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殿下に婚約破棄されたのでダチから始めます!

初めまして!

ギャルが転生したその場所は、よくある乙女ゲームとは少し違う、実はある物語の中だった?!しかしその物語とは一体・・・?!


私自身、現実逃避が大好物なのでw、少しでも現実逃避して楽しんでもらえるような、そんな物語を届けられるように書いています!

それでは現実逃避の世界へ行ってらっしゃいませ!

「リアーナ!おい!聞いているのか!リアーナ!」

目を開けると、目の前には豪華な衣装を着ている水色の髪の青年とその隣に淡いピンク色のドレスに身を包んだピンクの髪の少女が立っているのが見えた。二人ともウチと同い年くらいだろうか。隣に並んでいるだけで絵になるような美男美女だ。

「めっちゃ綺麗。それにそのカラコンもめっちゃ可愛い」

ウチは、ピンク髪の少女に向かってそう言った。

「は?カラコン?なんだそれは」

ウチの言葉に答えたのは少女ではなく、その隣に居た青年の方だった。

「え?!あんたカラコン知らないの?カラコンの良さを一回知っちゃうと、もうカラコン無しの生活じゃ生きてけないんだよね」

「先程から訳のわからないことを。」

「でもあんたもカラコンしてるじゃん?」

そう言いながら、青年近づこうとするとウチに向かって、手のひらがこちら側にはっきりと見えるようにウチの顔の高さまで上げた。

「これ以上こちらに来るな」

すると辺りからヒソヒソと話す声が聞こえた。声のする方へ視線を向けると、そこにはウチの目の前にいるこの美男美女と、同じような衣装をした人が多くいた。そしてその人たちは皆、なぜかウチの方をジロジロと見ている。

「え、ここどこ?」

部屋の奥には大きな階段があり、頭上にはシャンデリアが飾り付けてある。

「凄!めっちゃ豪華」

シャンデリアをもっと間近で見ようと足を一歩前に出すと同時に、ウチは何かに躓いて転んでしまった。

「痛っ!何?」

「あら、あの格好。はしたないですわね」

「それにあの汚い口調。下品ですわ」

周りからヒソヒソと話す声が徐々に大きく聞こえてきたが、そんなことは気にせずに、何に躓いたのか足元を見た。するとそこには何も置いてなかった代わりに、足元が見えないほどの長さの真っ赤なドレスを着ていた。

「何?このドレス!アイドルみたいでめっちゃ可愛い!!!」

ウチはテンションが上がってしまい、その場で何度かクルクルと回って見せた。

(ドレスは一生のうちに一回は着てみたかったんだよね!こんなところで着れるなんてラッキー!それにこんな豪華なシャンデリアの下でドレスを着てるだなんて、まるでどこかの国の舞踏会にでも来ているかのようで―)

「ん?舞踏会?」

ウチはキョロキョロと辺りを見渡した。ここは一体どこなのだろうか。なぜウチはドレスを着てここにいるのだろうか。誰かダチはいないだろうか。知っている顔が近くにいないか探そうと急に大きな声が響き渡った。

「リアーナ!」

どうやら声の主は、ウチの目の前に立っている青年のようだ。しかし、なぜかずっとウチの方を見ている。ウチは後ろに誰かいるか確認したがそこにはウチ以外誰もいなかった。

「リアーナって、もしかしてウチのこと?」

そういうと、その青年はイライラしているのか髪の毛を搔きむしった。

「お前以外誰もいないだろう!まぁいい。リアーナ!今日ここで、俺はお前との婚約を破棄する」

この言葉を聞いた瞬間驚きの感情よりも、「あ、聞いたことある」そう思った。どこで聞いたのかは思い出せないが、ハッキリと記憶に残っている。

「おい!聞いているのか!リアーナ」

「あ、うん。聞いてるよ?婚約破棄だっけ?おっけー!」

「随分と軽いんだな。てっきり、泣き叫ぶか言い訳をするかと思ったが」

「全然問題ない!じゃあ婚約も破棄したことだし、とりまウチとダチになろ!」

「ダチだと?なんだそれは」

「えー?友達って意味だよ?知らないの?」

ウチのその言葉に男の隣に立っていたピンク髪の少女が口を開いた。

「リアーナ様!いくら元婚約者相だとしても、エメラル殿下にそのような態度は良くないですよ」

「エメラル殿下?誰?それ」

ウチがそういうと、その場が一瞬にしてざわめいた。

「貴様!いい加減にしろ!俺のことを侮辱しているのか?!」

「ちょっと落ち着いてよ!いい加減も何も、本当にわからないんだって。友達と原宿でタピオカ飲もうと店入った途端、急に眩しくなって、次に気づいたらここに立ってたんだから」

