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魔王の子供に転生した女子高生、悪魔が怖くて魔界から追放される。しかし天使様に助けられて、人間界で無双する。  作者: にんじん


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124話 ターニプ防衛パート11

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 「待たせたな」


 「待たせたにゃー」



 ティグレさんとブランシュさんがギルドに来てくれた。



 「今バニーがギルドの調理場を借りて料理を作っているわ。久しぶりにバニーの料理を楽しみましょう」



 イザベラさんはバニーに食事を作ってもらえるようにお願いしていた。久しぶりにティグレさん達にバニーの料理を食べさせてあげたいと思ったのである。



 「食べたいにゃー」


 「また、バニーの料理が食べれる日が来るとは思わなかったぜ」


 『ドーーーーン』


 「ディグレさん、これはチーズインハンバーグという食べ物です。とても美味しいので食べてください」



 私は、バニーに料理で負けたくなかった。なので、張り合って食事を用意したのであった。



 「ありがとうルシスちゃん。でも、久しぶりにバニーの料理が食べたいのだが・・・」


 「それなら私がもらいますわ」


 『パクリ』



 サラちゃんが私の用意したチーズインハンバーグを一瞬で食べてしまった。



 「まだあります。ティグレさん、これをどうぞ」


 『パクリ』


 「まだあります」


 『パクリ』



 このやりとりを10回くらい続けたのであった。



 「私はまだ食べれますわ」


 サラちゃんはもっとよこせと要求する。私もティグレさんに食べてもらおうとストックのチーズインハンバーグを出そうとする。



 「ルシスちゃん。次の機会にその・・チーズインなんちゃらは食べるので、今日はバニーの料理を食べさせてくれないか」


 『ガーーーン』



 私はバニーに敗北した。悔しがる私の横で、サラちゃんが私に声を掛けてくれた。



 「私はいつでも食べてあげるわ」



 その優しい言葉に、私はサラちゃんを抱きしめるのであった。



 

 「料理ができました。ティグレ様どうぞ味わってください」


 「バニー、何を作ってくれたのかな」


 「厨房に豚肉とじゃがいもがありましたので、ティグレ様の好きな肉じゃがを作りました。隠し味にバターを使っています」


 「バニーの肉じゃがは絶品だからな。これは楽しみだ」


 「早く食べたいにゃ」


 「私も楽しみだわ」



 ティグレさん達は、久しぶりのバニーの料理を喜んで美味しそうに食べている。



 「さて、本題に入るか」


 「そうにゃ」


 「まずはバニーの意見を聞こう」


 「私は、ティグレ様の今の幸せを大事にしてほしいです。なので、獣人の国へは戻らなくていいと思ってます」


 「バニーはどうするのだ」


 「私は・・・この町に残りたいと思っています。でも妻がバシャーに捕らえられています。なので、どうすべきか迷っています」


 「バシャーとジラーフの同盟はどうなったのだ」


 「ティグレ様を追い出した後に、すぐにバシャーが裏切りジラーフの領土に攻め込みましたが、返り討ちに合いました。ジラーフも、バシャーが裏切るのはわかっていたのでしょう」


 「やはりな。ジラーフはバシャーに俺を国から追い出させて、俺を仲間達と分断させ、そして、俺の命を狙ったのだろう」


 「ジラーフの追撃で、ティグレ様は亡くなってしまったのではないかと残った者は心配していました」


 「リヨンが、命がけで俺たちを逃してくれたのだよ。俺らが無事に逃げれたのも、リヨンのおかげだよ」


 「リヨン様はどうなったのですか」


 「行方はわかっていない。俺達を守るために死んだのかもしれない。俺はあの時逃げださずに、一緒に残って戦うべきだったんだ。俺には獣人の国へ戻る資格はない」


 「私のせいにゃ。私が産後で体調を壊していたから、私と息子の為に逃げることを選んだにゃ。悪いのは私にゃ」


 「私も逃げることを勧めました。なので、ティグレさん1人のせいではありません。それに、リヨンはみんなが無事に逃げるために、命をかけてジラーフの部隊に1人で戦いに行きました。リヨンの思いを無駄にしてはいけませんわ」



 私はふと疑問に思った。リヨン?どこかで聞いたことある名前だ。どこで聞いたのだろうか?



 「そうです。リヨン様は、こうしてティグレ様達が幸せに暮らしているのを喜んでいると思います」


 「そう言ってくれると嬉しいが、でも、リヨンを見捨てた事実は変わらない・・・」


 「あーーーーーーーー」


 「ルシスちゃん、どうしたにゃ」


 「もしかして、リヨンさんってライオンの獣人の方ですか」


 「そうにゃ。それがどかしたにゃ」


 「リヨンさんは生きていますよ」


 「本当か」



 ティグレさんが、いつになく険しい顔で私をみている。私の言葉が信じられないのであろう。



 「はい。エッグプラントの町で会いました」


 「本当に本当か」


 「本当に本当です」


 「それは、よかった・・・」


 

 ティグレさんの瞳から、大粒の涙が溢れ落ちている。


 

 「本当によかった・・・」


 「リヨンは元気にしているのにゃ」


 「はい。ドワーフと一緒に元気に暮らしています」


 「それは、よかったにゃ」


 「ティグレさん会いに行きましょう」


 「会いに行きたいが・・・」


 「会いに行くにゃ」


 「会いに行きましょう」


 「会いに行くのが正解だと思います」


 「そうか・・・会いに行こう。領主様に許可をもらってドワーフの町へ行こう」


 「そうにゃ。私もじぃーじぃに許可をもらうにゃ」


 「それなら、サラちゃんに運んでもらって明日にでも行きましょう。そして、ついでに、バシャーも倒してしまいましょう」


 「そんなにすぐに行けるのか」


 「はい、サラちゃんならすぐに、ドワーフの町まで飛んでいってくれます。今、ドワーフの首都はバシャーに狙われているので、あまりのんびりとできませんので、明日の昼にはドワーフの首都ターニプに向かいます」


 「まだ、戦うとは決まっていないのだが」


 「決めるはリヨンさんに会ってから決めてください。もし、戦わないのなら私がドワーフの国を守るためにバシャーを倒します」


 「ルシスちゃんなら、余裕でバシャーに勝ってしまいそうだな」


 「もちろんです。でも、私が倒すよりもティグレさんが倒した方が獣人の国のためになると思って、この町に戻ってきました」


 「そうだな・・・獣人の国のためか」



 ティグレさんは、それから何も話さずに黙り込んでしまった。



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