第十一章:血の浄罪への序章
鈴鹿一家の事務所はまだ血の臭いに満ちていた。
覇真と功二の激闘の余韻が、壁の染みとなり、床の血溜まりとして残る。
だが、その激闘はただの始まりに過ぎなかった。
裏社会に新たな秩序を生み出すための、血の浄罪の序章が、静かに幕を開けていたのだ。
覇真は幹部たちを集め、冷徹な声で告げた。
「鈴鹿一家は終わらせる。これからは教団として、新たな血の契約を結ぶ」
幹部たちは驚きと恐怖の入り混じった顔をしていたが、誰も反論はしなかった。
それは、覇真の圧倒的な存在感と血の誓いがもたらしたものだった。
功二は静かにその場を見つめていた。
彼は反発したが、同時に己の道が消えつつあることを痛感していた。
覇真は一枚の紙を掲げる。
そこには、血の掟と浄罪の儀式の概要が記されていた。
「これからは、過去の罪を血で洗い清める。血の浄罪だ」
この言葉に、組員たちは重く頷き、覚悟を決めた。
彼らの中に、新たな狂気の火種が灯った瞬間だった。
しかし、闇は深く、そこには裏切りと破滅の影が付きまとう。
覇真と功二の抗争も、教団の浄罪も、さらなる血の連鎖を呼び覚ます。