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第三章:初めての血

 深い夜の闇。

 俺――神堂覇真――は、鈴鹿一家の裏稼業に初めて正式投入されることになっていた。

 相手は、裏切りを企む中堅組員。岡村総長から命が下りていた。


 拳だけでは済まぬ。

 俺は、裏の世界に踏み込む最初の一歩として、自ら血を手にする覚悟を固めていた。


 


 鈴鹿一家の事務所裏の廃工場。

 冷たいコンクリートに、汗と血がじっとりと滲む。


 「覇真、初めてか?殺せるか?」


 目の前には冴えた目の裏切り者、三浦隆みうら たかしが縛られている。

 顔に青い痣、口は血で歪み、声すら出なくなっていた。


 


 俺は脇差しを握りしめ、刃先を三浦の胸に突き立てる。

 決心を胸に、刃を深く突き入れた。


 ――肉が裂け、骨が震え、三浦の呻き声が響く。

 ――その瞬間、俺の手が微かに震えた。だが、それは恐怖ではなく、生への渇望だった。


 


 血が滴り落ちる。

 鮮烈な手応えと、熱を帯びた液体。

 俺は初めて、自分の血で運命を刻んだ。


 


 総長岡村が近づき、小さく頷く。


 「よくやった。鈴鹿の血になったな」


 俺は震える声で応えた。


 「……はい」


 


 その夜、俺の中にはついに教義の種が芽吹いた。

 “血に誓い、血で清め、血で浄罪を達成する”——血が俺の信仰となり、刃が神の意志となる。


 


 控え室で、俺は拳を握りしめた。

 血の匂いが手から鼻へ、胸へと伝わる。

 そのとき、堤清史が近づいてきた。


 「よくやったな、覇真……だが……」


 俺は返事を待つ。

 堤は溜息をつきながら言った。


 「次に頼むぞ……俺たちのためにも……」


 俺はにっこり笑った。


 「もちろん……俺たちのために、血を流す」


 


 それが、俺――神堂覇真――の覚悟だった。

 血を、信じ義と化す——

 教祖への第一歩が、確かに踏み込まれたのだ。

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