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ラウンド5・前半:最終弁論~時代を超えた「三国志最強」とは~

あすか:「(厳粛な表情で、スタジオを見渡し)皆さま、長きにわたる白熱した議論、誠にありがとうございました。武勇、知略、人徳、覇業、そして歴史のIF…。様々な角度から『三国志最強』というテーマを掘り下げてまいりました。そして今、いよいよその集大成、最終弁論の時を迎えます!(クロノスに『最終弁論~時代を超えた「三国志最強」とは~』の文字を荘厳なBGMと共に投影する)」


あすか:「これまでの全ての議論を踏まえ、皆さまお一人お一人に、改めて『時代を超えた三国志最強とは何か』、そして『なぜ、ご自身(あるいはご自身の信じる価値観)こそがそれにふさわしいのか』を、熱く語っていただきます。持ち時間は、お一人様につき約3分とさせていただきます。観客の皆さま、そして配信をご覧の皆さまも、固唾をのんで彼らの言葉に耳を傾けましょう。…それでは、最終弁論、最初の弁士は…この方です!その武勇、天下に並ぶ者なし!呂布奉先殿、お願いいたします!」


(スポットライトが呂布に集中する。彼はいつものようにふんぞり返ってはいるが、その瞳の奥にはこれまでとは少し違う、真剣な光が宿っているようにも見える。)


呂布:「(ゆっくりと立ち上がり、方天画戟のレプリカを床に一度打ち付け、周囲を見渡す)…最強、か。散々っぱら難しいこと言いやがって、正直、頭が痛くなりそうだぜ。知恵だの徳だの、結果がどうしただの…そんなもんは、戦場で生き残ってから言えってんだ!」


(スタジオに緊張が走る。呂布の言葉は粗野だが、不思議な説得力がある。)


呂布:「俺はよぉ、小難しいことは分からねえ。だがな、これだけは言える。乱世ってのは、結局、力がなけりゃ何も始まらねえんだよ!どんな立派な理想も、どんなスゲェ作戦も、それを守り抜く力、実行する力がなけりゃ、ただの寝言だ!俺は、この腕っぷし一本で、あのクソみてえな時代を生き抜いてきた!董卓だって、他の群雄だって、俺の武勇の前には震え上がったんだ!」


呂布:「確かに、俺は裏切ったかもしれねえ。だがな、それは俺が弱かったからじゃねえ!周りが俺を利用しようとしたり、俺を陥れようとしたりしたからだろうが!俺はただ、自分の力を信じて、一番強い生き方を選んできただけだ!時代を超えてもよぉ、結局、最後に頼りになるのは自分自身の力じゃねえのか?小賢しい知恵も、いつかは廃れるかもしれねえ。人の心なんつう曖昧なもんも、すぐに変わっちまう。だがな、この俺、呂布奉先の武勇伝は、何百年経っても色褪せねえ!『人中の呂布、馬中の赤兎』!この言葉こそが、俺が最強だったってことの何よりの証拠だろうが!」


呂布:「(声を張り上げ)時代を超えた最強ってのはな、小難しい理屈じゃねえ!聞いただけで誰もが震え上がり、憧れ、そして語り継がれるような、圧倒的な『伝説』を残した奴のことよ!俺は、その伝説になった!だから、三国志最強は、この俺、呂布奉先だ!文句あっか、ええ?!」


(呂布は胸を張り、挑戦的な視線を他の三人とあすかに向ける。その姿は、まさに戦場を支配した暴威の化身のようだ。彼の弁論が終わると、スタジオは一瞬の静寂の後、どこからか感嘆のため息が漏れる。)


あすか:「(圧倒されつつも、力強く頷き)呂布奉先殿、ありがとうございました!時代を超えて語り継がれる圧倒的な『力』と『伝説』、それこそが最強であると…!その魂の叫び、しかと拝聴いたしました!…続きまして、最終弁論を行っていただくのは、このお方です。その仁徳と義侠心で、多くの人々を惹きつけ、乱世に希望の光を灯された、劉備玄徳殿!お願いいたします!」


(スポットライトが穏やかな表情の劉備に移る。彼は静かに立ち上がり、まず呂布に、そして他の対談者とあすかに深く一礼した。)


劉備:「(落ち着いた、しかし心の奥底からの情熱を感じさせる声で)呂布殿の武勇、確かに比類なきものでありましょう。乱世において、力が持つ意味の大きさを改めて感じさせられました。しかし、わしが考える『時代を超えた最強』とは、個人の武勇や、一時的な勝利とは異なるものにございます。」


(劉備は、集まった観衆、そしてカメラの向こうの視聴者に語りかけるように続ける。)


劉備:「わが生涯は、敗北と流浪の連続でありました。何度も全てを失いかけ、何度も絶望の淵に立たされました。しかし、その度にわしを支えてくれたのは、義兄弟の絆、志を同じくする仲間たちの存在、そして何よりも、わしを信じ、ついてきてくれた民の姿でありました。わしは、彼らのために戦い、彼らのために生きたいと願った。それだけなのです。」


劉備:「孟徳殿は、わしのやり方を『甘い』と評されました。確かに、わしの歩んだ道は遠回りで、多くの苦難に満ちていたやもしれませぬ。しかし、わしは信じております。力で人を従わせることはできても、人の心までを従わせることはできぬ、と。真の強さとは、武力や権力ではなく、人の心を動かし、人を信じ、人から信じられる…その『徳』の力ではないでしょうか。」


劉備:「わしが築いた蜀漢という国は、他の二国に比べれば小さく、国力も劣っていたかもしれません。しかし、そこには、君臣一体となり、民と共に生きようとする温かい心がありました。孔明の知恵も、関羽や張飛の武勇も、全てはその『徳』の光の下でこそ、真に輝きを得たのだと信じております。わしは、皇帝という立場よりも、多くの仲間たちと共に、同じ夢を追いかけた一人の人間として、記憶されたいのです。」


劉備:「(声を震わせながら)時代を超えた最強とは、どれだけ多くの土地を征服したか、どれだけ多くの敵を打ち破ったかではありますまい。それは、どれだけ多くの人々の心に、希望の灯をともし、生きる勇気を与え、そして『かくありたい』と願われる生き様を示せたか…ではないでしょうか。わしは、この劉玄徳の生き様が、千年万年先までも、人々の心に何かを残せると信じております。それこそが、わが最大の誇りであり、わが最強の証なのでございます。」


(劉備は静かに語り終え、その瞳には涙が光っている。彼の言葉は、武勇や覇業とは異なる、しかし深い感動をスタジオにもたらした。民を思い、仲間を信じ抜いた彼の生き様そのものが、一つの「最強」の形であることを示していた。)


あすか:「(涙を拭いながら)劉備玄徳殿、ありがとうございました…。人を信じ、民を愛し、義に生きたそのお姿こそが、時代を超えて人々の心を打つ『最強』の形であると…。その熱い想い、確かに私たちの心に届きました。…お二方の魂のこもった最終弁論、誠にありがとうございました。この後、後半では、諸葛亮孔明殿、そして曹操孟徳殿の最終弁論をお届けいたします。」


(スタジオの照明が一度ゆっくりと落ち、前半終了の音楽が静かに流れる。それぞれの「最強」の形が提示され、視聴者は固唾を飲んで後半の弁論を待つ。)

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