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ラウンド2・前半:『武の頂点vs知の深淵』~力と智、どちらが戦局を支配するか~

あすか:「皆さま、白熱したラウンド1、誠にありがとうございました!それぞれの『最強』論、大変興味深く拝聴いたしました。さて、続くラウンド2では、さらにテーマを絞って議論を深めてまいりたいと思います。テーマは…『武の頂点vs知の深淵』!すなわち、圧倒的な武力と、深遠なる知略、どちらがより戦局を支配し、勝利を手繰り寄せるのか?この永遠のテーマに、皆さまには真っ向から切り込んでいただきます!」


(スタジオの照明が少し変化し、中央のテーブルには戦場のジオラマのような映像が薄く投影される。)


あすか:「まずは、武の象徴、呂布奉先殿にお伺いいたします。先ほどのラウンドで、孔明殿は『知略こそが最強』と力説されました。呂布殿、率直に申し上げて、孔明殿のような軍師の知略について、どのようにお考えでいらっしゃいますか?」


呂布:「(鼻で笑いながら)知略だぁ?まどろっこしいんだよ、そんなもんは!敵が大軍で攻めてきた?よし、じゃあ俺が先陣切って敵の大将の首、獲ってきてやる!それで終わりだろうが!ちまちま罠だの計略だの考えたって、当たるかどうかも分からねえ。それより俺の武力の方がよっぽど確実ってもんだ!」


諸葛亮:「(静かに、しかしはっきりと)呂布殿、それはあまりにも短絡的なご意見かと。個人の武勇がいかに優れていても、それで覆せる戦局には限りがございます。例えば、兵糧の補給路を絶たれたら、いかな呂布殿とて戦い続けることは能いますまい。それこそが知略の範疇です。」


呂布:「兵糧だぁ?腹が減ったらその辺の村から…いや、まあ、とにかく戦って勝ちゃいいんだよ!腹が減る前にケリをつける!それが俺のやり方だ!」


劉備:「(困ったように)奉先殿、それでは民が苦しむばかりですぞ…。力は、守るべきもののために使われてこそ輝くものかと。」


呂布:「玄徳は甘っちょろいことばっか言ってんな!乱世なんだぜ?強い奴が生き残り、弱い奴は死ぬ!それだけだろうが!俺は生き残るために、そして勝つために最強の武を振るう!それだけだ!」


あすか:「(割って入り)呂布殿の武力への絶対的な自信、揺るぎませんね!では、孔明殿。呂布殿の『小細工はいらない、武力で解決』というご意見、これに対してはいかが反論されますか?知略が武力に勝る、あるいは戦局をより大きく支配するとお考えになる具体的な理由や事例がございましたら、ぜひお聞かせください。」


諸葛亮:「(羽扇をゆっくりと動かしながら)呂布殿の武勇が、一戦場においては驚異的な力を発揮することは認めましょう。しかし、戦争とは一点の戦いのみで決するものではございません。外交による同盟、敵の分断、流言による内部攪乱、地理的条件を活かした陣の構築、天候の予測、そして何よりも兵站の確保と適切な兵力配置…。これら全てが複雑に絡み合い、戦局を左右するのです。これらは個人の武勇ではどうにもならぬ領域であり、まさに知略の力が問われるところでございます。」


曹操:「(頷きながら)うむ、孔明の言う通りだ。一個人がどれほど強くとも、大軍を組織し、それを効率的に運用するには知恵が要る。呂布、お主も董卓の下にいた頃は、李儒のような知恵者がいたからこそ、その武勇を存分に発揮できたのではないか?」


呂布:「(むっとした表情で)李儒だぁ?アイツは小賢しいだけで、俺の武とは比べモンにならねえ!俺が強かったから、董卓の軍も強かったんだ!」


諸葛亮:「では呂布殿、もしあなたが十万の兵を率いる将軍だったとしましょう。目の前には同じく十万の敵軍。しかし、敵軍は巧みな陣形を敷き、あなたの軍の弱点を的確に突いてくるとしたら?あなたの武勇だけで、その十万の兵を守り、勝利に導くことができますかな?」


呂布:「(少し言葉に詰まるが、すぐに強気に)な、何をごちゃごちゃと!そんなもん、俺が敵の大将の首を獲りゃあ、陣形なんぞ関係ねえだろうが!兵士なんぞ、大将がいなけりゃ烏合の衆よ!」


諸葛亮:「では、もし敵の大将が巧みに姿を隠し、前線には決して出てこなかったとしたら?あるいは、あなたをおびき出すための罠だとしたら?呂布殿、あなたの武は確かに天下無双かもしれませぬが、戦とは常に、あなたにとって都合の良い状況で起こるとは限らないのですよ。」


(クロノスにあすかが、呂布が過去に罠にはまった事例や、下邳の戦いなど苦戦した戦いのデータを表示する)


あすか:「クロノスの記録によりますと、呂布殿も何度か知略によって苦杯をなめられたご経験が…特に、陳宮殿のような軍師を失ってからは、その傾向が顕著に見られるようですが…。」


呂布:「(顔を真っ赤にして)う、うるせえ!陳宮がいたって、結局は俺が戦ってたんだろうが!アイツは口ばっかりで…!(悔しそうに下を向く)」


劉備:「(呂布を慮るように)奉先殿、陳宮殿はあなたの武勇を理解し、それを活かそうと尽力された方だったと聞いております。軍師の知恵と将の武勇、それが噛み合った時、大きな力が生まれるのではないでしょうか。」


諸葛亮:「劉備様のおっしゃる通りです。武と知は、決して対立するものではなく、むしろ互いに補い合うべきもの。しかし、どちらがより大局を支配し、最終的な勝利を手繰り寄せるかと問われれば、私はやはり『知』であると断言いたします。なぜなら、知は武を効果的に運用するための『設計図』であり、『羅針盤』だからです。闇雲に力を振るっても、それは消耗するだけであり、持続的な勝利には繋がりません。」


あすか:「知は武を運用するための設計図であり羅針盤…。孔明殿の言葉、重みがありますね。呂布殿、これに対して何か反論はございますか?」


呂布:「(腕を組み、少し考えてから)…設計図だか羅針盤だか知らねえがよぉ!絵に描いた餅じゃ、腹は膨れねえんだよ!どんな立派な作戦があったって、実際に敵をブチのめす奴がいなけりゃ、ただの紙切れだろうが!俺みてえな圧倒的な武力があって初めて、知恵も活きるんじゃねえのか?!」


(呂布の反論に、スタジオの空気が再び緊張する。武と知、どちらが欠けても成り立たないのか、それともどちらかがより根源的な力なのか。議論はまだ始まったばかりだ。)

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