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私の思うこと、感じること

異世界は非科学的だからこそ科学的である。

作者: 黒井 陽斗

さて、これを書いた理由は、おっさん工業を書いた時に色んな方に『書いたことねーのに』的な事を言われたので『私って知識チートも実は書いてますよ』という事、深く考えると恐ろしい地球の物理法則を語る異世界について思った事を書いてみようかなーと思ったからです。


私のスタンスは、異世界ファンタジーなら見た事もないような事があっても良い、我々の知る物理法則では語れない超常の非科学的な事も違う法則あるなら当然起こる、世界は無限にありそこには我々が暮らす世界と全く違う物理法則があると考えています。


量子力学でも多元宇宙論や世界はホログラムであると語られるような時代です、地球の知識など役に立たない不思議な現象が起こって当然でしょう、私はそれを皆様と共有してみたいのです。


それは神様の与えてくれた物でもいい、古代人の残した異物や、はたまた外宇宙から来た高次元生命体の残滓でもいいと感じています。


知識、とりわけ物理は前提が一緒じゃないと知識前提が崩れます、真面目に量子学や物理学の観点から言えば、『魔力』という新しいエネルギーが存在すると我々の知る物理法則は完全に破綻するです、この世界を構築する『重力・電磁気力・強い力・弱い力』以外の新たな力『魔力』が存在する世界は、4つの力の源の素粒子や超弦理論で言う所の振動する弦の有り様も変わり、世界を構築する次元の有り様すらも変わってしまうと考えられます。


異世界はアイテムボックス・次元収納なんて次元への干渉、飛ぶ事が不可能なドラゴンが空を飛んで様々なブレスを吐き、コカトリスが石化の息を吐き、鈴木土下座○門が騎士を相手に大暴れする、人々の手から炎や水が湧くなど、その世界独自の物理法則が存在しています。


こんな世界では私達の物理法則など役にも立たない、きちんと物理を知れば魔法がある異世界で地球知識チートなど科学的でも知識的でもないのです、仮に主人公の目には我々の世界と微かに違う程度で、世界で物理法則が似通っている世界に映っているのかもしれません。


ですが、それは想像力や知識の欠如からくる都合の良い考えと言えるでしょう。


まず我々の物理法則は魔力は存在しない事を前提に考えられています、見かけ法則が似ていても天動説と地動説ぐらい違う場合もあります、主人公はその世界の物理を知らないが故にそう見えているだけの可能性は多く存在するのです。


科学を語るの前提として主人公は地球の物理法則で自縛されるのが故に、物理法則の違う異世界では脆弱で知識を披露すればする程に科学的観点で矛盾を自証します、大本の力が違う異世界では古典物理程度でも簡単に破綻する可能性は十分あるし、物理を支える量子力学で言えば大きな問題があるのです。


主人公が迷いこんで転移で渡って来たのであれば、地球に大差ない世界だと文字通り己の身を持って証明しています、そうでなければ辿り着いた瞬間に彼はある現象で異世界と一緒に消えているでしょう、ですが神様によって手ずから送り込まれとなると転生は勿論、転移でも自身の体の同一性を証明出来ないなら物質をチートや魔法で作ると危険です。


理由は物理法則が全く一緒でも構成する物質の電荷が反対である可能性です、物質と反物質がぶつかり合って物質が僅かに残ったのが我々の住む世界で、仮に異世界の電荷が反対だと地球のイメージで原子や何らかの物を作ったり何かを取り寄せた時、それは反物質と呼ばれるものになります、そうなると対消滅と呼ばれる現象を起こします。


その時に発生するエネルギーは膨大で、物質1gの質量で発生するエネルギーって物質の生み出す最大エネルギーとされる約 9×1013=90兆ジュールですから恐ろしいエネルギーが生み出されます、分かり難い方にイメージを言いますと、これは広島原爆の1,6発分くらいに相当します。


