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七列強盛衰記  作者: EL
第一幕 WW1
12/14

戦線膠着(墺)

オーストリア=ハンガリー二重帝国は、セルビア国境に築かれた要塞線を前に行軍の足止めを喰らっていた。

レヴェードという名の一人のスラブ人種と思われる人物の特攻によって大公を失ったオーストリアは、アウスグライヒによって実質の植民地と化しているハンガリーの軍をも動員。全指揮系統は特別軍事法というものが新造されて全て皇帝バーン・テイラー=ストームエルデのものになっており、『漸次突撃』の命令を受けて兵は突撃していった。


部隊後方には一師団につき一個大隊の督戦隊が常時配備され、兵の恐怖を煽ると共に理由もなく若い兵を招集し、そしてその兵は二度と戻らなかった。

噂では督戦隊は銃殺快楽者トリガーハッピーで、敗北主義者として扱って銃殺したとも、督戦隊は色淫で若い兵を犯していたとも言われているが、不明である。


ともかくとして、セルビアに攻め込めないことに苛立った墺王バーンは要塞線を崩壊させるべく工廠に榴弾砲を搭載した装甲自走砲の製作を命じた。

予算は大量に取られたが、9ヶ月での開発を余儀なくされた工廠では常に働かねばならないほどに忙しく、南西の同盟国イタリア王国からもたらされる泥のようなコーヒーを啜ることでしか正気を保てない有様であった。


なお、この経験がイタリアやフランスに並んでこの世界のオーストリアでのエスプレッソ人気を博する理由になるのだが、今はまだ誰もそれを知らない。(イタリアでは砂糖を大量に入れ、フランスでもパンをつけるなどする他は同様だが、オーストリアだけは原液で飲むことが流儀である)


カフェイン中毒で倒れるものも続出する中完成した榴弾砲搭載装甲自走砲だが、なぜか二種類完成していた。

まず一種類目は、通常の榴弾砲を発射できる装甲自走砲。塹壕だらけの前線を進めるように無限軌道が機動力であり、装甲分速力は出ないものの実験では56mm榴弾砲で3km先の鉄板50mmを貫通してのけた。


いわゆる戦車に該当するのが一つ目だが、二種類目は少なくとも自走砲ではなかった。

仰角は平行から四十七度まで上げることができ、戦車よりも限定的だが要塞線を超えて内部に効果的な砲撃ができる、野砲の高角形であった。いわゆる高射砲である。


こちらは戦車の実質射程3400mよりも長い距離で砲撃が可能であり、効果的な最大射程は9000mを超える。

しかし砲弾はあまり重いものを搭載すると7000mを切り、また輸送には高馬力の輸送車両を要するなど使い方が難しいものであった。


だが、一応両機ともに生産され、そのうちセルビアで猛火をふるうこととなるだろう。たぶん。

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