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魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に助けられて、人間界で無双する。  作者: にんじん


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403話 ボルの人界征服編 パート15


 サラちゃんは私の持っているメロンパンを奪い去ってすぐに食べてしまった。



 「なんなのよこれわ!!!」



 サラちゃんの体に雷が落ちたかのような衝撃が走る。



 「この甘くてサクサクとした食感なんて今までのパンにはなかったわ。しかも、パンの中のから甘ーい液体がドロドロを流れてくるわ」



 私はメロンパンの中に生クリームを入れてみた。



 「こんなパンを作るなんて・・・やはりルシスちゃんは只者じゃなかったのね!」



 サラちゃんは尊敬の愛差しで私を拝むように見ている。



 「ルシスちゃん、これだけじゃ足りないわよ!もっとメロンパンを渡すのよ」


 「まだストックは少ないので、5つくらいなら渡すことができます」


 「5つも食べることができるのね。もちろん全部もらうわ」



 サラちゃんには遠慮するという思考は持ち合わせていない。


 そのことは私も承知しているので、まだ、たくさんメロンパンを持っているが、底なしのサラちゃんに全部食べられるのはまずいと思って残り5個ということにしたのである。


 私はサラちゃんにメロンパンを渡した。



 「わーい。わーい。追加のメロンパンだぁ」



 サラちゃんは嬉しそうにメロンパンを食べるのであった。





 その頃、私が作成した子ルシス2号はフレイムを尾行していた。



 「ボル様に報告をしないと。闇魔法を使える亜人なんて聞いたことがないぞ。もしかしたら魔人から能力を授かった亜人なのか?いや、それでも究極魔法を使えるなんて不可能なはずだ」



 私の天使のような姿を見て、フレイムは魔人だとは思えないのであった。なので、亜人だと推測している。



 「なんて頭の悪い思考なのかしら?偉大なるルシスお姉様を亜人と間違えるなんてバカの極みだわ。あんな低脳な神人なんて私が倒した方が良いと思いますわ」



 子ルシス2号は、私の負の部分が全面的に出てしまった形で出来上がったしまった。



 「2号ちゃん。今倒したらダメよ!その神人に仲間がいないか確認をしたいのよ」



 私と子ルシス2号はどれだけ離れていても念話ができるのである。



 「ルシスお姉様わかりました。あのバカをもう少し監視しておきます」



 子ルシス2号は、魔力の気配を消してフレイムを尾行する。




 日が沈み空一面に綺麗に輝く星で埋め尽くされた頃、ガリアの町のケルト城だけにあかりが灯っていた。ガリアの町の住人はダグザの指示のもと、家財道具など全てを置いてガリアの町から逃げていたのである。


 ガリアの町の住人が慌てふためいて逃げているのを、ボルはケルト城から蟻の行列を眺めるように、うっすらと笑みを浮かべながら眺めていた。



 「どこへ逃げてもお前達はすぐにゴミ箱に捨てられる運命なのだ」



 と呟いて住人達が逃げるのを放置した。



 ひっそりと静まり返ったガリアの町に、血相を変えて戻ってきたフレイムは、すぐにケルト城に戻りボルのところへ向かった。



 「ボル様、大変です」



 ボルはケルト城の王の間で、天蓋の付いたゴールドの上品なキングサイズのベットで横たわりながら、王宮にいた美女を横に侍らかせて、ニヤつきながらお酒を飲んでいた。そして、無理矢理ボルに連れてこられた美女は、恐怖のあまりに顔が硬直して、人形のようにおとなしくしている。



 「フレイム。戻ってきたのか?今から俺はお楽しみの時間だ。邪魔をするな!」


 「申し訳ありません。しかし緊急事態なのです」


 「神人に緊急事態などという言葉は存在しないはずだ」


 

 神人は3世界最強の種族であると自負するボルにとって、緊急事態など存在しないと思っている。



 「聞いてくださいボル様、闇魔法の『ブラックホール』を使う亜人の子供がいたのです」


 「『ブラックホール』だと・・・人界では存在しない魔法だ。『ブラックホール』は魔族の中でも魔王のみが使える究極魔法だとウーラノス様に聞いたことがあるぞ」


 「私もそう聞いていました。しかし、私は目の前で見たのです。オーシャンの最大魔法の『メイルストロム』を一瞬で闇に葬り去りました。そんなことができるのは、闇魔法の究極魔法『ブラックホール』しかありません」


 「見間違えではないのか?オーシャンの『メイルストロム』は表天界でトップ5に入る強大な魔法だぞ。あの魔法を消し去るなんて不可能だ」


 「本当です。なので私はオーシャンをおいてすぐに逃げてきたのです」


 「お前は逃げたのか?」



 ボルの顔が一変した。ボルの表情は氷のように冷たい表情になり、突き刺すように視線でフレイムを睨みつけた。



 「仕方がなかったのです。あの場にいたら『ブラックホール』に吸い込まれて2度と戻ってくることはできなくると思ったのです」



 フレイムは、顔を硬らせながら必死な形相でボルに訴える。



 「オーシャンはどうなったのだ?」


 「わかりません。でも、『ブラックホール』に飲まれた可能性は高いと思います」


 「ムーンとビバレッジはどうした?」


 「ムーンは、私たちが到着した時にはすでに死んでいました。そして、ビバレッジは1人で『ホロスコープ星国』の首都シリウスに潜入しました」


 「ムーンが死んだだと!」


 「はい」


 「お前はムーンが殺されて、『ブラックホール』に怯えてオーシャンを置き去りにして逃げたということだな」


 「そうです。でも、逃げるしかないと思ったのです」



 フレイムは、ボルの冷徹で冷たい表情を見るのを恐れて、じっと下を向いて震えている。



 「今のうちに逃げますよ!」


 「た・・助けて・・くれるのですか・・」


 「もちろんですよ!あの傲慢野郎がいい争っている隙に逃げるのよ」


 「ありがとうございます」


 「私が外に転移してあげるから、あとは自分の足で逃げるのよ」


 「わかりました」



 小ルシス2号は、近距離の転移魔法なら使えるので、ボルとフレイムが言い争っている間に美女を逃したのであった。


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