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プロローグ

『『開闢の花嫁』が見つかったか』


 どこまでも連なる、(いばら)の海。


 漆黒の蝶が飛び交う花園で、一体の魔族が、小さく呟いた。


 つい先刻、北を支配していたカリオドスの気配が、突如として途絶えた。『我々の悲願が成った』とだけ残して。


『カリオドスめ、生贄(・・)の在処くらいは残せそうなものを。人間を喰い過ぎて耄碌したか?』


 ――あるいは、それさえままならぬほど逼迫していたか……――


 ちら、とそんな考えが過ぎるが、即座に首を振って否定した。


 この大陸に、我々魔族を脅かす存在などない。


 哀れな餌(人間)どもが勇者などという異界の異分子を引き入れては、うっとうしくちょっかいを掛けてくるが、物の数ではない。


 大方カリオドスは下手に動いて自滅したのだろう。あの粗忽者のやりそうなことだ。


 目を閉じ、生贄の気配を探る。


 しかし、いくら大陸中をくまなく走査しても、それらしい反応を掴むことは出来なかった。


『精霊の――いや、忌々しい神どもの加護か? 『魔の種子』を植え込まれたはずだが、なぜ……そもそも『開闢の花嫁』として覚醒しているのならば、何故(なにゆえ)我々の手の内にない』


 苛立ちと共に吐いた息に、黒いバラの花弁が揺らめいた。


『まあいい。この大陸に居る限り、いずれ我らの爪が届く。魔王様もお喜びだろう、我々の悲願達成も近いな』


 視界を横切る蝶を追うようにして、隣の鳥籠に目を遣る。


『しかし、残念だ。魔王さまに極上の贄を献上すべく、私もお前を手塩に掛けて育ててきたというのに。なァ?』


『ヴヴ、ヴ……』


 棘で編まれた檻の中、黒い塊が蹲っていた。獣の呻きが地を這う。輪郭さえはっきりしない崩れかけた身体の中で、血のように赤い両眼が炯々と濡れた光を放った。


 呪詛に似た唸り声に耳を澄ませながら、ふ、と目を細める。


『とはいえ、その不完全な肉体で、よく今日まで保ったものよ。案ずるな、お前は私の可愛い芸術品。無為に捨てたりはせぬ。失敗作には失敗作なりの花道を用意してやろう』


 決して人の手の届かない、世界の裏側にひっそりと息づく花園。


 低く、不気味な笑い声がこだました。



【あとがき ※ネタバレあり】


いつも応援ありがとうございます。


魔族に囚われている人物ですが、

ロクがさらに強くなった神姫たちと力を合わせて魔族をぶちのめし、必ず救い出しますのでご安心ください。


第二部ではスカッと感ましましの新たなざまぁもございますので楽しんで頂ければ幸いです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新されて嬉しいです! いつも読んでいて、最近更新されてなかったので心配してました! [一言] 書籍化おめでとうございます! これからも応援してますので、素晴らしい作品を出し続けてください…
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