73 布団の取り合い
寒い。
エアコンも入れていないのに、寒い。もう秋か?
よく見ると、わたしに掛け布団が半分くらいしか掛かっておらず、肩が出ている。
わたしは、掛け布団を引き上げた。
しかし、掛け布団は動かない。
猫がいる。
掛け布団の上で、寝ているのだ。
なんとか猫をずらし、掛け布団を引き上げなければ風邪を引く。
わたしは、掛け布団を精一杯引っ張った。
しかし、わたしも半分寝ぼけているのだろう。思うほど力が出ない。
どうするべきか。
仕方がない。猫をずらそう。
わたしは、そっと猫の背を押す。
すると、猫は、わたしの手に足蹴りをしてきた。
やはり、という思い。
猫は退く気はないようだ。
わたしは作戦を変え、掛け布団の下から、猫を押してみた。
猫は、起き上がり座り込んだ。
わたしは、それを見逃さず、掛け布団を引っ張った。
すると猫は体勢を崩し、ベッドから降りていってしまった。
わたしは、ごめん、と心の中で猫に謝り、掛け布団をきちんと掛け、寝転んだ。
ふぅ、これで眠れる。
と思った時だった。
猫がわたしの体に飛び乗ってきた。
やはりベッドで寝たいらしい。
猫は、そのままわたしの上で丸くなってしまった。
仕方がない。猫にとっては、わたしもベッドの一部なのだろう。




