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聞いて欲しい

作者: しろかえで

今日は安心安全なしろかえで!!


“義兄のいる風景”のシリーズです!(^O^)/

 今日は日曜だけど、いつもと同じ様に起きた。

 だってお義母さん(おかあさん)は今日も仕事だから。

 仕事に出るお義母さんへ「いってらっしゃい」を言ってあげたいから……

 私達は“最近”4人家族になったのだから、自分だけ仕事に出て行く一抹の寂しさは“二人だけの家族”の時より、きっと大きいと思う。


 お父さんは昨日は接待ゴルフだったし、義兄さん(にいさん)は夜間バイト……と言う事は、昨日は昼バイトで一番元気な私がお見送りしなきゃ!


 私は寝坊助なので、念の為に目覚まし時計も「スヌーズ」したのだけど、鳴る前にスッキリ目が覚めた。

「これは……お義母さんに朝ごはんを作ってあげられるのでは??」と腕まくりしながら部屋を出るとコーヒーとトーストの香りのマリアージュが漂っていた。


「ああ、やっぱりお義母さんには敵わないなあ~」とリビングダイニングを覗くと、

 お義母さんから「おはよう」と声を掛けられた。


「あーもう!!ずるいなあ!!」


「えっ?! 何が??」


「お義母さんたらっ!『おはよう!』すら先に言わせてくれないんだもん!」


「あら、それはごめんなさい。じゃあ改めて言ってちょうだい」とウィンクするお義母さんに私は萌え死にそうだ!!

 なので言葉をギュッ!と温めて、そっと置いた。


「おはようございます」


「はい、ありがとう。奏ちゃんの事、起こしちゃった?」


「ううん! 自主起床です!」


「ふふ、自主起床? じゃあお腹空いたんじゃない?」


「それは……無くはないけど……お義母さんのご飯、作ってあげたかったのに……」


「あら、それは残念な事しちゃった!今日は奏ちゃんの“塩ラーメン”も食べられないし……」


「ああ、それなら……私、今日は出掛けないから、お義母さんが帰って来たら“おやつ”で作るよ」


「せっかくの日曜なのに?」


「うん、もうすぐ中間テストだし、少しはマジメに勉強しなきゃね」


「だったらお昼間はリビングで悠耀(はるあき)と一緒に勉強すれば?!」


「義兄さんと?」


「そう!効率は……上がらないかもしれないけど(笑)、日曜日なんだから楽しく過ごさなきゃ!」


「そんな……第一、お義母さんはお仕事なのに……」


「何言ってるの! 高校生活はしっかり楽しまなきゃ! 私もね、悠耀(はるあき)の父親とよく図書館デートしたのよ」


「同級生だったんですか?」


「ええ、1年生の時に。そこからお付き合いが始まったの! あの子は父親似だから……奏ちゃんと悠耀が二人で居るのを見ると、まるで当時の私達みたいで……それだけ嬉しくなっちゃうのよ!」


「そっかー! お父さんとは大違いだね!」


「そうなの?」


「お父さんは男子校で……試験勉強はクラブの先輩から代々受け継がれて来た過去問でやってたらしいもん! 黒い青春だよね!」


「アハハ! 確かにどんよりしてそうだけど……私の素敵なダンナ様なんだから、あまりイジメないでね」


「いいのよ! こんなに素敵な奥さんに来て貰ったんだから!娘のイジメくらいは我慢して貰います!」


「あらあら、それはお手柔らかにね……じゃあ、隼人さんへの“当たり”が柔らかくなる様に、私が悠耀との勉強会をお膳立てしてあげるね!母親の特権を行使して!」


 こんな風に……お義母さんとの会話はいつもいつも楽しいのだ!



 ◇◇◇◇◇◇


 柔らかな午後の日差しだけで十分に明るいリビングで二人、各々の教科書やノートを広げている。

 確かに今の私は“よそ見女王”で……しばしばノートや教科書から目を離し、義兄さんの事を見てしまうのだけど……視線の合った義兄さんから微笑まれてしまうので……()()もきっと私を見てる……


 ああ、これを“嬉し恥ずかし”と言うのだろうなあ~


 今朝とは打って変わって大人しくしている私は……数Aでちょっと引っ掛かってしまってチラリ!と義兄さんを見る。

 と、

 目が合ってしまった!!

 義兄さんは優しく微笑む。


「どこが分からない?」


「あの! チェバの定理の証明が……」


「じゃあ!そっち行くね」


 私の肩越しで……ノートに追い書きしながら教えてくれる義兄さん……


 私はほぼ全身で義兄さんを感じドキドキしてしまうけど……教えてくれる事は絶対に理解しようと授業の100倍熱心に聞いたから……私の“内側”は荒れ狂う火山みたいに“マグマ”が駆け巡った。


 説明を終えた義兄さんが自分の席に戻ると

 私は用心しいしいほんの少しだけ

 ふっ!とため息を洩らしたら……

 ノートに書かれた『チェバの定理の証明』の上でカーテンの影がチラチラ遊んだ。


 こんなにも心乱れている私なのに……義兄さんは涼しい顔でノートのページを繰っている。


 あ、今度は古典の勉強するんだ!


 ああ!!

 聞いて欲しいなあ……

 古典ならウチのクラスの方が授業進んでる筈だし……私、得意だから!


 と、義兄さんが顔を上げた。


「ねえ!奏……」


 きゃあああああああ!!!! 呼び捨て!!ツンデレっぽくて萌え死ぬ!!!!


「……ちゃん」


 “ちゃん”付けもサイコー!!!!!!!


 私、溢れ出て来そうになる色んな物をグッ!と飲み込んで声を整える。

「何? お義兄さん」


「文語の動詞活用なんだけど……分かる?」


「分かるよ! 文語には四段活用や下二段活用と言った口語と少し違う所があってね……」なんて言いながら

 私はいそいそと義兄さんの後ろに立った。





          

                               おしまい





本編の方も、今日1話追加予定です。


「義兄のいる風景」 https://ncode.syosetu.com/n4287jp/


お立ち寄りいただければ幸いです(#^.^#)



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― 新着の感想 ―
 私もきゃーーーーです‼️(≧∇≦)b  大好きな人とひとつ屋根の下で、お勉強。  むちゃくちゃ倖せな時間じゃないですかあ。  お義母さんが味方なのが心強いですよね。  奏ちゃん頑張れ❗ヾ(≧∀≦*)…
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