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2:22の着信音

作者: 姫萩


よくわからないけど忘れられなかったので書き留めました。ノンフィクションです。純度100%の実話です。

名前はプライバシー保護の為一部変更しています。

2014.11.14.f.02:00



一週間の締めくくりである金曜の午前2時。

明日と言うべきか今日と言うべきか何故か迷うこの時間帯。私は金曜の講義を1限から5限までみっちりと詰めて取っているにも関わらず、眠れずにいた。


仕方ないのでPCを立ち上げ某笑顔動画へログイン。お気に入りのゲーム実況を眺めつつ眠気が来るのを今か今かと待ち構えていた。


すると、私の耳に届いたのはゲーム実況の音でもなく家族のいびきでもない別の音。


----prrrrrrrrガチャ、ツーツー…


我が家唯一の固定電話の着信音だった。

何故こんな夜中に?それもワン切りで。

なにを思ったか私はPC画面の端のデジタル時計を見た。

するとそこには、2:22の表示。ゾロ目だ。


無性に嫌な予感がした。


午前2時、と言えば丑三つ時。

ゾクリとなにかが背中を駆け巡る様な感覚に、私の恐怖値は最大値を超えていた。


PCをスリープにし布団に包まりお気に入りのぬいぐるみを抱き締める。

キツく目を瞑り、眠りに落ちる事だけを考えた。


----ティロリん♪


短的だが実に軽快なリズムに私の体は思わず跳ねた。

まさか、携帯の方に着信アリ的な展開が…?

暗闇の中青白く光る携帯の画面のを恐る恐る覗く。

するとそこには


おすし が スタンプを送信しました。


との表示。


「殴るぞ。タイミング的に。てか寝ろよ。」


思わず声に出しツッコミを入れつつスタンプを返すと、緊張の糸が緩んだのか私はぬいぐるみを手放し携帯をいじり始めた。


なんだ、考えすぎか。


そう思い私は携帯のアプリゲームに勤しんだ。

いやー、音ゲーはいいねぇ。あ、つむゲームもやらないと。


そんなこんなで午前2時45分。


着信の事などすっかり忘れていた私は、この後起こることなど全くもって予測していなかった。


ふと辺りが一段階ほど暗くなった様に感じる。

部屋に射し込んでいたはずの自動販売機の光が何故か弱まり、室内を照らす光はこの携帯のバックライトのみとなった。

きっと目がバックライトに慣れたせいだろうと勝手に結論付けあまり気に留めていなかったのだ。

しかし嫌に静まり返った部屋に、ギシギシと軋む様な僅かな音が響く。その音はどうやら扉の向こうの廊下から聞こえる様で、近付いては遠のきを繰り返している。


とんっ。


猫の出入りの為半開きにしていた部屋の木製の扉がなにかに小突かれた。

軽やかな音が静まり返った部屋に響き、耳に恐怖と共にまとわりつく。


布団を被る間も無く私の動きは止まった。

振り向いたらきっと、何かいる。

確証はないがそんな気がする。

ぬいぐるみを胸元に抱き、振り向かない様じっと明るい携帯の画面を見つめる。


振り向いたら、終わる。


そんな緊迫とした時をぶち壊したのは


----ティロリん♪


おすし が スタンプを送信しました。


これだった。


さっきバッドタイミングだったから学習したのかな?どちらにせよえらい!和んだ!


一人で勝手に安堵していると頭上斜め後方から舌打ちの様な音が聞こえた。

一瞬悪寒が走るもののメッセージ画面を開きつつ何気無く振り返ってみても、そこには糸目の猫かウサギかわからない白く丸いぬいぐるみが鎮座しているだけで特に変わった様子はなかった。


私は大きく安堵の溜息を吐き天井を見上げる。

全ては思い過ごし、きっとそう。

にこやかに微笑み自己解決を図った。


----prrrrrrrr、ガチャツーツー…


けたたましく響いたワン切り着信音。

私の顔から笑みが消えた。


時間を確認すれば午後3時ジャスト。


偶然とは思えなかった。


私は布団から出て、電話のある部屋へ向かった。出てやろうと思ったのだ。

幸い電話のある部屋は両親の部屋。寝ているとはいえ一人ではないことが確かな為そう思えたのだろう。


電気をつけても何故か薄暗い廊下を、軋む音を無視しつつ歩いているとあの音が聞こえた。


----prrrrrrrr、prrrrrrrr、prrrrrrrr


ワン切りじゃない、連続した着信音。

それもワンコール毎にやけに大きくなる。

けたたましい音が廊下にまで響き渡り耳を塞がないと痛いほどだ。


なのに、誰も起きてはこない。


こんなにも大きな音が、耳を劈くような音が家じゅうに響いているのに音源である部屋に眠っている両親ですら起きてはこなかった。


おかしい、おかしすぎる。


私は電話のある部屋の扉を開けるのを躊躇った。


一向に鳴り止まないどころか大きくなる着信音。


止めないと。


意を決して中に入ると両親は音など聞こえていないかの様に穏やかな顔して眠っていた。

恐怖で心臓が痛くなるのを抑えつつ、私は受話器に手を伸ばした。


「出るな!!」


着信音の鳴り響いているにも関わらずハッキリと聞こえた声に私は思わず手を引っ込めた。


私の意識はそこで途切れた。











気がつけば私は布団の中にいた。



さっきのはなんだったのだろう。

今布団の中にいたわけだから多分、いやきっと夢なのだろう。

そう思いたいところだが、妙にリアルで気味が悪かったので確かめてみようと思い携帯のメッセージアプリを開いた。

夢ならば誰ともメッセージのやりとりなんてしてないしね!


どうか、夢であってほしい。


その一心である人とのメッセージタブを開いた。


おすし>スタンプ 2:25

ぬこ氏>スタンプ 2:26 既読

おすし>スタンプ 2:52

ぬこ氏>スタンプ 2:52



………なんてことだ。




あの声は誰だったのか。

あの電話はなんだったのか。

未だに解けぬ謎です。

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