表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽のカケラ  作者: のえる
17/105

長の娘1

広々とした風と草のダンス場を数騎の人馬が駆け抜けた

ある一つの場所、心を一つにした仲間達の待つ場所へ

自分達と主にとって大切なものを騎上に載せて・・・・




「クスクスッ・・・・・・・ここだよ~ティル~何処見てるの~」

褐色のフワリとした猫毛を風に跳ねさせ、

黒い瞳をクルクルと輝かせながら小さな幼児が

ゲルの中の箪笥、衣装箱と隠れながら少女に話しかける。

まだ赤ん坊から脱してそんなにたっていない幼児の相手をする

ティルと言う少女の方は赤味の茶色の髪と

同色の零れるほどの大きな瞳で

少し睨みつける様に


「もう・・・・レイヤン様・・・私だって忙しいのよ!!」

といたずらな幼児を嗜める。

少女は女達と、外に出ていた仲間達が帰って来たので、

急いで食事の用意をしていた途中で、

幼児を探してきてほしいと頼まれれしまったのだ。


(せっかく久し振りにお寄りになったウルト様に

私が作ったツァイ《茶》を飲んで頂いてお話しようと思っていたのに・・)


憮然としながらもさっさと幼児=レイヤンの首根っこを掴んで

連れ出そうとするティルの首をその瞬間掴まれた


(・・・!?・・・・え!?誰?)





驚くティルの瞳に映ったのはお話したかったウルト様と

ベットに寝かされた少女・・・少年・・・・!?・・・・だった。


「え・・・!?・・・・ウルト様!!」

「・・・・・レイヤン様・・・ティル・・・ここはケルレン様が眠られているゲルだ

・・・・・『隠れん坊』で窓から入ってくるのは良い・・・・だが・・・・

余所でしなさい。」


(どうしてウルト様がここに?・・・と言うか私達が

余計なところに入りこんでしまったの?)

淡々と諭されながらもティルは頭がパニックのまま

驚きで見開いた瞳に飛び込んできた

ケルレンの姿から目を離す事が出来なかった。


(この方が・・・・・ケルレン様!?・・・・総領のあの・・・?!

少年みたいに短く髪を切った中性的な雰囲気のこの方が?


固い少しの癖がある栗色の髪、毛先が少し跳ねていて

前髪がウエーブを描いて額に集まって

肌は遊牧の民にしては滑らかで小麦というよりミルク色。


(何だかカッコイイ・・・・美形系・・・・かも)


レイヤンを追いかけて来た事もウルトが居ることも忘れて

のんきに

いち早くケルレン様が見れて幸運だった

などと思いながら

瞳を細めかすかに頬をピンクにして見つめるティルは、

やがてケルレンの睫毛が震えているのに気付いた

(あ!・・・目覚められる・・・)




彼女達が出会うのはもうすぐ・・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