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七列強盛衰記  作者: EL
第一幕 WW1
9/14

道路国家くんの日常(白)

ここはベネルクス三国、ベルギー。別名...というか蔑称は、道路国家。今日も今日とて、パリから出でた新型の兵器、装甲戦闘車両『タンク』がベルギーの大地を蹂躙していた。


ベネルクス三国は、列強三つ(英仏独)の全てにおいて最も重要な意味を持つ場所だ。ドイツ帝国から英仏を攻撃するには、デンマークを潰してバルト海に対露艦隊を少し置いてデンマークに対スカンジナビア陸軍を置いて北海を遠征するか、スイスもしくは白蘭盧のベネルクス三国を陸軍戦力で押していくかしかない。


その中で海軍を運用するのは最も愚かしくアホくさいことであり、またスイスの山を越えるのは容易ではない。結局、ベネルクスはドーバー海峡から来る英軍と、花の都から来る仏軍に荒らされるしか未来はないのだ。いや、一応独軍が通るかもしれないのだが、英仏露に挑んでいる時点で独墺の勝ちは厳しい。そして、貧弱になってしまったオスマンではいかに新興国のセルビア軍といえど抑えることは難しいだろう。


詰まるところ、この段階ですでにベルギーは同盟国軍の敗北を予見しているのだ。単純計算でも、列強と呼ばれる日英仏露の協商に対し、あまり動かない貧弱な伊や皇族が殺されて指揮系統が麻痺している独墺、そして弱体化オスマンの同盟では勝ち目は薄い。


だが、道路国家でもある程度の英仏軍常駐戦力は保持されていた。当然、万が一独軍によって前線が突破されれば、容易に本国への侵攻が可能だからである。ドーバー海峡は短く、パリへも容易な進軍を可能とする。特に英軍は、後ろに海を抱えた撤退戦をする必要がある。常駐軍が多くなるのは当然であった。


だが、当然兵が多い分治安と物価には悪影響を生じさせていた。ただでさえ戦時中で供給が減り物価が上がっているのに、更に兵士がいるのだ。しかも兵士は一部が暴走して強姦を行っている者もいると聞く。これが大祖国戦争時代の米軍になるとなお酷くなるのだが、まだその時代ではない。


しかし、道路国家くんはまだマシだということに気づいていなかった。ドイツ本国では南部方面ではしっかりと侵攻してオーハンとも繋がっているものの、東西方面の対列強戦線ではジリジリと後退を続けていた。派兵人員が少ない東部戦線では漸進しているものの、その分補給線と戦線が伸びて奪還されるのを繰り返している。


さらに本国では共産勢力が発言権を増しており、いつ共産クーデターが発生して帝政が覆ってもおかしくない状況になっていた。オーストリアでも同様だが民衆がゲリラ化して本国兵に攻撃することも稀にあり、少しづつだが早期に国力減少が起こってきていた。...露も同様だが。

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