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太陽のカケラ  作者: のえる
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婚礼の儀

ハンガイ族長の後継フールンの婚儀に出席する者達が続々と集まってきた。


フールンの妻になるセレンゲの一族は勿論、チーフォン兄上の母親の一族


・・・そして、地方最大の部族にしてフールンの母親の出身部族オタル族


オタル族の部族長は、・・・フールンの異父兄だった。



「・・・・・おお!・・・・我が異父弟フールンよ!・・・・・久し振りだな!

ますます母に似てきたな・・・・。」

20歳前半頃の青年・・・オタル族の長ルーフェンが癖の強い黒い髪を風に靡かせ

意思の強い瞳を輝かせフールンの細い身体を力強く抱き締める。


「ええ・・・・お久し振りです・・・異父兄上。」

手を絡めあいお互いへの挨拶と換える。


けしてオタル族には姿を表してはならない・・・

しかし、この儀式の手薄を衝かれぬようフールンの姿が見える所で

周りを見張りながらケルレンはオタル族の長に抱き締められるフールンを

見詰めていた。


成人の儀と婚礼の儀を続けて行う為に金糸と銀糸で刺繍された

正装に身を固めたフールンの姿は

遠い世界に行ってしまうようで何だか寂しかった。

(私も成人の儀を・・・・行いたかった・・・・一緒に・・・・)


何より大切なフールンに対して嫉妬さえしかけた

自分の思いを軽く首を振ることによって振り捨て

強い意思を持った瞳で自分の守るべき人を見直す。

(私は、フールンを守る者・・・・)




まもなく今回成人の儀を行うフールンと、同じく母親より成人の証として

刺繍された帯と額当てを付けてもらい髪を結い上げたセレンゲが現れた。


「ハンガイ族の子・・・・フールン・・・月と太陽と炎の神の御名において・・・

族長ウリャスタイと呪師・・・・・草原の勇者と・・・・」


「我、ハンガイ族のフールンは、月と太陽と・・・・弱き者を助け強く誇り高い

草原の勇者となる!」


成人の証として呪師が力を封じた戦闘民族モルドルの強さの秘密とされる

一振りの剣・・魔法剣が手渡された。

今まで能力を認められ成人の前にその剣を与えられていた者も

これで、正式に長の許しを必要とせず自由意志で剣を振るえるように

なる。


「フールン様は、既に剣を与えられていたのだったな・・・・さすがに

ハンガイ族の後継だ・・・・・」

感心したような長老の一人の声が耳に届いてくる。

チラリとセレンゲの表情を覗き見ると我が事のように頬を赤らめて

下を向いていて、結った葡萄茶色の髪が肩に沿ってサラリと落ちていた。




「フールン、セレンゲ・・・・此方に・・・・」

そして、今、婚礼の儀が行われ様としていた。


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