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魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に助けられて、人間界で無双する。  作者: にんじん


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441話 スカンディナビア帝国編 パート28


 「どこから来たのか?と尋ねられても、それは私も知りません。私は雲のように風が導く道をユラユラと漂う一匹狼です」


 「そうなのですね。風があなたを私のところへ運んできたのですね」


 「そうです。そして、その風が私に囁いているのです。この町は巨人に襲われていると!あなたがこの町を襲っている巨人だと確信しました。


 「風の囁きは間違ってはいません。しかし、この町を襲うのは私ではなく、ジャイアントという巨大な巨人であると思います。私はジャイアントを倒すためにここで待っているのです」


 「ジャイアント???魚嫌いのデクの棒の事ですか?」


 「確か・・・ジャイアントは魚は苦手だったはずです。あなたはジャイアントを知っているのですか?」


 「傲慢のっぽ唐変木は、カルシウム不足で隔離状態になっています」


 「お嬢ちゃん・・・何を言っているのか全くわからないのですが」


 「私が説明します」



 私は、この巨人は悪い人ではないとわかったので事情を全て説明した。



 「本当にあなた達がジャイアント、ヘカトンケイルを倒したのですか?!」


 「ルシスお姉様と私が組めば勝てない相手などいないのです」



 小ルシス2号は胸を張って言う。



 「2号ちゃんも強いのですね」


 「私は決して強くはありません。2人の巨人があまりにも弱すぎたのです。私を倒せる強敵はどこにいるのか教えて欲しいです」



 小ルシス2号は腕を組んで少し寂しげに下を向きながら言った。



 「ティターンさん、カレンさんは無事なのですか?」



 巨人の名はティターンと言い、人界で平和に暮らすことを望む派閥のリーダーである。



 「はい。無事です。しかし、王都でクーデターがあったので、王族の方々がどうなったのかひどく心配をされています。すぐにでも王都へ駆けつけて、クーデターを起こしたヴァリを拘束したいのですが、カレン様も命を狙われている身なので、安易に動くことができなかったのです」


 「そうですか・・・しかし、安心してください。ヘカトンケイルとビューレイストは改心して味方になり、ロキさん達も王都へ向かっているので、ヴァリのクーデターも失敗に終わるはずです」


 「どこまで、あなたの話を信じて良いのかわかりませんが、あなたを信じても良いのですね」



 ティターンは、私のことを疑っているわけではないが、いきなり信じるのも難しいのである。



 「仕方がありません。私と拳を交わせば全て真実だと理解できるでしょう。しかし、私と拳を交えると言う事は・・・それは死を意味するのです。あなたが真実に築いた時は、それは死んだ時です」


 「2号ちゃんは黙っていてください!ティターンさん、ジャイアントさんの処分をどうしようか迷っていたのです。よかったら引き取ってもらえませんか?」


 「えっ!どういうことですか?」

 

 「今からジャイアントさんを出しますね」



 『ディメンション・リバース』



 上空からジャイアント掴んだ大きな黒い手が現れて、ティターンの目の前にジャイアントを放り投げた。ジャイアントは、魂を抜かれたかのように白目をむいて呆然と座っている。



 「・・・」



 ティターンは目を丸くして驚いている。



 「あなたは何者ですか?」


 「ルシスお姉様はメロンパン屋『ソンナ』の店長です!」


 「・・・」



 小ルシス2号の言葉にさらにティターンは頭がこんがらがる。



 「私は冒険者『ラストパサー』のルシスです」



 私は改めて自己紹介をした。



 「いや・・・そういうことではなくて・・・いや・・・まぁいいでしょう。本当にジャイアントを倒したのですね」


 「ジャイアントがやれたのか・・・」



 ティターンの後ろに隠れていた男性が姿を現した。私は、ティターンの後ろに誰かいるのには気づいていたので、注意深く様子を伺っていた。



 「あなたは、腰巾着大王ではないですか!ルシスお姉様の言いつけを破ってこんなところで油を売っていたのですか!!」



 小ルシス2号はすごい剣幕で怒鳴りつける。ティターンの後ろに隠れていたのはビューレイストであった・・・いや、違う。見た目は瓜二つだが、ビューレイストに比べて、この男性の目つきがとても優しい感じがした。



 「私はビューレイストの双子の弟のファールバウティです。姿を隠してあなた方の動向を伺っていました」


 「あなたは、ロキお姉ちゃんのお兄さんなのですか?」


 「はい。私はビューレイストと違って、私の存在は母であるラウフェイとカレン様しか知りません。母は双子を産んだ時に、兄であるビューレイストの存在にヴァリは気づいてしまいましたが、私の存在に気づかなかったみたいです。母は、私の未来を危惧して母と一番親しい仲であったカレン様に私を託したのです」


 「そうだったのですね。ファールバウティさんの存在を知ったらロキお姉ちゃんはビックリすると思います」


 「そうかもしれません。私はロキと一度も顔を合わしたことはありません。いつか、ロキと会えることを楽しみにしています」


 「ロキお姉ちゃんに会って欲しいです」


 「今すぐにでも会いに行きたいです。しかし、私はティターン様と一緒にカレン様を守る使命があるのです」


 「ファールバウティ、ジャイアントとヴァリが起こしたクーデターは失敗に終わりそうです。そして、クーデターの失敗と同時に新しい政権が樹立するはずです。あなたもその瞬間に参加すべきです。そして、ロキさんに会いに行くべきだと思います」



 ティターンは優しくファールバウティに声をかけた。



 

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