第十六章:血の契約と支配
鈴鹿一家教団は名古屋の闇市を起点に、その影響力を急速に広げていた。
覇真は冷徹な策士として、血の契約を盾に忠誠と恐怖を同時に植え付けていく。
血の契約とはただの誓いではない。
左小指を切り落とし、その血で誓約書に印を押す。
それは裏切りを許さぬ、血の鎖だった。
契約を交わした者は、命をもって組織に尽くす義務を負う。
裏切りは即断罪。処刑は徹底的な惨殺を伴い、恐怖が支配を強固にした。
覇真は教団の勢力拡大のため、政治家や裏社会の有力者との癒着を図った。
その中でも、冷徹な政治家・黒川慶次との密約は特に重要だった。
黒川は裏で資金と権力を与え、教団を拡大させた代わりに、政治的な汚職と暗躍を教団に委ねた。
その代償は、社会の闇を深く汚染することにほかならなかった。
覇真の指揮のもと、教団は次第に宗教的狂信と極道の暴力が融合した異形の組織となった。
信者たちは教義に縛られ、教団は徹底した血の支配で一体化されていく。
しかし、功二はかつての仲間を率いて、教団に反旗を翻そうとしていた。
彼の反乱は、近い将来、教団内部に激震をもたらすことになる。
覇真は静かに笑った。
血の契約で縛られた世界の中で、誰が真の支配者となるのか――。