「そんなことでごまかそうとしても無駄だ。お前は、俺の愛するルビアを深く傷つけた。その罪はしっかりと償ってもらう」

そういうと、青年は隣に立っている少女を傍に寄せた。

周りの貴婦人たちの話を盗み聞きしたところ、どうやらウチの目の前にいる青年が、ウチの元婚約者である、エメラル殿下であり、その隣に立つ少女がルビアというらしい。

「ちょっと待って。あんたはウチとついさっきまで婚約してたんだよね?」

「貴様!先程から口調に気を付けろよ。俺は、この国の第二王子だからな」

「え!そうなの?!すご!」

「ようやく俺の凄さが分かったんだな!だが、もう遅いぞ」

「でも、そんな凄い人が婚約者がいるのに構わず、別の女性を愛してるだなんて、最低だね。一人の女性も愛せない男なんてこっちから願い下げ」

そういうと、この場にいた全員がシーンとなった。

「あ、ルビアちゃんだっけ?」ウチは少女の方へ顔を向けた。

「一回浮気した男はやめておいた方がいいよ。どうせまたするから」

「おい!こいつを取り押さえろ」

エメラル殿下がそういうと、鎧のようなものを付けた巨人たちが近づいてきて、ウチの身動きが取れないようにした。

「ちょっと!何すんの?!」

「いい加減なことを言うなよ!」

すると、青年は書類のようなものをウチに向かって突き出してきた。

「いいか!ここには、リアーナ。お前の数々のルビアに対する悪事の証拠がまとめられている」

「は?何のこと?!」

「ルビアの教科書を破り捨て、ルビアのお弁当を地面に叩きつけ、食べれなくした挙句、ルビアを階段から突き落とし、怪我をさせたそうじゃないか!そうだよな?ルビア」

「は、はい。間違いありません」

ルビアは下を向きつつそう言った。

「全く記憶にないんだけど」

「ルビアだけではなく、多くの証言者もいるんだ。言い逃れはできないぞ!」

すると、その場にいる大衆の目が一斉にウチに向いたのがわかった。

「そんな面倒くさそうなことしないし、ウチだったら直接本人に愚痴ってるんだけど。てか、そんなに言うなら、警察に言って防犯カメラ確認してよ」

「警察?防犯カメラ?なんだそれは」

エメラル殿下はそういうと、顎を上げウチのことを見下すような目つきをした。

「え、一一九番だよ!学校で習わなかったの?」

すると、どこからかクスクスと笑う高い声が聞こえてきた。

「そこは、一一〇番でしょう?」

「そう!それ!ってあんたは警察知ってるの?!」

声の主が誰なのか探そうとすると、さらに強く鎧の奴らに押さえつけられてしまった。

「ちょっと!痛いってば!」

「さっきから貴様は誰と話してるんだ?」

「え?聞こえてないの?一一〇番って聞こえたでしょ?」

「いや、聞こえてないが?聞こえたか?」

エメラル殿下がルビアにも聞いていたが、この場にいる誰一人として、聞こえたという人物はいなかった。

「リアーナ嬢は頭までおかしくなってしまったのではないかしら?」

周りからヒソヒソとウチのことをバカにするような言葉が飛び交っていた。

 先程の言葉は聞き間違いだったのだろうか。

「とにかく!リアーナ。貴様との婚約は破棄にし、貴様を国外追放とする。さっさと連れていけ」

まただ。このセリフ、聞いたことがある。そう思いながら、半強制的にウチは王宮を後にした。


王宮の外に出たところでウチは馬車に乗り、侯爵家に向かった。

 ―あれ?何でウチ、この馬車に乗ったんだろう?―

ここに来たのは初めてのはずなのに、なぜだかここのシーンを知っていた。

馬車の中から外を眺めると、辺りは高い建物に囲まれた、東京のような場所だった。そびえたつ建物の隙間から夕日で綺麗に染まったオレンジがかった空がチラチラと見える。この時間の空の色は心が落ち着いて好きだ。しかしここは一体どこなのだろうか。日本にこんな場所があったのだろうか。

「ここは日本じゃないよ」

王宮で聞こえた声と同じ声が再び聞こえた。

「誰?どこにいるの?!」

この馬車にはウチしか乗っていないはず。キョロキョロとしていると、再び声が聞こえてきた。

「ごめんね~。私はそっちには行けないんですよ~」

「そっち?この世界のこと?」

「そう。あなたが今いるその世界のこと」

「その世界って、ここはどこなの?」

ウチの質問に謎の声は意味の分からない解答をした。

「そこは、ある子が作り出した物語りの中の世界なんですよ」

「物語りの中?一体何を言っているの?それに、あんたは一体誰?!」

ウチが質問攻めにすると、謎の声は丁寧に一つ一つ答えてくれた。

「私はクリエイティブ部門担当の、創作神、フィクションだよ」

「え、それが名前?」

「ちょっと!今バカにしたでしょ?」

「うん」

「素直だな~っておい!」

「創作神ってことは、あんた神様なの?」

「そう!どう?驚いた?!」

「いや、婚約破棄だの、国外追放だの色々情報量エグすぎて、そんなに驚いてないかも」

「え~驚いてよ~つまんないじゃん」

「つまるわ!それで頼みがあるんだけど、ウチを原宿に戻してくれない?ダチが待ってんだよね」

「それがね~そうしてあげたいんだけど、できないんだよね~」

「え、何で?神様ならできるんじゃないの?」

「いや、それがさ~生きてた人間を物語りの中に転生させちゃうなんて前代未聞なことで、戻し方がわからないんだよね。上司に問い合わせてみないと」

「じゃ、その上司に聞いてよ」

「え~でも、その上司、超怖いし~顔も鬼みたいに怖くて~」

話を聞く感じでは、どうやら神様の世界でも上下関係があるらしい。

「じゃあ、何でウチを前代未聞な物語の中に転生させたの?あんたがやったんでしょ?」

「そうなんだけど、実はこれには深いわけがあってですね~」

そのフィクションとかいう神様によると、どうやら彼女は色んな物語を見るのが好きな神様らしい。つい先日、TikTo9という若者を中心として、日本を含め全世界で、人気があるアプリで発信された、ある物語を見始めたという。

