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太陽のカケラ  作者: のえる
45/105

無力1

「・・・・・済みませんが一緒に来てもらいますよ

バイカル族長の娘セレンゲ・・・。」

前に抱えたセレンゲに微笑と共に出来るだけ

優しい声で話しかける。


「・・・!?・・」

キョトンと見つめるセレンゲに対して

「大丈夫」というように小さく頷いて


「・・・・・せっかく結っていた髪が取れてしまって

申し訳ないです。」

そっとバラバラになってしまった

セレンゲの髪に触れて謝る。


「・・・・・・。

・・・あの・・・・

・・・血・・・大丈夫ですか?腕・・・」

セレンゲは、物言いたげにジッとケルレンを見上げていたが

すぐに瞳を逸らし体の前で手綱を持つ

ケルレンの血が滲んでいる右腕に瞳を落として

おずおずと傷口に触れようとする。


「・・・・肩も・・・」

「大丈夫!・・・気にしないで下さい。」

慌てて触れようとする手を止めると

ケルレンは、「ごめんなさい」と呟いて俯いたセレンゲの

髪をそっと2回3回右手で撫ぜて「気にしないで」と小さく首を横に振った。









後ろに5騎程を従えてフールンは燃え盛る森の中を

まだ走り抜けていた。

セレンゲを救えるとしたら

まだ遠くに離れていないだろう今しかない


「音にも気をつけろ・・・」

静かに頷く男達に囲まれ

フールンは、緊張と炎の暑さに額から汗が滴っていた。


「・・・相手は・・・追っ手を撒きたいと同時に・・早く連れ帰りたいと

思っているはず・・・」

裏を斯く事も考えられるが

恐らく炎の方には向かっては居ないだろうとも思われる。


「・・・とすると・・・炎の無い方で・・・・

森の戦場の反対側の出る方向・・だな・・。」

フールンの呟く声に少し驚いたような声で


「・・・炎が無く戦場の反対側・・・・ですか?」

と聞き返す男を振り返りフールンは


「炎の中では長く居ることは出来ない・・・早く仲間の所に戻りたいと思っているはず

・・・・仲間の所・・・本拠地は戦場からは離して安心できる所にしたいだろう・・・・?

そして炎を潜るような危険な道を人質を連れては行けない・・・。」

短く説明し再び視線を前方にもどしさらに馬の速度を上げた。




「後継!!」

ようやく森を抜けるという時になって

前方にかなり急いで馬を走らせている男の姿が見えた。


3人・・・4人か?・・

注意を促す者の声にフールンは命を下す。


「・・・分かっている・・・・

時間をかけるな・・・・馬の足を狙え・・。」

一斉に射かけられる矢に男達は騒然とする。


「なぜここに!?・・・・・追いつかれた!」

馬を止められ落馬しながらも必死で逃れようとするイェニセイ族を

取り囲んで次々と静かにしてゆく。

イェニセイ族の男達はフールンが予測した通りに

張られた網に次々と掛かってゆく羽目になった。



「セレンゲは!?・・・・セレンゲはまだ見付からないのか?」



・・・・・・叫ぶフールンの目の前では

激しく火の粉が飛び交っていた。


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