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太陽のカケラ  作者: のえる
42/105

戻れない場所4

「・・・・・・・・」

瞳の前が赤く染まる。



「・・・・・・・・バ・・・・・・バカ・・が・・。」

心が逸ったのか命も無く切りかかって行った者の

貫かれた背中がジワジワと染まってゆくのに思わず言葉が漏れる。


「・・・・や・・・・ろう・・。」

呟き力尽きた男の姿に知らず居たたまれない気持ちになった。

仲間とか部下とかそういう感覚は余り無いが

チョイルン達の言葉にケルレンに付いて来てくれた名目だけの味方、


「・・・・・相手は、ハンガイの戦士リーフォスと・・・・イルフィス

族長の2番目と3番目の息子だ・・・・・。」

只でさえ先ほどの戦闘で疲れているイェニセイ族が

そう簡単に勝たせてもらえるわけが無い。



「焦るな!・・・・・・多勢に無勢、落ち着いて行くんだ!」

瞳の前に二人に守られた恐らく探しているバイカル族の

セレンゲと思われる小さな少女が居ることに

瞳の色を変えているイェニセイ族の戦士に指示を与える。


「私が・・・・・・行く・・・援護と、奪取を。」

勝つことは出来ないが奪取する為だけなら身軽でハンガイの剣を知っている

私が行くのが一番成功の可能性が高い、そう判断し

ケルレンは、剣の力を全快で解放した。









「・・・・将がその場を離れてどうするのだ!!」

父、ハンガイ族長の声に

フールンは息を呑み下を向くがすぐに再び父であり長である

ウリュスタイに瞳を戻す。


「・・・・・セレンゲは・・・・・私の・・

ハンガイの後継の許婚を奪われては我が一族の威信にもかかわること

・・・・・それには私自身が行かなくてはならないのではありませんか?」

(私は、セレンゲに対して責がある)


「父上・・・・長兄・・申し訳ありませんが

この場を離れることお許し下さい・・」

50ばかりを連れ今度こそ馬首を燃え盛る森の方へと向けた。







「・・・・・・セレンゲ!・・・」

木々が燃え盛る炎の中をフールンはその存在を探した。


「次兄!三兄!」

許婚を、兄達をそして一族の者を必死に探した。

この炎は何なのだろう、イェニセイ族がセレンゲ達を見つけ出し

火を放ったのだろうか?・・・何故?

状況と、その意味を理解しようと頭を冷静に保ちながら

あちらこちらと炎が燻っている森の中を探し求める。


「・・・・ここで・・・戦ったか?・・・」

一面に女子供と家畜を護る為に付けたハンガイの戦士達と

それと戦ったのだろうイェニセイの戦士達が息絶えていた。


「・・・・・・燃えている木を倒して・・・・

これ以上の燃え広がるのを防ぐんだ・・・・・10人・・共に・・。」


指示を与えつつフールンは、10人程の戦士を連れ

まだ敵が近くに居る可能性がある先にさらに進んだ。





メェー

「・・・・!?」

(羊の声?残ったハンガイの者が避難させているのか?

・・・・が、もしかするとイェニセイ族かもしれない。)

緊張のあまり激しく動悸がする胸を何気ない顔を作って押さえて

警戒を緩めないまま急ぎ其方に向かう。


向かうごとに羊だけではなく

牛や馬の声も聞こえ始めと同時に女達のすすり泣く声が漏れ聞こえ

逸る心を抑え、唾を飲み込み目の前の草を掻き分けた。




「・・・・・!!・・・・・怪我人の手当てを!

・・・・・家畜をまとめて誘導を・・・・・・炎の薄い方から抜けてゆけ」

「はい!」

女とその腕に抱き締められどこかキョトンとしている子供達の他に

そこには、うめき声をあげながら地面に倒れているハンガイの者2、3名ばかりと

すでに息絶えて見えるハンガイとイェニセイ族がまたここでも倒れ

家畜が囲まれてしまった炎に怯えたのか

狂乱しつつも辛うじてその場に留まっている状態だった。






・・・・・どういうことだ?



セレンゲは?・・・・・兄達は?



フールンは、不安でならなかった。






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