「その物語の続きを見るのが、ここ最近の日課というか、楽しみで~」

ウチはその瞬間、頭の中で何かの線が繋がったような感覚になった。

「え、もしかして、その物語の題名って『ギャルが転生したら乙女ゲームの主人公になって溺愛されちゃいます!』じゃない?」

「え!そう!それですよ!もしかして、あなたも見ていたんですか?」

「TikTo9のおすすめで流れてきたから少し知ってるくらいだけどね」

「え!!!こんな近くに同志がいるとは!」

声はとても嬉しそうにそう言った。

「それで?その物語とウチが転生したのに、何の関係があるの?」

「いや~それがですね~、私もその物語の主人公ちゃんになりた~い!って強く願ったら~間違えてあなたをこの物語の中に転生させてしまったみたいで~」

「え、何?どういうこと?もっと分かりやすく言って」

「つまり、ちょっとした手違いであなたをここに呼んでしまいました~。ホント神様の力ってのも不便ですよね~」

ウチは右手で虚空を殴りつけた。フィクションが目の前にいたならば、間違いなく、右のこぶしが顔面に直撃していただろう。

「まとめると、あんたはその物語の主人公になりたいって願ったんでしょ?」

「はい!その通りですよ!」

「あんたの願いでウチが転生したんだよね?」

「はい!」

「じゃあ何でウチはこの物語の主人公として転生されずに、国外追放とか変なことになってんの?!」

「そうなんですよね~。そこがおかしいところで、なぜか主人公じゃなくて、悪役令嬢であるリアーナに転生させてしまったんですよね~」

「いや全く意味わかんないんだけど!」

「私としても、びっくりなんですよ~」

「いやだとしても、今あんたウチと会話できてるんだから、神様の力使ってどうにかしてよ!」

「それが~私みたいな下っ端のような神様にはどうしようもなくてですね~」

「あんた下っ端だったんだ?」

「あ!今私のこと見下しましたよね?」

「だって下っ端なんでしょ?」

「そうですけど~。とりあえず、私としても、申し訳ないと思ってて、だからこうして私の力を使って、なるべくサポートしようと会話できるようにしたんです」

「でも最初の方楽しんでたよね?」

「それは、まぁ、その―」

その後もゴニョゴニョとフィクションは言い訳を続けていた。

「ウチはこれからどうすればいいの?この物語を見てたフィクションなら、今後の内容を知ってるんでしょ?悪役令嬢のリアーナがどう行動すればいいか教えて」

「そのことなんですけど、実は、悪役令嬢のリアーナは、国外追放されてからの記載が全くなくてですね」

「はぁ?無いの?何も?」

「あ、でも一つだけ書いてありました!」

「何?教えて!」

「国外追放された先で幸せとは全く正反対の苦しい暮らしをすることになる。ということは書いてありました!」

「詰んでる!ウチの人生詰みすぎじゃない?!」

「いわゆる、モブキャラですからね~」

今度は左手で虚空を殴りつけた。フィクションが目の前にいたならば、間違いなく、ストレートがキマッテいただろう。

楽しそうに、話すフィクションに対して、ウチは低い咳払いをした。

「あ、あくまでもその物語の中のリアーナですから!きっと変えていけるはずですよ!そうです!変えていきましょう!あと三日後には国外追放になっちゃいますからそれまでに、国外追放された後のこと考えておいてくださいね!」

「ちょっと待って!それだけ?他には?!」

「私は、上司にこの件について話さないといけないので!ではこれにて!」

「あ!待って!」

「何でしょう?」

「そのさ、ウチのダチになってよ!」

ウチがそういうと、急に冷静な口調でフィクションは続けた。

「ダチとは何でしょう?ダチョウなら知っていますが―」

「友達ってこと!この世界で初めてのウチの友達!」

「いいですね!私、お友達欲しかったんです!なります!」

「よろしくね!フィクション!」

「はいこちらこそです!では、私はこれで!」

そういうと、フィクションの声は聞こえなくなってしまった。おそらく上司のところへ向かったのだろう。

 さて、国外追放まであと三日。色々考えなければいけないことが山積みだ。でもなぜか、この状況にワクワクしている自分もいた。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

ギャル悪役令嬢の異世界生活いよいよスタートです!次はなんと、「勇者とダチになっちゃいます?!」

皆から嫌われている悪役令嬢は、果たして勇者と無事出会い、ダチになれるのか?!

続きも楽しみにしていただけたら嬉しいです!

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