、お姉さんこう見えて実はすっごく強いんだよ? それに、たまには…………らしい事もしないとね」


 最後の方は上手く聞き取れなかったが、その瞬間に女性の表情が変わった。

 その顔を横顔を見た瞬間、アキンは誰かに似ていると思った。どこかで、こんな顔をした人にあった事があると。


「あの、貴方は?」


「ん? お姉さんの事? んー、お姉さんはね……」


 女性は顎に手を当て、少し考えるように卯なり声を上げる。

 それから前を向き、人差し指を魔獣に向けて叩きつけると、


「通りすがりの一般人、かな。今からお姉さんがぶっ飛ばしてあげる」



 絶望の中でこそ、希望は輝く事が出来る。


 今こそ、反撃の刻は来た。



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