80話 ターニプの町その後パート3
「日本酒はまだかー」
「ポテトフライを食わせろー」
「わしはチーズインハンバーグが食べたいぞ」
「なんだそれは、おれにも食わせろー」
「わしも食わせろーー」
「なんでもいいから、早く出せーー」
「お酒が足りんぞー」
7巨星王は、もうかなり酔っているみたいだ。名誉王族の王女が、眠りから覚めたので大宴会を開いているみたいである。
ホワさんが、私たちのところへ来たのは、7巨星王達は早くお酒が飲みたいから、代わりにホワさんをよこしたのであった。なんていい加減な人たちなのであろう。
私は、とりあえず要望通りに、日本酒・チーズインハンバーグ・ポテトフライを出してあげた。
「待ってました。ルシスちゃん」
「日本酒最高ー」
「きたーーーーチーズインハンバーーーーグ」
「ポテトフライ最高!!」
「これが、チーズインハンバーグなのか。うまそうーー」
「わしもいただくぞ」
「追加のお酒を早くしろーーー」
7巨星王は、私の出した日本酒、食べ物をガンガン飲んでガンガン食べまくる。私たちの大事な話しのことなんて忘れてしまっているのだろう。
「おれも飲むぞ」
「私も飲みますわ」
ポロンさんは、精霊神の加護を手に入れたのでお酒を解禁した。
「私も参加するわ」
また呼ばれていないのに、サラちゃんがあらわれた。
「お、なんだその可愛い女の子は・・・・」
「あれは・・・」
「その姿は・・・」
「みんなどうした」
「やばくないか・・・」
「グゲーーーー」
「ぎゃーーー」
7巨星王は、目の前に精霊神のサラマンダーがあらわれて一気に酔いが覚めた。
「ポロン様、何かご不満でもあるのでしょうか」
ドッレが、ビビりながらポロンさんのもとへ来て尋ねた。7巨星王達は、サラちゃんをみてびびってしまっている。
「なんもないわなぁー」
ポロンさんは、久しぶりのお酒でもう酔っ払ってしまっている。
「この町を火の海に沈めないでください」
「任せるのよーー」
「お願いします。怒りを鎮めて下さい」
「よし、きたぁーー」
ポロンさんは、酔っていて会話にならない・・・
「大丈夫ですよ。サラちゃんは、遊びに来ただけなので暴れたりしませんよ」
私は、7巨星王の青ざめた顔を見て、放ってはおけずきちんと説明してあげた。
「ほんとに大丈夫ですか」
「問題ないです。お酒を飲んで、暴れるくらいです」
「・・・・・・」
「大丈夫です。屋敷を壊すことはないと思います。たぶん・・・」
「・・・・・・」
私も、自信を持って大丈夫ですとは言えなかった。
トールさん・ポロンさん・ロキさん・サラちゃんは、楽しそうに日本酒をガンガンに飲んでいる。そこにホワさん・アビスもまざり楽しそうだ。
それに引き替え、7巨星王は、お通夜みたいに静まりかえっている。
「どうする」
「大丈夫じゃないか」
「でも火の精霊神だぜ」
「いつでも、逃げる準備をした方が良いと思う」
「おれの人生もこれまでか・・・」
「おれも飲みたいけど、怖いすぎる」
「とっとと避難しようぜ」
その日は、みんなで夜遅くまで飲んで騒いだ。そして、事件は起こった。途中でサラちゃんは、酔っ払って空に向かってマグマを吐き出したのであった。空一面は赤く染まり無数の大きな溶岩が、流れ星のように、ターニプの町に降り注いだ。
私は、すぐにシールドを張り町の安全は確保したが、ターニプの町の周りには、至る所に大きな穴ボコが空いてしまった。私のシールドのおかげで、町には被害が出ずに済んだのだが、一歩間違えれば大惨事になっていたのである。
サラちゃんには途中退場してもらい、その後、7巨星王の悲痛な叫びを聞きながらの宴会になってしまったのであった。
「昨日は大変だったな」
「ほんとそうですわ。サラちゃんにも困ったものですわ」
「その精印を封印することはできないのか」
「無理ですわ。それに、せっかく召喚契約をしたのにもったいないですわ」
「イフリートだけで十分だろ。サラはあまり役に立たないし」
「確かにそうですわ。でも・・・・ 」
「ひどいですわ。私は役に立ちますわ」
またまたサラちゃんがあらわれた。
「お前、昨日何をしたのか覚えてないのか」
「酔っていたので、わかりませんわ」
「クーリングオフしようぜ」
「どうしましょう・・・」
「ポロンさん・・・私を捨てないでぇーーー」
「もう、酔ってマグマを吐き出すようなことはしないでね」
「記憶にはありませんが善処致します」
「また酔って大噴火を起こしそうだな・・・」
とりあえず、サラちゃんはポロンさんの許してもらったみたいである。移動手段としてサラちゃんは必要なので仕方なく許したみたいである。しかし今から、7巨星王に、竜光石の加工できる職人の話を聞きにいくので、サラちゃんにはついて来ないようにお願いした。
「私だけのけ者にするなんてひどいですわ」
「サラが来ると、7巨星王がビビって話しにならないし、お前は、町の外を穴ボコだらけにしたから、そこで反省しとけ!」
「記憶にございませんわ」
サラちゃんは意地でもマグマを吐き出したことは認めない。私たちは、サラちゃんを置いて7巨星王に会いに行った。
「これは、ポロン様わざわざお越し頂いてありがとうございます。サラマンダー様もご一緒ですか」
7巨星王達は、ポロンさんに失礼のないように丁寧に挨拶をする。
「サラちゃんは、外で待機していますわ。それよりも、竜光石の加工職人を教えて下さい」
「はい。竜光石を加工できる者は、ドワーフの国に腕試しに来た、神守聖王国オリュンポスのバルカンという男です。バルカンは、神から授かった能力の使い手で、鍛治の腕前は私の知る限りでは、世界一だと思います。バルカンは、ディゴが守護聖竜様から頂いた竜光石を加工していました」
「バルカンという男なのね。その男は今はどこにいるのですか?」
「半年前に、アポロ公爵の使いの者がバルカンを連れ戻しにやってきました」
「アポロ公爵だと・・」
「はい、そう言っていました」
「アポロ公爵といえば、ブラカリの町の襲撃事件の時にルシスが撃退した北の領主だな」
アポロ公爵の太陽騎士団を、撤退させたのは私に間違いない。その撤退させた領主の元に、バルカンはいるみたいである。
「はいそうです。どうしますか?アポロ公爵が治める町へ行ってみますか」
「許可なく行ってトラブルにならないのか」
「トールの言う通りかもしれないわ。一度、ラディッシュの町に戻ってディーバ様に相談してみましょう」
私たちは、竜光石の加工職人を探すために、一旦、ラディッシュの町に戻ることにした。




