第3話 王都到着 — 王国に到着し、初の評価を受ける
森を抜けると、視界が一変した。
遠くに広がる城壁、石造りの塔、街路に並ぶ屋根の赤瓦。王都――異世界で初めて目にする都市の全景は、圧倒的な規模感で主人公の目を奪った。
「……ここが、王国か」
言葉に出すと、自分の耳にも現実味が帯びて響く。地平線の向こうまで広がる街の中では、人々が忙しそうに動き、馬車が行き交い、衛兵が門前で警備を固めていた。城壁の高さ、城門の幅、街路の幅――頭の中で自然と数字が浮かぶ。まるで都市全体の設計図を一瞬で把握しているかのようだった。
城門に近づくと、衛兵が主人公を呼び止める。
「そこの者、何者だ?」
声に少しの威圧感がある。だが、主人公は落ち着いて答えた。
「旅人です。王国に所用があって参りました」
衛兵は眉をひそめ、少し考えた後、城内に案内するよう指示した。門の高さや守備兵の配置、守衛の歩幅まで計算して、無駄のない歩調で歩を進める主人公。まるで数字で城を理解し、城内での動き方まで最適化しているかのようだった。
王都の広場を抜け、中央にある王宮の前に立つ。高い石造りの門、城壁の高さ、衛兵の人数――すべてが数字として頭の中に刻まれる。初めて見る王国の中心地に、主人公は淡々と計算を巡らせながら歩く。
王宮内では、すでに評価のための簡単な課題が用意されていた。財政管理や物資配分の試験だ。頭の中で数字を組み合わせ、資源や兵力の最適配分を瞬時に割り出す。
「……この結果なら、問題なく計画を立てられるな」
主人公は淡々とメモを取り、王国の役人に報告する。役人たちは驚きの目を向けた。数字だけで、これほど正確な予測と計画を出す者は初めてらしい。
「……素晴らしい。これほどの計算力を持つ者は、なかなかお目にかかれません」
役人の一人が感嘆の声を上げる。主人公は小さく頭を下げ、特に何も言わない。だが、心の中では静かに次の計算を始めていた。城内の資源配分、衛兵の最適配置、城門の警備強化策……数字の世界は無限に広がっていた。
その日、王都での評価は高く、主人公は王国関係者から注目されるようになった。しかし、表面的な歓迎の裏には、嫉妬や警戒の目もあることに、まだ気づいてはいなかった。
「……なるほど、評価されるのは早いが、同時に危険も増えるか」
頭の片隅で警戒心を巡らせつつ、主人公は王宮の中庭に足を進めた。そこにはまだ何も知らない数々の試練が待っている――。
こうして、異世界での初めての公式評価が終わった。
数字だけで実力を示す主人公の姿は、静かに、だが確実に王国に印象を残していた。




