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太陽のカケラ  作者: のえる
104/105

貴方の幸せを

「・・・・・ちょ・・・・・長兄・・・・」

「・・・・・ん?」

後継の兄として

族長の長子として忙しいだろうチーフォンは

それでもずっとケルレンの傍に居てくれた。


じっと見てみると

いつもの心を軽くしてくれるその笑顔が

こっちに向いていた。


「・・・・長兄・・・・」

「・・・・・なんだよ・・・・・・・」

軽く笑い声を上げてケルレンに何一つ責めたり

要求するようなことも言わずゆったりと

見返してくるチーフォンにケルレンは

こんな中途半端なままはいけないと唇を

噛み締める。

それでも良いとケルレンが自然にフールンを諦めるまで

待つと自然にチーフォンが好きになるまでずっと

このままで良いんだと言ってくれるけれど


「・・・・・長兄・・・・・・私と・・・・旅に出ようか?」

「良いぜ」

すぐに微笑んで答えるチーフォンに

ケルレンは、少し驚く


「・・・・・でも・・・・長兄・・・一族は?・・長子でしょ?」

「・・・・一族はフールンが居る・・・

でもお前を今支えてやれるのは俺だけだろ?」

いつもの自信満々の少し自惚れきったような

チーフォンの言葉に支えて貰わなければならないほど

私は弱くない!と

少しムッとした瞳でチーフォンを見返すが

その瞳にますますチーフォンはそれでこそケルレンだ

とでも良いたげに満足気に微笑む。



「・・・・・・・・・フールン・・・・に・・・さ、会えるかな?」

名前を口に出すと恋しさと切なさにシクシクする

胸を押さえてチーフォンに頼んだ。


「・・・・お前だったら、いつでも会えるぜ」

ケルレンは、フールンにさよならしようと決心した。












チーフォンにつれて来て貰った真新しいゲル<家>の中

随分泣いたと思うのに再び涙が溢れそうになる。

ケルレンの心を強く揺さぶる程大好きなフールンの姿が

あった。



「・・・・フー・・・・ルン・・・・」

息が詰まって上手く呼べないケルレンを

それでも優しく微笑んでフールンは一つ頷く。


チーフォンはいつのまにかそっと傍を離れて

フールンとケルレンの二人っきりにしてくれていた。






「・・・・・・フールン、結婚して


ハンガイ族長を継ぐって聞いた。


異父兄ルーフェンのオタル族も・・・・・」




「・・・・・うん、今回の戦とかで族長も


異父兄上も随分と傷ついたから・・・・


特に異父兄上は、心も・・異父兄上には後継が居ないし


私が急遽両方を継ぐ事になった。」




条件は、すぐにセレンゲと婚姻の儀を行うという事だった。




フールンのそう言う静かな声をじっと聞いてケルレンは


薄っすらと微笑んだ。




「オタルとハンガイの調整と


両部族が一緒になることで


最大の勢力になることが出来る。・・・・


私は一族を預かる者


一族に利益を一番に考えなくてはならない」


ケルレンを見つめながらの


フールンの言葉。








「そう・・・・おめでとう・・・・・


フ・・ルン・・・・・私、さよなら・・・。」


上手く言えないケルレンの言葉を

でも全て分かったようにフールンはにっこりと微笑んだ。

微笑んでまた頷いてケルレンを見つめたフールンの瞳の

中に確かなケルレンに対する愛情が見えた気がして

ケルレンは少しだけ高くなってしまったフールンの胸に

飛び込んでぶつかる様な口付けをフールンの唇に落した。




一秒、二秒・・・・離れがたくて

息が切れても・・・・30秒、1分・・・

ずっとずっと唇を合わせあっていた。






大好きなフールン

ずっとずっと私の半身だったフールン






さよなら



ありがと



しあわせに


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