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86 寝返り
夜、ベッドでわたしが寝返りをうつと、猫にのし掛かってしまった。
「ヴぅ」
猫の呻き声がした。
猫は、わたしの足に寄りかかって寝ていたのだ。
「ごめん!ごめんなさい!本当にごめん!」
わたしは、猫に、ひたすら謝った。
すると、猫から返事があった。
「くぅ」
猫は、わたしを許してくれたのだろうか。噛みついてはこなかった。ただ眠かっただけかもしれないが。
とにかく、わたしは、ほっとした。
しかし、猫がわたしの右足に寄りかかっているため、右側に寝返りをうてない。
仕方なく、わたしは左側に寝返りをうつ。
すると猫は、左端に寄ったわたしにまた寄りかかる。
これは......猫がベッドの真ん中に来てしまった。
涼しくなり、これからは身を寄せ合うようになるが、まだそこまで寒くない。
まだベッドの奪いあいが続くのか......
とりあえず寝よう。寝て、無意識に寝返りをうつしかない。




