朝
放課後の学校の教室に、数人の生徒と小さな刃物を持った少女がいた。その少女は、一人の男子生徒を狙っていた。
「はっ!」
目で追えない程の早さで走り、切り付ける。
「おわっ!?」
しかし、何故か狙われている男子生徒もぎりぎりで避ける。そして、筆箱を持って廊下に逃げた。
(なんで俺が殺されかけてんだよ!)
そう思いながら、男子生徒は教室をあとにした。
なぜ、このような事態になったのか説明するには、少し時間を遡らなければならない。
―――リリッリリッリリッリリッリカチャ。
朝、それは小鳥がさえずり、空はきれいな青空、起きて家族とおはようと挨拶して始まる・・・
「直樹!!起きなさい!」・・・そんな幻想は、一瞬で脆く崩れ去る。
「ん〜〜〜?」
俺、岩岡直樹は寝呆けながらも頑張って俺の母親、岩岡遥に質問した。
「今、何時?」
「7時10分よ!早く起きなさい!」
怒っている顔が一層怖くなったが、俺は気にせず、と言うか、出来ずに叫んだ。「7時10分!?マジで!?」 遅刻だ。直樹は、そう思った。理由は、直樹が通っている学校は家から1時間30分もかかるからだ。なぜそんなにかかるのかというと、電車6駅分の距離があるからだ。別に電車が無いわけではない。体力を上げるために自分から自転車通学を選んだのだ。
「やばい!」
こうして岩岡家の朝は始まっていく。