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85 気づいて
猫は、ごはんが欲しい時や構って欲しい時に、わたしのところへやってくる。
しかし、ウチの食欲魔神は、ごはんの要求が多い。
その場合、ごはんの時間は決められているため、無視しなければならない。
わたしが無視するからか、最近のウチの子(猫)は、変わった方法でわたしの気を引こうとする。
それは、わたしの腕に、そっと自分の鼻を寄せるのだ。
完全にわたしの腕に届くようにではなく、わたしの腕に生えている毛に鼻を寄せる。
これが、意外とくすぐったいのだ。
猫がそっとわたしの腕に鼻を寄せると、わたしは本を読んでいても、テレビを見ていても、思わず振り返ってしまう。
そして、わたしを可愛らしい顔で見上げるのだ。
猫は、どうやってこうした方法を覚えるのか、不思議で仕方がない。
猫は、わたしの腕の毛を、自分のひげのように考えているのかもしれない。




