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冒険者ギルドで依頼を受けよう~ついでお金の価値も教えてもらおう






次の日、朝ご飯を食べて外に出て、地下通路から街に入る。

そして予定通り散策するのだが……。




「散策するとは言ったものの……」




何処が何処だよ……?

そりゃ初めて訪れる所なんだからそうなるよ……イリスさんから貰った地図は細かく書いてないし……ちくしょう……。




「しかもスラム街だし……尚更分からねえ……」




地下通路から出るとスラム街なのでめっちゃ入り組んでて最早何処に向かってるのかすら分からない……。

とりあえずイリスさんの家に向かうように進んでるはずだけど……合ってんのかなぁ……?




「……ん?」




そう思っていると、通路の奥の方が騒がしい事に気づく。

何だろうなーと思いながらそっちに向かうと……。




「は、離してください!」


「へへっ、こいつぁ上玉だぜ!」


「逃がすわけねえだろぉ!」




中学生くらいの女の子が大柄の男二人に押さえつけられている光景が見えた。

うわぁ……中学生ぐらいを上玉とかこいつロリコンかよぉ!?



そう思いながらナイフを取り出して地面を蹴って跳び、片方の男の腕を斬り飛ばす。




「えっ……があああああっ!?」


「うるさいっ!」




痛みで叫ぶが、うるさいので蹴り飛ばして壁に叩きつける。

目の前しか見えないお前が悪い。




「な、何だお前!?」


「さあ誰でしょうね」




そんな事を言う暇あったら何かしろよと思いながら女の子を掴んでいる腕を斬り飛ばす。

叫ばせる前に顎を蹴り、気絶させる。

あ、殺しちゃったかも。



……こんなイベントは期待してなかったんだけどなぁ……。




「あ、あの……ありがとうございます」


「ん? ああ、君は無事かい?」


「はい! 助けてくれたので!」




お礼を言われ、そっちを見ると元気そうな女の子が僕を見ていた。

ピンク色のショートにスラっとした体に可愛らしい顔は庇護欲を感じさせる。

そしてスラム街では目立つ綺麗な服装。



うーん……どうしてこんな子がここに……?

普通なら街にいるべきだと思うけど。




「あ、私はサラ=ハーネスと言います!」


「サラちゃんか……僕は清水理樹って言うんだ」


「え、えっと……もしかしてニホン人でしょうか?」




お互いに自己紹介すると、微妙な表情をしながらそう聞いてくる。

むっ? どうしたんだろう?




「すみません、ニホン人にしては斬るのに抵抗が無いなと思いまして……」


「ああ……何も感じてないだけだよ」


「何も……?」




サラの疑問に答えると、ちょっと怖がられた。

私は悲しい……。




「いや、何と言うかね……この世界でそんなの気にしてたらやっていけないと思ってね……だったら戦うときは感情を無にした方がいいでしょ?」




殺したいから殺すわけじゃない。

怒りを感じたから殺すわけでもないし、憎いから殺すわけじゃない。



殺さなきゃいけないから殺す。

それにはきっと感情なんていらない。



別にこいつらに恨みは無かったけど、殺さなきゃサラが汚されるところだったし、いいよね?




「……そうだ、ここから冒険者ギルド? に行く道って分かる? 僕そこに行きたいんだけど」


「あっ、それなら分かりますよ! そこの受付やってるので!」


「そうなんだ……案内してくれないかな?」


「分かりました! ついて来てください!」




まあそんなことはどうでもいいとして、どうやら冒険者ギルドまでの道を知ってるみたいだし案内してもらおうかな。



そう思いながらサラについて行く。




















「ここが……冒険者ギルド?」


「はい、『雷の鬼人亭』というギルドなんです!」




10分ぐらい歩いていると、少し立派な建物が見える。

あれが冒険者ギルドか……ちょっとわくわくしてくるね。




「えっと……冒険者登録をしたいんですよね?」


「うん、何か必要な物ってある?」


「軽い書類を書いてもらうだけですので、必要ありませんよ」




そうそう、冒険者登録しなきゃいけないんだよね……お金が必要なくて良かった……今一銭もないんだよね。

そう思っているとサラが扉を開ける。




「おお……」




中は木造で、いくつかのテーブルと椅子があって、奥の方にカウンターがある。

依頼を受ける人や、仲間を集めている人がいたり、飲んだくれもいる。

まさに異世界だなぁと思っていると、奥のカウンターに着き、サラは反対側に立つ。




「と言うわけで、まずはこの書類を書いてもらいます……と言っても名前とか年齢とか……後はギフトだけですけど」


「りょーかい」




そう言われて置かれた書類に渡されたペンで書いていく。

ギフトは……身体能力強化だけでいいか。




「……ギフトってそれだけなんですか?」


「ん? ああ……どうやら外れを引いちゃったみたいでね」


「う、うーん……意外でしたけど、さっき実力を確認しましたからね……大丈夫ですよ」




やっぱりこのギフトは弱いらしく、不思議に思われてしまう。

本当は三つなんだけどね……今の所魔法無効しか使わないだろうし、いいよね?




