第二十一章:暗闇の支配者
鈴鹿一家の抗争は、名古屋の裏社会全体に波紋を広げていた。
街の闇は深く、無数の利権と欲望が渦巻く中で、覇真は冷徹にその頂点へと登りつめていた。
覇真の瞳は暗闇の中で光を放つ獣のそれのように冷たく鋭かった。
彼は教団の教義を盾に恐怖と暴力で支配を固め、配下の信者たちは血の契約を交わして忠誠を誓っていた。
彼の勢力は瞬く間に拡大し、政治家や警察の腐敗した幹部までも掌握していた。
その権力は裏社会のみならず、公の世界にも深く浸透していた。
だが、覇真の支配には常に影が付きまとう。
忠誠を誓う者たちの心には恐怖と疑念が渦巻き、反乱の芽は少しずつ芽吹いていた。
一方、功二は地下に潜伏しながらも、反撃の準備を着々と進めていた。
彼はかつての仁義を胸に、覇真の狂気と支配に終止符を打つ決意を固めていた。
覇真は冷ややかに微笑みながらも、内心の焦燥と孤独を隠しきれなかった。
闇の支配者としての重責が、彼の精神をじわじわと蝕んでいたのだ。
鈴鹿一家を巡る血塗られた戦いは、
今や名古屋の暗黒を統べる支配者の命運を賭けた熾烈な闘争へと変貌を遂げていた。




