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魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に助けられて、人間界で無双する。  作者: にんじん


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289話 ホロスコープ星国 パート65


 ★ジェミニ視点になります。



 「ここはどこだ・・・」


 「・・・」


 「ライブラ・・・なぜここにいるのだ」



 ジェミニが目を覚ますと、側にはライブラが立っていた。



 「ポルックス・・・いや、ジェミニ王なのですか?」



 ライブラは困惑している。ライブラは、ポルックスに連れらて、ハダルの町のドラキュンの屋敷の倉庫に監禁されていた。そして、さっきまで側に居たはずのポルックスが、急にジェミニに入れ替わったので、混乱しているのである。



 「驚かしてしまったみたいだな。実は・・・」



 ジェミニは、シリウス城の出来事を説明した。



 「ジェミニ王が負けたのですか・・・」



 ライブラの最後の希望が消えたのであった。



 「すまない・・・あのガキは化け物だった。俺の『神剣』でも倒すことは不可能だ」



 ジェミニは、敗北を認める。



 「私も、あのガキに倒されてこの有様です。しかも、ポルックスに『荷重』の能力を奪われて、『星の使徒』を名乗ることができなくなりました」



 ポルックスの『ゾディアックサイン』の能力は『強奪』である。ポルックスは一度だけ自分の気に入った能力を奪うことだできるのである。



 「ポルックスは俺が負けることを予測していたのだな」



 ジェミニは悔しそうに言った。



 「そうです。ポルックスは、ジェミニ王があのガキに殺されそうになり、逃げるためにポルックスの体を乗っ取ると言っていました。本当にそんなことが起こるとは、思ってもいませんでした」


 「あいつの予想通りになったのだな」


 「そういうことです」


 「ところで、ここはどこなのだ?カペラの町ではないのか?」



 ジェミニは、万が一の為に、邪魔者であるポルックスの命を奪わずに、カペラの町で自由に過ごすことを許可していた。それは、自分が、何らかの理由で命を奪われそうになった時に、安全な場所へ移動するためであった。しかし、ポルックスの屋敷に移動したつもりが、汚い倉庫に移動していたのであった。



 「ここはハダルの町です。ハダルの町を支配するのは、ドラキュンというヴァンパイヤ族の生き残りです。ハダルの町の者は、ドラキュンの手によって、ハーフヴァンパイヤになっています。なので、人間を凌駕する戦闘力がありまので、戦うのは危険です。だから、私はこの倉庫で監禁されたまま大人しくしているのです」



 ライブラは、『ゾディアックサイン』の能力を奪われているので、『スター』しか使えないのである。いくら『スター』を使えても、1人でハーフヴァンパイヤを相手にするの無謀である。



 「俺も『身代わり』の能力の効果により、2週間は『神剣』の能力どころか、『スター』すら使えない体だ。しばらくは、この倉庫で能力の回復に努める」


 「ジェミニ王、2週間ものんびりする余裕などありません。私はポルックスから、1週間以内にジェミニ王に、今までの自己中心的な国の統治をした事を国民に謝罪して、今後は国民の平和のために、兵士として国を支える立場に立つと宣言するように命じられています」


 「そんなことができるか!」



 ジェミニは顔を真っ赤にして怒る。



 「私も、そのようなことをする必要はないと思います。しかし、1週間以内に謝罪をしなければ、アケルナルの町の監獄へ送られることになります。なので、早急にこの町から逃げて、他の国へ亡命すべきだと思います」



 ライブラ自身もポルックスから、今までの行いを国民に謝罪するように説得受けていたが、謝罪など絶対にしないと断言しているのであった。



 「亡命・・・それしか手段はないのだな」



 ジェミニ王に残された道は2つある。1つは国民に謝罪して、罪滅ぼしとして国民のために兵士として働くことである。そしてもう1つは、他の国へ亡命して、新たな人生を歩むことである。どちらも苦難な道のりであるが、ジェミニ王は、国民に謝罪するなど絶対にしたくないのであった。



 「そうです。そして、残虐なレジスタンスに国を支配されたと言って、亡命先で力を借りれば良いと思います。北にある『神守聖王国オリュンポス』は、二つの勢力が争っていると聞いています。あのガキとウルフキングさえ現れなければ、争いに乗じて『神守聖王国オリュンポス』を滅ぼすことが出来たのですが、状況は一変しました。『ホロスコープ星国」の一部を褒美として与える代わりに、戦力の協力を要請すればいいと思います」



 ライブラは、ジェミニに再度王に返り咲いてほしいのである。能力を失ったライブラにとっては、ジェミニ王をいかに上手いこと利用するかで、自分の運命が決まると思っている。



 「しかし、俺もお前も能力は使えない。無能力の俺たちに北の森を抜けることができるのか」



 『神守聖王国オリュンポス』に行くには、北の森を通らないと行けない。しかし、北の森には獰猛な魔獣がたくさん生息しているのである。



 「俺の出番だな」



 カプリコーンが声を上げた。



 カプリコーンは、カペラの町に訪れて、ライブラの行方を探していた。そして、カペラの町の門番から、ライブラはポルックスに連れられて、ハダルの町へ行ったと教えられる。もちろん、ポルックスから、そのように言うように門番は指示を受けたいた。


 カプリコーンは、手柄を上げてジェミニ王に褒めてほしいと思い、危険を承知でハダルの町へ向かった。そして、あっけなくドラキュン率いるハーフヴァンパイヤによって、拘束されたのであった。


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