こんなことが何故起こるかというと、特殊相対性理論というものがあり、この理論では質量とエネルギーには相対性があるとされているからです。


これを簡単に噛み砕くと、物質が質量を失う時はエネルギーとして放出される、逆に質量を作るとき同じだけのエネルギーが必要という事になります、これが核爆弾が恐ろしいエネルギーを吐き出す理由なんですよ。


物質を作る系の主人公が何も考えず魔法を物理で考え、物質を用意して魔法を起こすなんて恐ろしい賭けを、知らずに無意識でやっていたら私は息を呑みます。


原爆何個もの膨大なエネルギーを注いで原子を作り、払ったコストからすれば誤差とも言えない様な現象を引き起こすために、場合によっては世界を滅ぼしそうな程のエネルギーを放出する対消滅を恐れず魔法を唱える暴挙を行っているのです、異世界と第二の人生を賭けて。


こんな恐ろしい事、特殊相対性理論や量子力学を知ってる人なら真っ先に気付いて絶対にやらないと思います、私はあまりこのタイプの話を読みたくな無いと感じます、地球の物理を語るせいでこのような可怪しさが常に頭から離れなくなり、結果として物語に集中出来ないからです。


炎魔法は本来有り得なかった物質と熱エネルギーが残り温暖化するし、氷魔法でも同様に膨大なエネルギーを支払い氷を作り氷で周りにある熱を奪います、すると無かった氷に熱エネルギーは奪われ世界は寒冷化します。


例えば魔法で作った金属で武器を作るなら、重さが1キロの武器は原爆1600発分のエネルギーを使って作られます、仮にコレが時間などで消滅=質量を失う時は込められた1600発分のエネルギーが開放され、彼を中心に世界は光りに包まれ消えて無くなるでしょう。


こんな質量もエネルギーも保存されない上に、どこからエネルギーが供給されるかもわからない、地球とは全く違う世界、ここまで来ると地球の物法則はほぼ死にます、なのに地球の知識が普通に使えるなんてとても奇妙だと思いませんか?


物質を操作するという事は重力か電磁気力を操作できます、恐らくその力の強さから電磁気力を使っているのでしょう、熱を起こすだけなら電磁気力を使ってプラズマでも作った方が星が滅ぼせそうなほどのエネルギーを使って燃焼に使う物質を作るより、遥かに低コストで似たような現象を作れます、注いだエネルギーは増える問題は解決しませんけどね。


仮に物質を作らず冷やす場合は物質の運動エネルギーを捨てさせて冷やします、その時捨てられた運動エネルギーは熱エネルギーに変わるので、雰囲気に転嫁せず冷却するなら捨場を考え別の空間へ繋ぎ不要な熱エネルギーを移動し、己が求める場所だけ冷やす、こう考えると冷却魔法というのは非常に高度で、捨てた場所が同じ世界の範疇でなければ世界はエネルギーを失うのです。


恐らくここまで読んでくださった貴方の言いたい事は『ここまで考えて書かねえよ!読まねーよ!』ではないでしょうか?これはリアルの友人に言われました、でも彼は同時に非常に納得して『確かに知ってりゃ無いわ』と笑っていました。


実は拙作を書く前にずっと考えていました、異世界設定を如何に科学的に破綻させぬようにもっともらしくテンプレやなろうの風潮を書くか色々と理屈で考えたのです。


奇跡や魔法やチートなど、これらの奇妙な事が起こるエネルギーの源泉はどこにあるのかを考えた時、それは人間が自然発生させている感情であると定義し、感情の種類によって様々な現象が起こると考え決着を付けています。


これは多元宇宙論の人間原理の考え方、観測者がいるから宇宙があるという思考からヒントを得て、そこからなろう異世界を深く思考した結果、なろうを覗く観測者に合った環境を世界が作る人間原理が一番しっくり来ました。


