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バウンドレス・アイズ  作者: フィーネ・ラグサズ
ロード・ドント・スロー・ミー・ダウン

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第34 避難後

――コロニー「ヒース 2nd」中央棟、気象観測室


<発生した嵐の規模は小さい。今後、勢力が拡大する可能性があり、注視することとなった。一連の流れを眺めていたミシェル氏は手持ちの端末で何か入力して、すぐに私を見た>


【分散避難したときの様子を教えてください】


 数日かけて、コロニー「エーデルワイス」にたどり着いた。

 後続の避難民が次々と押し寄せ、エーデルワイスの住人たちは対応に追われていた。負傷者、体力を使い果たして倒れ込む者……。

 じっとしていられなかった。俺も作業に加わった。けが人なんだから、とカタリナに止められたが、何もしないでいる方が辛い。

 目の前のことに没頭した。毛布を配り、食事を作り、震える背中をさすった。人探しも手伝った。


【人探しですか】


 分散避難に加え、あのブリザードの中の移動だ。予定からの遅れや、別のコロニーへの退避は珍しくなかった。

 コロニー間ネットワークがあんなにありがたいと感じたことはない。


【ネットは誰でも使えましたよね】


 物理的な接続は維持されていた。問題は、人の心の方だ。気力を失うと、端末を見ることすらできなくなる。俺は、そういう連中の代わりに連絡をとった。家族や友人の無事を知らせると、死んだような目に光が戻る。

 アイザックさんの真似事だ。あの人は、まず話を聞いていた。不満にも、愚痴にも、黙って耳を傾けて、小さな問題の原因を取り除いていく。「まずは聞きましょう」が口癖だった。

 俺も同じようにやった。家族と連絡がとれない。怪我の具合が分からない。話を聞いて、代わりに確認して伝えた。

 だが、完璧には程遠かった。何に困っているかはわかっても、原因まではわからなかったんだ。


<ミシェル氏が端末に目を落とす。しばらく間があった>


 ヒースの全員避難の知らせを聞いたときだったか、あいつのシャットダウンを知ったのは。

 最初は、他人事のように受け止めた。怒りとも違う、妙な感覚だった。あの頑固者が、と。

 最後までコロニーを守ると言っていたらしいな。


【はい、言って聞きませんでした】


 意地を張っていたんだろう。俺たちがいなくなった後も、管理者の責務を果たそうとした。

 正直、何がしたいのかわからなかった。あのドームか? ドーム内の街か? そんなものはどうにでもなる。

 だが、最後はシャットダウンを選んだ。


【意地はまだ張っていると思いますよ】


 よく知っている。形を変えただけだ。

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