「はい、Eランクから始めてもらいます……最初はお手伝いとか薬草集めになっちゃいますね」


「いいよそれで……あんまり物騒なのは勘弁だし」


「そうですね……今受けれる依頼だと二つありますけど……どれを受けます?」




Eランク……つまりは最低ランクだね。

うんうん、それでいい……目立ちたくないし。



二つの依頼書を渡されたので、それを見る。

一つ目は薬草集め。

薬に使う薬草が足りないから集めてきてほしいらしい。

報酬は石貨×薬草の数。



二つ目は害虫が発生して困ってるからそれの駆除。

報酬は銅貨1枚。




さて、ここまで来て今更の疑問が出てくる。




「あの……依頼を受ける前に銅貨とかの価値を教えてほしいんですけど……」


「……何も説明されなかったんですか? ニホン人ですよね?」


「それが説明される前に追い出されちゃって……頼める?」




そう、この世界のお金が分からないのである。

流石にこれじゃあ困るし、この子に教えてもらおうかなぁと思う。




「その説明は俺にさせてもらおうか……ていうかその方が良いだろうし」


「あっ、ライトさん!」


「貴方は……?」




突然後ろから出てきた黒髪の男が説明してくれるようだ。

ふむ……この感じだと何となくだけど……




「日本人です?」


「おっ、よく分かったな……黒崎雷斗っていうんだが……あんまり名前だけだと気づかれないんだよなぁ」


「この説明をさせてもらう時に貴方であるメリットは日本人に分かりやすく説明できるかですからね……後は勘です」


「おおう……決め手は勘かよ……」




言い当てた僕に雷斗さんは驚く。

確かに名前だけだと気づかれにくいだろうけど……雰囲気とか佇まいが日本を思わせたんだよね……。




「勘と言っても九割は見て判断して、残りの一割を勘に頼ってるだけですよ……流石に勘だけで決められるような性格ではありませんし」


「なるほど……知恵のある勘ってか……直感より恐ろしいな」


「いえ、僕にとっては直感の方が予想外の行動されるので恐ろしいですけどね」




雷斗さんはそう称するが、僕の場合は勘だけで全てを判断できないからこうしてるだけ。

勘で全て判断できるならそんな事する必要ないし。




「あのー……説明は?」


「おっとそうだったな……さて、この世界、『セステリア』ではガルドが単位でな……石貨・鉄貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨とあって、それぞれ1G・10G・100G・1000G・10000G・100000Gだ……缶ジュース一本が石貨1枚と言えば分かるか?」


「なるほど……もう一つ参考までに普通の人の給料を教えてほしいんですけど」


「普通の人か……大体2000G、多くて3000Gじゃねえかな」





セステリア……この世界の名前すら聞かされてなかったのか……本当あの王女酷い。

まあ、今となってはどうでもいいけど。



意外と細かくあるんだなぁ……銅貨と銀貨と金貨だけだと思ってたよ。

そうなると……さっきの依頼は薬草集めが小遣い稼ぎで、害虫駆除が意外と高いな……危険だったりするのかな?




「そういえば名前言ってませんでしたね……僕は清水理樹です」


「清水? お前まさか『あの清水か』?」


「……もしかして母さんが迷惑を掛けてしまったのでしょうか?」


「いや……一緒に召喚されたんだよ……」


「……えっ? それってつまり……母さんと同級生とか?」


「ああ……やっぱりその息子か……道理でこんな状況だってのに落ち着いてると思ったよ」




自己紹介したらまさかの母さんの同級生だったでござる。

どうやら迷惑を掛けたって感じではなさそうだけど……色々驚かされたんだろうなぁ。

息子である僕ですら母さんが焦ってるのを見たことないし、いつでも穏やかに微笑んでいた。



しかし……ちょっと気になったことが一つ。




「……母さんがこの世界に来て帰れたのなら、どうして雷斗さんはこの世界に残っているんですか?」


「ん? ああ……別に元の世界に戻る理由も無かったからな……だったらここで冒険者やってた方が俺に合ってると思っただけだ」




この世界に残っている理由を聞くと、とても単純な答えが返ってくる。

まあ、そんな理由で残るのもありか……。



でも、そしたら母さんはどうして戻ったんだろう?

この世界は母さんにとっても合っていたはずだ。



……未来予知で僕を見たから?

その為だけに元の世界に戻って僕を育ててくれた?




「あのー……リキさん?」


「えっ? ああごめん……少し考え事をね」




いや、これは僕だけで考えよう……他人に行ってもどうしようもない事だし。

とりあえずは……




「この二つの依頼を受けるよ」


「あっ、分かりました! それじゃあこれにサインをお願いします」




この小遣い稼ぎの依頼を受けようか。

そう思いながら依頼書にサインをした。


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