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太陽のカケラ  作者: のえる
48/105

無力2-2

「ケルレン」

チーフォン兄上は抱き締めてくれた。






涙で一杯になった瞳を上げると

まだまだ成人の儀がまだな短い髪

あどけない顔のチーフォン兄上の顔


「・・・・兄上・・・・・乳母やが・・・

じいも・・・・・何故?何故なの?」

ばあやが毒を飲んだってどうして?

じいはどうしてあんなにいっぱい切りつけられているの?

その当時フールンの死を望んでいる人がいることも

護られていることも何も知らなくて

ぐしゅぐしゅになって訴える私の

短くなった頭をチーフォン兄上はポンポン叩く。


「・・・・・・お前達は強く優しく誇り高い者達の

命を貰ったんだ・・・・・それに恥じない生き方をするんだ」


「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・命・・・?」

見上げる私に対して強く頷くチーフォン兄上を

フールンは静かに泣きもせずに見ている。


「・・・・・・・・フールン?」

覗き込むチーフォン兄上を無表情のままフールンは見つめ返し

ほんの少し掠れた声で


「・・・・乳母やとじいは・・・・・私の為に

死んだ・・・?」


瞳は沈んだままだというのに

口元に小さく微笑みさえ浮かべながら問いかけるフールンに

チーフォン兄上は何も言えないようだった。


「・・・・・ねえ・・・・兄上・・・私にそんな価値があるの?」

まだ幼いはずのフールンの

妙に大人びた微笑にチーフォン兄上が瞳に痛々しい光を宿す。



「・・・・フールン」

フールンの名前を呼ぶことしか出来ないチーフォン兄上の

腕に抱かれてぐしゃぐしゃと泣いていたけど

たまらない気持ちになって

その場所から抜け出しフールンへと飛びつく


「・・・・・馬鹿ぁ!・・・・・フールン馬鹿!!」

齧りつく様に私はフールンを抱き締める。

しばらくキョトンとした表情をしていたフールンが

恐る恐る自分の片割れの背中に腕を廻して

なんとか表情を伺おうとしている。


「・・・・・・・大好き・・・フールン・・・・

・・・・価値あるよ?消えて欲しくないよ?

・・・・・・・私が乳母やとじいの敵を取るから・・・・絶対許さない

切り刻んでやるんだから~!!」

そして再びわあわあと泣き始めた私の背中を

フールンは慰める為にそっと何度も撫ぜた。

同じく大切な人を失い嘆く片割れを

泣き止むまで撫ぜていてくれた。




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