私達が知り得ない外宇宙に誰かの空想で世界が作らると仮定し、沢山の並行世界はどこで生まれるのか考え、私はなろうを数多の宇宙を開闢するフロンティアであると定義し、我々の感情エネルギーの行き先を異世界として、様々な思い持った神とそれに力を与える大いなる意思があると考えました。


そのフロンティアでは、何らかの理由で放棄され消された世界もあるでしょう、拙作世界は何かの理由で大いなる意思の思惑を外れ、壊されたいくつかの世界に残留した神の残滓が、壊された世界に残った人々と、世界の残骸を集め、終の棲家として自身の子供を育む揺り籠と作ったとしています。


外部からの観測者が居なくなった世界は構成する感情エネルギーを失います、エネルギーが無くなると言う事は冷えて見えなくなるのか、それともエネルギーが無になって掻き消えるのか、それは誰にも解りません、世界の終わり方はなろうではいくらでもあるからです。


なろうの終わってしまった世界から破片を集めて世界を作った神々の残滓は、住む人々が発生させる感情のエネルギーを上手く使い、閉じた世界を少しでも長く維持できるように努力していました、それを許さない大いなる意思は閉じた世界を滅ぼすために、大いなる意思の望むチートを送り込み世界を作り変えよう、あるいは滅ぼそうとする。


その猛威に抗うため、神の残滓は自らの存在が持つエネルギーを全て使って次元の彼方に干渉し、我々の住む上位の世界から対なる感情を持つ、稀人(主人公とその先人)を連れてきたのです。


こちらとあちら、二つの世界に住む人達の感情が貴方の持つ電子デバイスを通して混ざり合い、拙作の世界が変わっていく、こうなるとファンタジーと言いながらSFで書いているという風情になってきますが、やってる事は王道ファンタジーなのであくまで舞台裏、違う世界なので異世界だよと思っているんです。


そして近似値の世界であると言う意味を込め、迷い込み系の転移系主人公を選び、着の身着のまま死に掛けの状態で送り込まれたとしました、あちらの世界は呪術や神の加護などの神秘が生きる世界ですから、世界に干渉した神が作った次元の落とし穴に文字通りそのままの姿で落下したとしています。


異世界の人々は異世界に合った知識を持ち合わせそれなりの生活をしている、主人公の地球の知識や常識はバックボーンを語る程度です、それは主人公が普通の人なので曖昧な科学知識で何かする事もなく、文明を見てもそういう世界なのかと納得してしまうからです。


ですが、地球と物理の見かけの現象は似ているが物理法則は別物です、高層ビル群の様な高さの森の中心に1000メートルの大樹が生えます、地球なら崩壊するでしょうが色も違うので何らかの鉱物を多く含んでいるのでしょう、パンの木なんて神様が皆が食事に困らない様に作ったものでどこでも育ち、所によって実の中身は硬さや味が変わります。


拙作では人間側に魔法は無いですが、のろいという形でチートが出てきて彼らは魔法を使います、よって我々の世界で見られない事が多く起こりますし、対抗するために神の奇跡や呪や穢れへのカウンターであるまじないを使用します、これは地球で言えば科学では解明されていない何か、それの設定も考えては有ります。


これは先程お話したなろうを見つめる観測者達が生み出す感情エネルギーです、例えば最初のチートが望んだ女しか生まれない白百合ののろいに冒された種族、これは単性生殖で地球にもそう言った生物は存在しますが、こんなものは高等生物は存在しません、百合がいいと願ったチートに共感した力が彼にこの能力を与えたと考えています。


知識チートって拙作も実はひっそりやっています、これはお話で主人公より先に来た稀人達が地球知識の模倣子を異世界人に与え、異世界の住人は彼らなりに結果を出しているんです。


この世界の五千年程前は、牧歌的で穏やかにそれこそ狩りくらいしか血を流すもなく生活していました、十分な食料もあり神が身近にいる世界、国同士に分かれて闘う理由がどこにもなかったのです。


