フールンが好きだから1
感情のままここまでドクシィと走って来ていたが、
激情が去った後の身体からどんどん熱が奪われていくのを
少し投げやりに感じていた。
「・・・・はあ・・・・寒い・・・・」
怪我した身体を酷使し過ぎたためにすでに痺れが来て痛みが麻痺している。
・・・・・頭も重い・・・・・・
「・・・・ぶるる・・・・・」
ドクシィがゆっくりと気使ったように歩き出し近くの木の下に進んで行くのを感じながら
意識が遠のいていった。
「・・・・・・フ・・・フールン・・・・・」
身体が重くて熱い・・・・何だかちょっと疲れた・・・・かも・・・
半分夢現の状態で身体に何かが触れてきたようで
不快感を感じ薙ぎ払った。
・・・・・・ドクシィ・・・・・ドクシィの・・・鬣は・・・?
必死にドクシィを探すが一向に指先に触れない。
・・・・ドクシィ・・・・・何処?
・・・・ドクシィ・・・・・・?・・・・ドク・・フールン・・・
寒いよ・・・・・フールン・・・・・
意識が混同しながら・・・・右手で温かさを探す。
『・・・ケルレン・・・・・!?・・・・何で?俺は駄目なのかあ?』
遠くの方で何か声がしている、
相変わらず重い身体のまま右手をめいいっぱいに伸ばす。
・・・・・・あ・・・・これ・・・・これを探していたんだ・・・
その指先に少しだけ触れた温もり、
私の大好きな私が安心する温もり。
引っ付いて行くと私の身体にぴったりと当てはまって・・
トクントクン
命の音を聞いて安心して・・・
強張っていた心と身体が温かく力が抜けてゆく。
『どうせなら、俺に引っ付いてくれたら良かったのに・・・・・』
『・・・・チーフォン兄上・・・・ふざけていると追い出しますよ・・・』
『・・・・何で俺が、俺のゲルから追い出されるんだよ・・・・・』
再び身体に触れてきた何かに、この温もりから離されそうで
首を振ってますます温もりにしがみ付く・・・・・と
しばらく躊躇った様に髪に触れた後、
ゆっくりと繊細な指がケルレンの髪を梳いて行くのににっこりと
ケルレンは微笑を浮かべていた。
・・・私は、この温もりが好き・・・・・
・・・・・・心と身体が安らいでいくこの温もりが・・この指が・・・・
『今だけだからね・・・・ケルレン・・・
今だけこうしていてあげる・・・・・君は、君を愛する人と共に行くんだ・・・
君だけを愛してくれる人と・・・・・』
耳元で優しく囁く言葉を意識の外で聞きながら
眠り続けていた・・・