未来へ・・旅立ち
「・・・・・良いのか?・・・・・もう」
俯いたままチーフォンの所に戻ってきたケルレンに
チーフォンは声を掛ける。
「・・・・・うん・・・・・・」
「・・・・・・そっか・・・・・」
ニカッと笑ってポンッとケルレンの頭に手を置いたチーフォンに
ゆっくりと顔を上げて笑顔を見せる
すぐに崩れてしまいそうな涙を押さえ込んだ笑顔だったけれど
そのケルレンの表情にチーフォンは何も言わないで
そっと頭を抱き寄せてくれた。
「・・・・・旅に出るか?一緒に」
チーフォンの言葉に
ケルレンは大きく頷くと
「・・・・・一緒に来てくれる?チーフォン兄上。
・・・私は、武術ばかりの無骨な者だけど・・・・」
「俺は、お前が一緒に居てくれるだけで嬉しい」
にこにこ笑ってチーフォンは答える。
「・・・・でも、私は女の嗜み何にも・・・料理も出来ないし
裁縫も出来ないし・・・それに洗濯も・・・・」
「それでもだ」
「・・・・・おしとやかなんて程遠いし
チーフォンを静かに支えるも出来ない・・・
心にはずっとフールンが居るかも知れないそれでも
一緒に来てくれる?」
ケルレンのその言葉になんだそんなこととでも
言いそうなおおらかな微笑を浮かべるとチーフォンは言った。
「俺は、そんなお前が好きなんだ!」
フールンとは違った想いだけど
ある意味同じくらい大切で
大好きな兄であるチーフォン
それがもしかしたら
本当にいつか
私の愛する人になる日が来るかも知れない
チーフォンの微笑を見ていたら
ケルレンはそんな気もしてきた。