51話 神守教会との戦いパート3
「もしかして、お嬢さん達が、ブラカリの町を護衛してくれる冒険者なのか」
「そうだよ。私たちがこの町を守ってあげるよ」
「は、は、は、それはありがたい。かわいいいは正義ともいうからな」
「あーーー、バカにしてる。私たちはC3ランク冒険者になったんだよ」
「本当なのか」
「本当です。そして、この子は見た目は子供だけどかなりの実力者です」
ロキさんがフォローを入れてくれた・・・けど、ロキさんはまだティグレさんには慣れていないのでビビり気味だ。
「そうか。それなら頼りにしてるぞ。だが、ブラカリの門は俺が誰も通させはしない」
ティグレさんは強そうなので、よほどの人じゃないと勝てないだろう。ブラカリは、獣人も多いので、警備に関して問題はないが油断はできない。
「ルシス、入るぞ」
「まだ、モフモフしたいです」
私は、ロキさんに引きずられながら町に入って行った。
「ソールの話しだと、三日後の夜に襲撃されるみたいなので、夜の戦闘に慣れる為に、魔力制御の訓練は夕方から深夜にかけて行う事にしましょう」
「夜は酒場に行きたいが・・・特訓のが大事だな」
トールさんが、お酒よりも特訓を選ぶとは、よほどバッカスとの試合が悔しかったのだろう。
「今日は、移動で疲れていますが、後で特訓をしましょう」
「もちろんだ」
「・・・・」
ポロンさんは、今日はゆっくりとしたいらしいが、空気を読んで何も答えずに了承したみたいだ。
私たちは、宿屋で軽く食事をすませて、町から少し離れた草原で夜遅くまで特訓をした。
町は基本夜中は、門は閉まって誰も入れないようになっている。私たちは、きちんと許可をとっているので町に入る事はできる。
「あの、門を開けてもらえます」
夜の門を警備している獣人がいるので、声をかける用にティグレさんから言われていた。
「ちょい待ちな。今開けてやるから」
しばらくすると、門は開いた。しかし、獣人は見当たらない・・・
「おい、誰もいないぞ・・・・」
「本当ですわ。でも、開いたのなら問題はないですわ」
「おい、ここいるぞ」
声は聞こえるけど、門番の獣人は見当たらない。これは、かなり小さい獣人で、足元にいて見えないパターンだと私は思った。しかし、足元をいくら探しても獣人は見つからない。
「おいおい、下じゃなくて、上だ」
私は、上を見上げると、門の上にぶら下がっている。小さな獣人がいた・・・コウモリの獣人だ。全身は黒くて、マントで体を覆っているかのような羽根で体を覆い、上からこちらをじっと見ている。正直あまり可愛くはない・・・
「ありがとうございます」
「ああ、大丈夫さ。これも俺の仕事だからな。それに大きな声を出さなくて、大丈夫だぜ。俺は超音波で、周りの状況は把握できるから、門に近づいたらすぐに気づくことができるんだぜ」
「便利な能力ですね」
「そうだろ。もし、神守教会の連中が夜中に攻めてきても、俺がすぐにみんなに知らせるから、ゆっくりと休むといい」
夜は、フォーレンというコウモリの獣人が門番をしていて、夜中でも超音波を使って町の周りを監視しているみたいだ。1人では、大変なので、4人のコウモリさんがいるらしい。
「いろんな、獣人がここにはいるみたいね」
「そうみたいです。楽しい町ですね」
「・・・・俺はまだ慣れないぜ」
私は、異世界小説が大好きだったので、いろんな獣人に会えてすごく楽しい。しかも、獣人はみんな優しい。それに比べて、人間は傲慢で意地悪な人が多い。
「そのうち慣れますよ」
「そうだな、でもこの町に来て獣人への考えは変わったぜ。実際に会って話してみると、獣人も人間も中身はあまり変わらないよな」
「そうですよ。私は亜人だけど、最初から、みなさんは優しかったですよね。それと同じ様に獣人と接すればいいのですよ」
「亜人の見た目は人間に近いからな。でも見た目なんて気にしたらダメだな。神守教会の連中みたいな思想になってしまう危険があるからな」
「トールお姉ちゃんの言う通りです。みんなで仲良くしましょう」
「そうだな。でもコウモリの獣人には、抱きつかなかったよな」
「それは・・・・モフモフじゃなかったし」
コウモリの獣人はあまり可愛くなかったとは、言えない・・・やっぱり見た目も大事な時もある。
そして、神守教会が侵攻してくる日がやってきた。
「教皇様、アポロ公爵様の援軍が来ていません。そのため、恐れをなす者が増えて来ています。今日のブラカリ侵攻は中止した方が、良いと思います」
「アポロのやつ裏切ったのか。なぜ援軍が来ない。しかし、こちらには、アレスがいるから大丈夫だ」
「ヘクター司祭様。このアレスが神の力で、魔王の町の領主の首をとってきますので、安心してください」
「大丈夫なのか、あの町の情報はあまり掴めていない。しかも、門番には、大きな虎の獣人がいるしと聞いている。それに、町の中にも多数の獣人が住んでいるらしい」
「大丈夫です。私の神の力を使えば、獣人など問題ありません。やっと、あの忌々しい町を潰せるかと思うと、嬉しくて仕方ありません」
「アレスもこう言っているのだから、大丈夫だろう。それに、人手が少ない方が闇討ちにはちょうどいいしな」
「そうでございます。私の力(勇敢なる鼓舞)を使えば、どんな弱い兵隊でも、強戦士に変えることができますので」
「そうだったな、良い結果を期待しているぞ」




