2(いかに神は尊いでしょう?)
ですが、ウル自身その宗教の神をひとかけらも信じていませんでした。その時代その合言葉が、おはようやこんにちはと同じくらい大事な挨拶でしたので仕方ありません。
街には宗教を司る人たちや、商業を司る人たち、富を蓄える人たち、体を売る人たちなど救いようのない人たちがいっぱいいます。ウルは彼らの姿を見て
“あゝこの世界は本当に救いようがないな”
と皮肉を込めて思います。
場所は戻って闘技場です。中央のエリアでは屈強な男たちが青銅製の剣を振り回して自らの強さを神様への供え物として見せようとしている。
観客席の中の特等席ではこの国の王様が将来この国の兵士になる闘技場の戦士たちを見ていた。
“あれが、災いの元凶か”
この国の王様はその権威についてからまだ時間が経っていない。王様の就位から次に次ぐまでに60年かかるに時代に30代で王の座についてまだ2年しか経っていない。
また、同じ時代に、国の西では、ティアマトと呼ばれる予言者が現れて、「すべては、水に飲み込まれて消える」ということを説いていました。この国の宗教では全ての人間は火で清められるのでその人は異端として、たくさんの敵を抱えていました。この首都では関係のない話ではありますが、不安で仕方ありません。また、国の東では同性愛を信望する。 “ゼン”と呼ばれる方法を用いて人々を従わせる異教徒がいました。この首都には関係ありませんが、私たちは不安で仕方ありませんでした。
また北には、エールという悪神を信仰する救われないカナンと呼ばれる人たちがいました。私の母の母はそのカナンの人々がこちらに渡ってきて溶け込んだ異国人で、自分もエルという名前の付いたことについて散々仲間たちに馬鹿にされました。ただそれも過去のことなので忘れました。