生きろ!
帰りがけにコンビニで煙草を買う。店員が若干苦い顔をする
車に戻り早速一服。
呆然としていた。
ピンクモーゼもBSも、世捨て人である。本来ならば繋がりの無い縁。しかし、ここ1ヶ月の短期間があまりにも衝撃的すぎる内容で、呆然とするしかなかった。気付けば煙草の1本目は既に灰となっていた。
ピンクモーゼがいつも通る大きな道路を通る。時間帯が違う為、通りは静かなものだ。
車から降り、家に入る。
嫁が物凄い苦悶の表情で私を見る。
一体何処行ってきたの?スッゴい臭い!!
店員のあの苦い顔はこれかと思い出す。
そそくさと風呂場に行き、シャワーを浴びる。いつもより入念に全身を洗う。
どうすれば...いや、私にはそこまでの覚悟があるだろうか?出来るだろうか?今でさえ、「何も失わずに」という大前提で覚悟を決めようとしている。それ自体が間違いだ。世捨て人たる覚悟。もっと分かりやすく言えば、前田慶次のような死人。
私にそこまでの覚悟が出来るだろうか?今、もし、この家が火事になり、2階に救うべき家族が居たとして、周囲が止めるのを振り払い家の中に飛び込み、無事とも確信の無い2人を担いで炎の中から助け出すということが出来るだろうか?
周囲の迷惑を考えず、車ビュンビュンの道路を我が物顔で通行出来るだろうか?
...無理だ...私には出来ない。
口では死にたいだとか言うくせに出来ない。何とも口惜しい。悔しい。人間として、生物として、世捨て人に私は覚悟の面で負けている。会社すらマトモに辞められない。上司に媚びへつらい、ヘコヘコしながら裏では念仏唱えながらストレス発散して、我は神なり!悟りの境地イエイ!ってな具合で、そんな体たらくだからナメられる。誰に?誰にでもだ。
こんな人間に明日はない。覚悟無きものに明日はない。私に明日はない。ではどうする?覚悟を持つために私はどうすべきだ?分からない。いや、分かっていて、ただ、出来ないでいる。ウジウジと考えて時間ばかりが過ぎている。どうするか...答えなど出来る訳はない。覚悟がないのだから。失わずに生き永らえる方法しか考えていないのだから。
まず失おう。
小さなものから。
何でもいい。
断捨離を始めよう。
いつ死んでもいいように。
いつ覚悟が出来てもいいように。
そうだ!死んでもいいと思うのは覚悟が出来ている人だけだ!
人間はいずれ死ぬ。
どうせ死ぬ。
生まれた時点で死ぬことが約束されている。
何たる悲運。
悲運?
違う。そうじゃない。
死に向かっているのなら
生きている瞬間を一つたりとも後悔してはいけないのだ。
「生きろ!」
あのメッセージはそういう意味だ。
BSの家族は、自分達の死に際に何を思ったか
自分達の死をいつまでも引きずって生きてほしかった訳じゃない筈だ
「生きろ!」というメッセージは
自分自身、後悔の無いように生きろと言う事だ
BSは、私よりもお金がなくとも
何倍も心が豊かで幸せであろう
あのメッセージをきちんと汲み、自分を必死に生きているBSは、臭くても格好良い。少なくとも俺よりは。
...明日から少しずつ片付けよう。
覚悟ある毎日を生きれるように。