無力2-3
「フールン様達だ・・」
私達を見て一族の者が囁く。
フールンと私見詰め合って小さく頷き合い
祭壇へと歩を進める。
「二人同時の戦士の剣の受領か・・!?」
今日成人の儀を迎える人達の大きな身体に
間違って紛れたように幼い二人が並んだ。
「草原の誇り高き戦士の一族ハンガイの
子達よ・・・」
朗々と響き渡る呪師の声に剣の受領を受ける者皆
共に片膝をつき
頭を下げ神と祖霊の祝福を受ける。
一族の愛情と尊敬と嫉妬を含んだ視線が注がれるのを
意識しながら私達はお互い顔を合わせて
お互いの緊張がほぐれるように小さく微笑みあった
私達の兄(私にとっては実際は従兄にあたるけど)であり
はじめに剣を教え師に付くようになってからもたびたび
相手になてくれたチーフォン長兄の
壇下から優しく見つめているその瞳がくすぐったい。
私達は本当にもう剣を受け取って良いのだろうか
一族の戦士と・・・・東の軍事大国、草原の勇者に
なれるのだろうか?
ケルレンの心に不安が過ぎる。
ハンガイの戦神とか闘神とさえ呼ばれる程の
才能と実力を持ったチーフォン長兄でさえ
まだ私達の年に剣を受けてはいなかったのに
握った手の平に汗が滲む。
(フールン)
唇だけで呟くとフールンは少しだけ顔をこっちに
向けると安心させるようにまた笑ってくれた。
『たとえ今は実力がともなわなくても
必ずそれに相応しい者になると私は誓うよ。』
フールンの声が聞こえる気がする。
私も誓おうと思う。
フールンに誓いたいと思う。
「私は誓うこの剣をもって一族を誇りを
全ての護るべきものと護りきることを誓う!」
一族に、大切なフールンに
ケルレンは高らかに宣言した