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魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に助けられて、人間界で無双する。  作者: にんじん


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83話 パーシモンの町パート3



 「・・・もしかして、大魔術師とはルシスちゃんのことなのか」


 「そうです」


 「そうですか・・・ルシスちゃんなら納得です。申し訳ないのですが、ケレス団長を元に戻してもらえないだろうか」


 「バルカンの居場所を、教えてもらえるなら治してあげます」


 「わかりました。アポロ公爵様にお願いしてみます。しかし、ケレス団長が、ルシスちゃんを見たら、どのような反応をするか心配だよ」


 「なんとかなるでしょう」



 とにっこり笑って答えた。たぶんケレスは、恐怖でその時の記憶を失っていると思うからである。最悪記憶があったとしても、私を襲うことなんてしないと思う。それほど圧倒的に倒したのだから。



 私は、ワイアットに連れられて、アポロ公爵の屋敷に行くことになった。ケレスは、その屋敷で治療を受けている。屋敷に着くと、私は応接室で待っているように言われた。


 しばらくすると、ワイアットは、アポロ公爵を連れてやってきた。アポロ公爵は、ケレスとは全然似ていない。ケレスは、大柄で筋肉質の厳つい顔をした男性であったが、アポロ公爵は、すらっとした細身の男性で、いかにも貴族という感じの男性であった。



 「こんな小さな女の子がケレスを治せるのか」



 アポロ公爵は私を見て落胆した感じがした。



 「大魔術師の情報通りでございます。この子の実力は、私が確認しましたので大丈夫です」


 「確かに、噂では、10歳くらいの女の子との情報だ。しかし、その情報は偽情報で、真実を隠していると私は推測しているのだが、本当にその子の実力を確認したのだな」


 「はい。問題ありません」


 「そうか。それならお前を信じよう」


 「ありがとうございます。しかし、ケレス団長を治療するには、バルカンの居場所を知りたいと申しています。教えてもよろしいでしょうか」


 「・・・仕方がない。ケレスを無事に治せたら教えるが良い。しかし、治すことができなければ、その小娘を捕らろ。バルカンのことをどこで知ったのか確認する必要がある」


 「わかりました。それではケレス団長のもとへ行きましょう」


 

 私は、この屋敷の地下にある治療室に連れて行かれた。地下の治療室では、絶えず2人の治癒師が、ケレスの苦痛を和らげるために、回復魔法をかけ続けている。


 

 「早くケレスを治してくれ、こんなひどい状況を見ていられない・・・」


 

 私は、ケレスに近寄り回復魔法をかけてあげた。ケレスの体は光り輝き、全身の火傷は消えて元の状態に戻ったのであった。




 「ここはどこなのだ・・・俺は、戦場にいたはずでは」



 ケレスの回復した姿を見て、アポロ公爵はケレスに駆け寄っていった。



 「ケレス・・・無事に治って本当によかった。お前は、魔獣に襲われて、1ヶ月間も生死を彷徨っていたのだ。しかし、ここにいる魔術師の女の子のおかげで助かったのだ」


 「そうなのですか兄上。私の身に、そんなことが起こっていたのですか・・・・」



 ケレスは、恐怖と全身の苦痛のため、戦闘のでの記憶をほとんど無くしていたのであった。自分を襲った魔獣のことでさえ、今は記憶の奥底に眠っているのであった。それは、私にとって好都合であった。



 「ありがとうございます。魔術師様・・・・」



 ケレスが私の顔を見て、少し戸惑っているみたいである。



 「あなたとは、以前どこかで、お会いしたような気がします」


 「たぶん、人違いでしょう」


 「・・・気のせいでしょうか?記憶が曖昧なので、勘違いだったのかもしれません」



 危うくバレるところであった。バレたら面倒なので、早く立ち去った方が良さそうだ。



 「ワイアットさん、ケレスさんも無事に元に戻ったので、約束を守ってください」


 「わかりました。それでは、バルカンに会わせてあげましょう。ついて来て下さい」



 私は、ワイアットに連れられて、さっきまでいた太陽騎士団の本部に連れて行かれた。



 「ここにバルカンが、いるのですか?」


 「そうだよ。実は私がバルカンなのだよ」


 「えぇぇーーーーーーー」


 「私の名は、ワイアット・バルカン。半年前にアポロ公爵様に、ケレス団長に神剣を作るように命じられ、この町に戻ってきたのだよ。しかし、私が作る神剣は、あまりにも強大な力があるために、アポロ公爵様には、材料が揃わないと言って断っているのだよ」


 「そうなのですか・・・それなら、私の竜光石の加工はしてもらえないのですか」


 「私はルシスちゃんのことは信じている。私の作る武器を悪用しないと。だから作ってあげるよ」


 「ありがとうございます」


 「しかし、問題があるのだよ。以前ドワーフの国で、竜光石を加工して宝飾品を作ったのだが・・・失敗したのだよ。ドワーフの王は、満足してくれたけど、私としては失敗作だったんだ」


 「何がダメだったのですか」


 「竜光石を加工するには、強大な火力と冷気が必要なのだよ。今の僕のスキルと道具では、竜光石を加工するのは難しいのだよ・・・しかしマグマ石と氷河石があれば作れると思うよ」


 「その素材は、どこにあるのですか」


 「マグマ石はカチンカチン山に、氷河石はコチンコチン山にあるのだよ。しかし、カチンカチン山にはタヌキングが、コチンコチン山には、ウサクイーンという魔獣がいるのだよ。しかも、タヌキングの配下のモエタヌキ、ウサクイーンの配下のキュンウサギの大群が山に住みついていて、冒険者を山に登らせないように邪魔をするのだよ」


 「大丈夫。私に任せておいて」


 「ルシスちゃんでも、難しいかもしれないが、二つの素材をゲットできたら加工してあげるよ」




 私は、急いで太陽騎士団の本部を出て、トールさん達がいる飲み屋街に向かった。早くこの情報を、みんなに伝えないといけないのであった。




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