そんなある日、突然送り込まれたチート主人公と自らを名乗る魔王が異世界からやってきます、戦い方を知らない人々はそれでも同胞を殺される訳には行かず、ろくに戦い方も知らず戦いますが魔王は暴虐の限りを尽くし、女は奪い男は殺し時に女しか生まれなくする白百合の呪を振りまきます。


そうして異世界が滅びそうな時に神々の残滓は自らを構成するエネルギーを削り、何とか戦国時代の武士を呼び寄せます、日本の武士はこの状況を聞きいて彼らの理不尽な状況に同情して戦いの基礎を教えつつ自ら先陣に立って魔王との戦いに勝利します、ここにチートと稀人の異世界の未来を賭けた戦いの歴史が始まるのです。


魔王を退けても戦い慣れていない住民の損害は非常に多く、男達は女を守るために魔王に逆らい殺された為に人口バランスもガタガタ、更に魔王の残した穢れは魔物や魔獣という新たな脅威を残していきます、決戦なら戦国式でもいけますが魔獣はとにかく数が多く、戦いで疲弊した世界で男性の損耗は暗い影を落とします。


この危機に蘭学かぶれの稀人が盾を使う西洋の戦闘法を伝え、それを元に異世界の人々は盾構えて陣を組み互いを庇い合いながら敵を殲滅する方法を試行錯誤の上に編み出します。


劇中に知識物で良く出てくる日本刀を出していますが、再現難易度は非常に難しく異世界の職人は過去の転移者が持ち込んだ、壊れた現物を元に構造への理解を深め、数多の失敗から知識を積み上げ世代を超えて技を練り上げた末、刀に非常に良く似た何かを作り上げます。


この様に歴代の稀人が思う事や知識を伝えた結果を散りばめたのが拙作の異世界の有り様です、妙に世界観が合わない水汲みポンプが出てきたり、各種インフラを支えるのに軍は平時は軍事訓練と共に体力をつける名目で土木工事ばかりします。


国が主導して男手が集まる軍によって様々な公共工事が行われて、モットアンドベイリーで村が作られたり、各村を繋ぐ機能的で大軍が進軍できる規格的な街道が整備され、安全に作業するために近隣を周り魔物を倒していきます。


その御蔭で各村や町を繋ぐ安価な移動手段が運行され、小規模の敵のためにインフラを支える軍を動かすのは効率が悪いと考えて徴兵明けの若者を雇う冒険者の組合が出来、基礎を叩きこまれた若者が冒険者となり安価な移動手段を使って魔物を間引きに行く。


これは全て過去の先人が知識チートの様な気付きを与え、そこから人々が考えた結果で世界は今の形になりました。


これが私の思う知識チートの形です、歴史文化環境全てを考えて世代を超えて知識の種を播く、主人公が語らないから決して派手ではないし、内政とか俺すげーやらないから気付いてもらえ無いかもしれません。


ですが、書く前から出来る事出来ない必要不要を織り込んで物語に散りばめてます、結構テンプレぽい事は全部突っ込んでますから、どうすれば破綻しないかを考えどうしても科学から離れられなかったので逆説的に科学で肯定できる世界がこうなったという感じですね。


逆に地球の物理と全く同じにした魔法のないパターンだって有りだと思います、そうなると殆ど歴史物ですね、現代知識があるから邪魔で魔法が使えない設定というのも有りだ思いますし、地球と違う物理を調べる物語とかもいいんじゃないかなと思います。


色んな物語があってもいいと思っています、ですが変に間違ってリアルを混ぜるのは危険じゃないかと考えます、だから書く前に少しだけそれ出来るのか、考えてみるのもいいんじゃないかなと私は思うのです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  あぁ、そうかぁ……  イメージだけで魔法が強くなる世界観なら、チート発揮したと同時に大爆発で消滅することも考えられるんだ……
[良い点] 根本的な自然科学の法則が異なる異世界というのはルールが異なるゲームと同じで、将棋の定石がチェスでは通用しないようにこの世界の知識は役に立たないどころかかえって有害というのは同意します。 …
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