76 ガチョウのリエット
わたしは、少し奮発して、ガチョウのリエットを購入した。
もちろんワインのおつまみだ。
赤ワインとガチョウのリエット、クラッカーを準備して、椅子に座る。
まず、ワインをグラスに注ぐ。
そして、ガチョウのリエットを開ける。
いや、開けようとしたが開かない。
仕方がない。鋏で切るか。
わたしが四苦八苦していると、猫がやってきた。
そして、ワインの匂いを嗅ぐと、嫌そうな顔をする。
次はクラッカーだ。だが、まだ開けていないので、猫も興味を持たない。
問題は、ガチョウのリエットだ。
わたしが鋏で開けたものをテーブルに置く。
猫は、匂いを嗅ぐと、興奮したように食べようとする。
わたしは、猫をテーブルの下に降ろした。
しかし、猫はそんなことでは諦めない。
またテーブルの上に乗り、クラッカーに乗せたガチョウのリエットを食べようとする。
わたしは、猫を片手で抑えながら、クラッカーを口に突っ込む。
うーん、美味しい。ワインも飲む。これまた旨い。
猫は、手をバタバタさせ、ガチョウのリエットを食べようとするが、そうはさせない。
と思った時、リエットを掬うためのスプーンが落ちた。
猫は、それを見逃さなかった。
すぐにテーブルから降りると、スプーンにかぶりついた。
あぁ、またか。
猫に、わたしのごはんを食べさせない方法はないのだろうか。




